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2014年9月 6日 (土)

注目企業トップインタビュー・建設業界のリーディングカンパニートップが語る「栄えある会社・消える会社」の違いとは・樋口武夫・大和ハウス工業会長・

引用

注目企業トップインタビュー・建設業界のリーディングカンパニートップが語る「栄えある会社・消える会社」の違いとは・樋口武夫・大和ハウス工業会長・

「ビジネスマンは語学力よりまず日本の歴史を学べ」

大和ハウスの事業は幅広い(物流施設)「DPL相模原」と脚力「きゃくりょく【脚力】脚力が衰えた」が弱くなった高齢者などの歩行をサポートするロボット「HAL福祉用」)

スーパーゼネコンを上回る売上高と利益規模で建設業界をリードする大和ハウス工業。カナダの出版社による「世界で最も持続可能な100社」に4年連続して選ばれている。同社の急成長を牽引した樋口武夫・会長は、「ビジネスマンは、日本の歴史と会社の歴史を学ぶべき」と語る。

キーワードは「アスフカケツノ」

・・・大和ハウス工業の今期の連結売上高見通しは2兆8000億円、営業利益1700億円と昨年策定したばかりの2015年度までの中期計画を1年前倒しで達成する見込みですね。消費税増税の逆風にもかかわらず堅調です。・・・

樋口・まだこれからです。弊社には、創業100周年に当たる2055年に「売上高10兆円」とする目標があります。

私は創業者の石橋信夫(故人)から直接、「100周年で10兆円にして欲しい。俺の夢なんや」と言われました。

壮大な目標ですが、決して不可能ではない。会社も人でも大きな目標がなければ成長できないと思います。経営陣だけでなく部長も課長も若手社員も、志を持って目標にチャレンジしていく。目標がないと目先の利害や小事にとらわれてしまい、能力がある人も伸びなくなってしまう。

・・・「選択と集中」を目指す企業が多い中、大和ハウスは住宅だけではなくホテルやロボット、農業など多角化を進めている。一見、バラバラに見えますが。・・・聞き手・永井隆(ジャーリスト)

樋口・弊社は組み立て方の仮設建物「パイプハウス」とプレハブ住宅の原点である「ミゼットハウス」からのスタートしました。祖業ですから、あくまで住宅が柱の1つです。現在は戸建て住宅、マンション、商業施設、物流倉庫などの事業施設がコア事業です。

さらに高齢の方々の脚力・歩行機能をサポートする福祉向けの自立動作支援ロボット、高齢者向けの施設や在宅介護サービス、リチウムイオン電池やメガソーラーなど、幅広く事業を展開しています。

とはいえ決してバラバラではありません。私は「明日不可欠の(アスフカケツノ)」というキーワードを掲げています。

まず「福祉」「環境」「健康」「通信」の頭文字の「フカケツ」から始まり、当社の基本的な考え方である「安全・安全」と「スピード」の「アス」を加えました。さらに今世紀に入ってから「農業」の「ノ」をつけました。弊社は1990年代から「21世紀には風と太陽と水が鍵になる」と考えていました。今でこそ環境は広くビジネスチャンスと捉えられていますが、弊社は以前から重視していたわけです。

・・・共通点は?・・・

樋口・創業者は、パイプハウスを世に出した時から一貫して「に何をすれば儲かるか」ではなく、未来を読んで「何が世の中の人の役に立つか」「何が必要とされているか」を考えて商品を作るべきだと語っていました。「アスフカケツノ」はまさに、これからの日本と世界に不可欠とされるものばかりです。

・・・スーパーゼネコンの鹿島を1兆円以上も上回る業界ナンバー1の売上規模ですが、例えばマンション事業は野村不動産が首位であるように、部門別ではトップがない。いわば「金メタル無き総合優勝」です。・・・

樋口・いずれは部門別でもトップをとっていきます。ただし安易に値下げしてではなく、ボリュームを追うのではなく、まずは顧客満足度で1位になることが重要。その先の売り上げがついてくると考えています。

かつては各分野で「3+1」、つまり3位か4位までにいれば生き残ることができましたが、今後は「2+1」、つまり2以下、最低でも3位以内でなければ淘汰されることになるでしょう。どんな分野でもリーディングカンパニーでいることが必須になります。

