引用
で守る覚悟
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が、必要だ・・加瀬英明のコラム ■ アメリカの政治を牛耳るクリントン・ブッシュ両家
Date : 2014/07/10 (Thu)
次のアメリカの大統領選挙は、2016年11月に投票するから、2年4ヶ月ある。
誰が両党の候補となるか予想するのはまだ難しいが、アメリカの大かたの政治専門家と、マスコミによれば、民主党はヒラリー・クリントン前国務長官と、共和党はブッシュ前大統領の弟のジェフ・ブッシュ元フロリダ州知事の一騎打ちとなると、みられている。
オバマ大統領は昨夏、シリアのアサド政権が毒ガスを使ったのが許せないから、制裁攻撃を加えると宣言した後に逡巡したために、支持率が急落して、今日、多少取り戻したものの40数%で、指導力を回復していない。
アメリカでは1989年からブッシュ(父)が第42代大統領として4年、クリントンが第43代目として2期8年、ブッシュ(子)が第44代目として2期8年、合わせて20年にわたって、大統領をつとめた。
民主党ではヒラリーが巨人ゴリアテであって、2016年に挑戦できるダビデ少年は現われないと、いわれる。
5月に『ワシントン・ポスト』紙とABCテレビが発表した、2016年大統領選挙をめぐる共同世論調査によれば、共和党の有力候補としてジェフ・ブッシュが、首位に立った。民主党の最有力候補とされるヒラリー夫人に迫る勢いで、2人が大統領選挙を争った場合、ヒラリー夫人の支持率が53%に対して、ジェフ・ブッシュが41%だった。
ジェフ・ブッシュが61歳に対して、ヒラリー夫人は6歳年長だ。もし、ヒラリー夫人が大統領として当選すれば、レーガン大統領が就任した時より、1歳年下になる。
それにしても、アメリカは人口が3億1千万人もいるというのに、他に有力な大統領候補がいないのだろうか? どうして、大統領候補となると、能力がある政治家が多くいるというのに、全員がアウトサイダーとなってしまうのだろうか。
これでは、アメリカの政治に新鮮なアイディアや、方向をもたらすことができないことになる。アメリカは民主主義の手本であるようにいわれるが、クリントン家とブッシュ家が争うのでは、パロディのようではないか。アメリカの一部の識者が指摘するように、アメリカの政治制度が硬直化して、疲弊しているのだろうか。
もっとも、2008年に民主党の大統領候補指名をめぐって、オバマ上院議員と、ヒラリー上院議員が鍔迫り合いを演じた時も、両者のあいだに政策の違いが、ほとんどなかった。2人は1期目の上院議員だったが、ブッシュ(子)大統領のイラク戦争を支持した。
経済政策も巨大企業の利益を代弁するもので、2人のホワイトハウス入りしたい個人的な野心が、鎬(しのぎ)を削っただけのことだった。オバマ上院議員のほうが弁がきわだっていたために、勝利の栄冠を手にした。
オバマ議員はイリノイ州シカゴの「シカゴ民主党(シカゴ・デモクラティック)マシーン」、ヒラリー夫人は夫のビルの「クリントン・グローバル・イニシアティブ基金」という集金マシーンが働いて、全米の大企業、弁護士事務所(アメリカでは弁護士は巨額の報酬を手にする)、大手ファンドや銀行から、潤沢な政治資金を掻き集める能力を競った。
アメリカの大統領選挙は、マスコミを使って虚像をつくるのと合わせて、金次第だ。
ブッシュ家もテキサスの石油産業や、サウジアラビア・コネクションをはじめとして、集金能力において劣らない。クリントン、ブッシュ両家の他には、このように全米から政治献金を募ることができる、ポリティカル・パーティ・マシーンに入り込む余地がない。両家がアメリカの政治を、牛耳ることになる。
アメリカは大企業によって、支配されている。商務省の報告書によれば、昨年、企業の純益がGDPに占めた比率が、大恐慌の1929年以後最高に達したが、従業員の報酬の比率は、1948年以後で最低となった。
■ 日印関係を強化しよう Date : 2014/06/16 (Mon)
5月に、12億5千万人のインドで総選挙が行われ、63歳のナレンドラ・モディ氏が率いる、インド人民党(BJP)が圧勝した。
BJPは、543議席の下院の282議席を制して、2009年から政権を握っていた国民会議は、206から414に議席を減らして、惨敗した。インドが1947年に独立してから、最大の政治異変である。
それまで、モディ氏はアラビア海に面する郷里のグジャラート州首相をつとめて、州の経済を大きく発展させた。
モディ新首相は就任演説のなかで、「21世紀を、“インドの世紀”にする」と、公約した。モディ政権の登場は、日本とアジアに明るい展望をひらくものである。
インドと中国は30年前に、ともに国民1人当たりの所得が300米ドルで、並んでいた。ところが、中国が目覚しい経済発展をとげて、6700ドルを超したのに対して、その後、インドはその4分の1にとどまっている。
インドの経済成長率は、10年前に10%に達していたが、このところ4.5~5%に落ち込み、9%を超える高いインフレが進んで、庶民生活を圧迫している。
モディ首相は財政を建て直し、大きく遅れたインフラを整備するかたわら、錯綜している行政機構を合理化して、大胆な経済改革を断行しなければならない。
モディ新内閣をみると、国民会議の前内閣が79人の閣僚を抱えていたのに対して、45人に減らしている。それでも、なかに鉄道相、道路交通相、民間航空相、農業、加工食品、食品流通の6人の閣僚がいる。
私は80年代からインドに通って、政府に厚遇されるようになった。
当時、日本で学ぶインド人留学生が、100人もいなかった。私は有志の協力をえて、ネール大学の支援を受けて、ニューデリーに高校生に日本語を無料で教える学校を開設して、成績のよい生徒を全額負担して、日本の4年制大学に留学させて、卒業させた。
私はBJP政権のフェルナンデス国防相と同志だった。インドはフェルナンデス国防相のもとで、1998年に核武装した。
フェルナンデス国防相から国防省に招かれて、参謀総長以下の軍幹部に講演して、中国に触れたことがあった。
インドは中国によって面積が九州よりも広い、ラダック地方の大きな部分を奪われたうえに、中国がアルナュル・プレディシュ州を蚕食してきた。
私は中国が日本の尖閣諸島を含めて、6つの国に対して、不当な領土要求を同時に行っていたが、中国の指導部は権力闘争によって、意志を統一することができず、思考が中華思想によって蝕まれているために、戦略的思考ができないと述べた。そして、軍が上から下まで腐敗しているために、全面戦争を戦う能力がなく、国内的な事情によって暴走して、軍事冒険に乗り出さないかぎり、恐れることはないと指摘した。
中国は今日、日本、インド、インドネシア、ブルネイ、マレーシア、ベトナム、フィリピンの7つの国から、領土を略取しようとして、紛争を発生させている。だが、7ヶ国の人口を合計すると、20億人を超え、経済力も、中国を上回る。ひと口でいって、中国の指導部は愚かなのだ。
日印関係を深化することが、求められる。
■ 口先ばかりのオバマ大統領に日本の平和はまかせられない Date : 2014/06/03 (Tue)
東アジア、中東、アフリカで紛争が絶えないかたわら、ヨーロッパは冷戦が終結後、平和が続くものと思われた。
ところが、プチン大統領がクリミアに襲いかかって、泰平の夢が破られた。