・・・「売上高10兆円」実現のためには何が必要でしょうか。・・・

樋口・日本は少子高齢化と人口減少が進みますから国内事業だけで10兆円は不可能です。グローバル展開を加速していくことがポイントになります。

・・・2012年に海外に強いフジタを買収して世界への橋頭堡を築きましたが、まだグローバル化は緒についたばかりです。・・・

樋口・10兆円のうち、6兆円が海外、4兆円が国内と考えています。国内は大きく伸びません。

グローバル化のためには、莫大な人的資源が必要になる。今のままでは人が足りないのです。次世代のリーダーをはじめ、人を育てていくことが重要な課題だと考えています。

・・・樋口武夫・1938年兵庫県生まれ。61年関西学院だいが法学部卒業、63年大和ハウス工業入社。84年取締役、93年に夫妻に苦しむグループ会社の大和団地社長となり、立て直しに成功。2001年大和ハウス工業社長。04年より会長兼CEO。著書に「熱い心が人間力を生む」「凡時を極める」など。

・・・世界を見据えていた信長・龍馬・・・

・・・人材が成長の要であることはどの企業でも共通しています。特にリーダーとなるビジネスマンの存在が求められています。・・・

樋口・私は人を見るときに「公平」「公正」「無私」「ロマン」という観点を重視しています。

さらに、リーダーには4つに力が必要だと思っています。それは「先見力」「統率力」「判断力」そして、「人間力。

154頁・すべてを兼ねる人はなかなかいませんが、特に最後の人間力は大切だと考えています。私は弁護士でさわやか福祉財団会長でもある堀田力さんに共感する部分が多いのですが、堀田さんの著書「人間力」の育て方」には要約すると次のようなことが書かれています。

人間力とは「生き方を自分で決めて、その通りに生きていこうと取り組んでいく自身を持つ」ことであり、それは知性・理性・感性で構成され、人それぞれに中身は違う・・・。

志を持ち、部下を引っ張っていける力と言えるでしょう。それには夢を語ることです。志があれば、自分も部下も辛い場面を乗り越えることができるし、成長もできる。

・・・シンプルですが、なかなか難しい・・・

樋口・最近は「ブラック企業」という言葉が話題になっていますが、そうした企業には夢や志がないのでしょう。残業代も払わないような違法な長時間労働はろんがいですが、たくさん働いても志があって成長したいと思えば辛くとも乗り越えることができるのです。

私はビジネスマンは「歴史」を学ぶべきだと思います。先人たちの志を知り、それをどう成し遂げたかを知ることです。

特にグローバルに活躍する人や企業ほど、日本の歴史を知り、家族や故郷に誇りを持つべきです。英語は確かに大事ですが、語学力以上に「自分が何者であるか」が問われます。国際社会では故郷に誇りを持たない人は信用されません。そのためにも日本を知り、歴史学び、先人たちがどんな志を持っていたかを知るべきだと思います。

・・・我が国の歴史上、特に注目している人物は?・・・

樋口・戦国武将、維新の志士、明治期の若者たち、敗戦後を支えた人たちなど色々といますが、大志を持つ人物という点では、やはり織田信長と坂本龍馬が挙げられます。2人が成し遂げたことについては改めて語るまでもありませんが、注目していただきたいのは両者とも「世界」を見据えていたことです。

信長は本能寺の変にたおれたことで本格的な世界戦略にはいたりませんでしたが、宣教師と密接に交流するなど海洋国家としての日本を思い描いていました。龍馬がやはり当時としてはいちはやく海外へと視野を広げていたこともご存知の通りです。単なる改革者というだけでなく、大いなるビジョン、志があったわけです。「こころ‐ざし【志】 1 ㋐ある方向を目ざす気持ち。心に思い決めた目的や目標。「―を遂げる」「事、―と異なる」「―を同じくする」「青雲の―を抱く」 ㋑心の持ち方。信念。志操。「―を高く保つ」 2 相手のためを思う気持」

・・・・ヒラメ社員ばかりでは左前に・・・・

・・・2人のようにビジョンと強いリーダーシップを持つ人材が会社の中にいればいいが、なかなかそうもいきません。・・・

樋口・トップはもちろん大切ですが、ナンバー2の存在や「組み合わせ」も需要です。現代の企業で言えば、どんな部長の下にどんな課長がいるか、課長の下にどんな現場社員がいるかということです。その意味でも私も人事を重視しています。