オバマ大統領は、昨夏、シリアのアサド政権がダマスカスで毒ガス兵器を使ったと断定して、「レッドラインを越えた」といって、制裁攻撃を加えると発表したが、世論調査が軒並みに「国外の紛争に捲き込まれてはならない」と反対したので、臆して取りやめた。このために、オバマ大統領の支持率が急落した。
中国が尖閣諸島の上に防空識別圏をかがせるという暴挙におよんだのは、オバマ政権を舐めてかかったからだった。
プチン大統領がアメリカが動かないと軽くみて、クリミアに乱入した。
かつてセオドア・ルーズベルト大統領が、「外交は太い棍棒を持って、優しい声で話せ」といったが、オバマ大統領は口ばかり達者で、爪楊子ほどの棒しか手にしていない。オバマ大統領の「レッドライン」は「イエローライン」どころか、侵略を誘う「グリーンライン」になりかねない。
そこで、オバマ大統領はもし中国がロシアを真似て、尖閣諸島を奪ったら、11月の中間選挙でボロ負けすることを恐れて、慌てて日本との同盟を強化するために、日本に1泊だけするはずだったのに、国賓として2泊3日で訪日することになった。
ソ連が崩壊した後に、1994年にウクライナが保持していた核兵器を放棄するのと引き換えに、クリントン大統領、エリツィン大統領、イギリスのメジャー首相と、ウクライナのクチマ大統領が、将来、ウクライナが侵略された場合に、米露英3ヶ国がウクライナを守るために、戦うことを誓約した四者協定に、ブカレストで調印した。今日でも有効であるが、もちろん、誰も守らなかった。
オバマ政権は、安倍首相が靖国神社を参拝して、中韓両国を刺激したことに機嫌を害していた。そして、アメリカが先の大戦の正しい勝者だったという“戦後レジーム”を、安倍政権が壊そうとしていると疑って、不信感を向けていたが、そんなことをいっていられなくなった。
オバマ大統領とケリー国務長官は、ロシアがクリミアで分離独立を問う住民投票を行わせたのが、「国際法違反」であると繰り返し非難した。しかし、インドネシアの一部であった東チモールが分離独立を求めると、アメリカや、ヨーロッパ諸国が強引に介入して、1999年に住民投票が行われ、東チモールが独立した。
強国は、国際法を都合のよい時だけ、持ち出すことを、教えている。
今回のウクライナ危機に当たって、国連は役にまったく立たなかった。ロシアが安保理事会で、拒否権を持っているからである。
日本では長いあいだ、「国連中心主義」という言葉が罷り通っていたが、“役に立たないものを中心とする主義”のことだった。
万一の時には、条約も、国際法も、国連も頼りにならない。「諸国民の公正と信義に信頼」(日本国憲法前文)しては、いられない。
アメリカが、内向きのサイクルに入った。だが、アメリカ国民が厭戦気分へ振れたら困るというなら、日本の平和主義は身勝手な贋物だ。自分の国を自分で守る覚悟が、必要だ。
■ 李白、兼好法師、佐藤一斎に学ぶ
Date : 2014/06/02 (Mon)
5月がまた去ってゆく。
私は生来懶(なま)け者だから、5月に入ったころの暮れなずむ、時が停まってしまったような、空が好きだ。
幼いころから、今日まで気がきかないし、利発ではないから、天地と1つになって、ぼんやりしていると、心が休まる。
良寛和尚が大愚を称していたが、漢詩に長じていた。
無欲一切足、有求万事窮。生涯懶立身、任天真――欲がなければ一切足り、求むるあれば、万事窮まる。生涯身を立つるも懶(ものう)く、自然のままに過す。私は怠惰なために、名利を求めないことの言い訳としてきた。
大愚は、大賢に通じる。大という字を漢和事典で調べると、解字として、人が手足をのびのびといっぱいに拡げたさまであると、説明されている。時間に構わずに、大の字に寝転んで、英気を養う。心が広くなる。のんびりと、気が向くままに暮したい。