ビジョンを持ったカリスマである信長に対し、ナンバー2となった豊臣秀吉はいわば「上司の志を実行する人」でした。そして秀吉には黒田官兵衛という参謀もいた。その組み合わせはうまくいったわけです。官兵衛や同じく参謀の竹中はんべいがいなければ、秀吉はあれほど出世できなかったでしょう。

歴史を知ると面白いのは、「リーダーがふんぞり返るようになると組織を滅ぼす」という心理が繰り返されていることです。

私は30年間、多くの会社の栄枯盛衰「えいこ‐せいすい【栄枯盛衰】 栄えたり衰えたりすること。「―は世の習い」

目の当たりにしてきました。だいたい、トップがふんぞり返ると、その会社は傾いていくものです。歴史にしてもそう。

秀吉は現在に置き換えればサラリーマン社長だったように思います。足軽のことして生まれ、学歴がなく一般職採用で名門の織田家に仕え、成果を上げて副社長まで大出世を遂げます。

ところが社長になった途端、部下だった官兵衛と長政の親子は武功を上げても社長の秀吉から評価されなくなってしまう。それが豊臣家が長く続かなかった理由ではないでしょうか。

・・・本能寺から明治までの約300年間、黒田家や毛利家は存在し、小竹屋豊臣家などは一世を風靡したのに絶えてしまった。変化が激しい現代、企業が生き残るのはさらに難しい。・・・

155頁・

大和ハウスでは毎年「歴史」をテーマとしたフォーラムを開催している・・・・・

 

樋口・100年存続する会社は数千者に1社と言われています。持続的に成長できる会社と、消滅する会社はどこが違うのか。

私なりの考えですが、企業はある程度成長してしまうと創業者の存在感が薄くなります。その教えや哲学を社員が忘れていく。「会社の歴史」というべきものが消えてしまうのです。

そうなると会社は変化よりも安定が好まれ、お客の幸せの最大化より社内の秩序が優先され、志や実行力のある人よりも管理能力のあるだけの人が幅を利かせていきます。

・・・会社組織は成長に伴い、どうしても官僚化し大企業病に陥ります。・・・

樋口・自社の話で恐縮ですが、創業者の石橋信夫はとても人間力のある人でした。会社を公器と考え、自分の財産には頓着せずに、何より清廉潔白でした。

来年は創業60周年であり、創業者の13回忌。その志を忘れないため、創業者の胸像「きょう‐ぞう【胸像】 人物の頭から胸のあたりまでの彫像や塑像。」を13体作り、グループ会社を含め各拠点に設置しました。

外部からは「何でいくつも胸像なんて置くのか」と見られるかもしれませんが、井戸を掘ったひとを大切にしなければならない。

現在の社員たちが会社の歴史や「世の中の役に立つものを作れ」といった創業者の志を学ぶことは、大企業病に陥らないための大切な取り組みです。それがないと、上の顔色ばかりを伺うような「ヒラメ社員」が増えてしまう。そうなれば会社はすぐ左前です。

・・・樋口さんがリーダーとして心がけてきたことは?・・・

樋口・志やビジョンを語り、あるいは部下に語らせることは重要ですが、それとともに「率先垂範」を旨としてきました。

「そっせん‐すいはん【率先垂範】 先頭に立って模範を示すこと。」

私は1974年、36歳の時に採算が悪化していた山口支店の支店長になりました。その時から実践しているのは、とにかく購入する物件は自分が直接足を運んで見に行くということです。すると、当然ながら失敗したら自分の責任になる。

覚悟が必要なことですが、そうすれば部下はどんな基準で物件を選んでいるかを背中から学ぶことができます。

93年には、債務超過寸前だったグループ会社の大和団地(当時)の社長になれと言われました。その時も北海道から九州まで、全部物件を見に行き、不採算の物件を売却して採算性の高いものに絞り、会社を立て直しました。

そうした「現場主義」は今、弊社の強みになっています。全国各地に戸建住宅の注文などを受けるための拠点が有り、そこから物流倉庫向けなど大きな土地の情報が入るようになったわけです。

リーダーがふんぞり返っていたら、組織は烏合の衆になってしまう。それはいつも肝に銘じています。

・・・現在76歳。会長職はいつまで続けるつもりですか。・・・・

樋口・まだやるべきことはあります。健康である限りは続けたいと思っています。後継については考えています。やはり創業者の意志をついで、会社の歴史をつなぎ、成長させてくれる人を思い描いています。

平成26年9月6日

週刊ポスト・9.5.

軍事力が中国経済を殺す


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