私の父は英米派の外交官だった。ロンドンに勤務した時に、チャーチルの知遇をえた。
父も暇をつくっては、怠けていたが、チャーチルの「立っているより、座れるなら座るほうがよい。それよりも、寝転がるのがよい」という箴言を、座左銘としていた。私の怠け癖は、親譲りのものだ。
父が漢籍を好んだので、私も中学時代から漢詩に親しんだ。いまでも、李白の多くの詩を、諳んじることができる。
李白は酒を讃える将進詩によって名高いが(将はすすめるの意味)、夢を称える詩によっても、よく知られている。
ある日、李白はまどろんだあいだに、今日の中国浙江省の天姥山の山水の美のなかに誘われ、悦楽にみちた、にぎやかな夢をみた。天姥山の夢として有名である。
この長い詩は、「どうして眉をしかめ、腰をかがめて権力者に仕え、自分を不愉快にさせることができようか」と、結ばれている。
5月になると、風が光を運んで匂う。木の芽が光を戴いて、すくすくと伸び、葉身が幅を拡げてゆく。
新緑から光が溢れてこぼれるのを見ると、私が手を貸さなくても、若い生命力が働いているのが、喜ばしい。
『徒然草』は、王朝時代の随筆文学の傑作であるが、「徒然なるままに日暮し」から、始まっている。
兼好法師は優れた歌匠でもあったが、次からつぎへ、つれづれと物思いにふけるなかで、「気の散ることもなく、ただ1人でいるのは結構なものだ。社会についてゆけば、心が俗塵に汚されて、欲望に迷いやすい。物事を争い、恨んだり、喜んだり、心が少しも安定しない」「利害損失の欲念によって、支配されてはならない」と、戒めている。
私は急ぐのは犯罪だと、自分にいつもいい聞かせてきた。自然はあくせくしない。芽をふく時があり、花を咲かせ、実を結ぶ時がある。自然は急がない。自然を手本としたい。人の心も生きているから、のびのびとした時間を必要とするはずだ。
それなのに、世人はなぜ全員が宅急便になったように、急ぐのだろうか。世塵――世間のわずらわしい俗事――をまきあげて、視界を悪くする。
自然は有機的な時間によって、動いている。ところが、地下鉄、タクシー、自動車、新幹線、航空機に乗ると、無機的な時間だから、心を蝕む。できるだけ、歩きたい。
私たちは炊飯器、掃除機、風呂の自動湯沸し器から、レトルト食品、コンビニの弁当、電話、スマホによるメールまで、さまざまな心を省く機械や商品によって、自分を深く傷つけている。井戸から水を汲んだり、掃除や、風呂炊きや、炊事をはじめとして、心を伝える場がなくなった。それだけ心が貧しくなった。
4月に千葉市の郊外に愚妻を連れて、親しい刀匠の仕事場をたずねて、半日遊んだ。あらためて刀身の匂いぐちに、魅せられた。刀身の地膚の境に、焼刃がほのぼのと色がうすくなって、煙か虹のようにみえる部分を「匂い」と呼ぶが、日本刀を美術品としているゆえんである。
匂うというのは、香りではない。万葉集の「朝日に匂ふ山櫻花」の句は、よく知られているが、輝くという意味だ。陽光にいきいきと美しく映えて、まぶしい。風が輝くことも、匂うという。
5月に、いま売れっ子の若い女優の村松えりちゃんから、自宅に可憐な白い鈴蘭の小さな鉢が届いた。添えられたカードに、「Jour de Muguetの日に」と記されていた。5月1日はフランスの古い習慣で、鈴蘭を贈る日となっている。
村松えりちゃんは、匂う美女だ。『源氏物語』には麗しい女人が登場するたびに、「匂ふ」と形容している。光源氏をはじめとする男たちの胸の鼓動が、伝わってくる。
もっとも、私は閑居にずっと安じていたいと思うものの、淡粥(たんしゅく)を啜って飢えを癒し、世人が捨ててかえりみない、布切れを縫い合わせた衲衣(のうえ)をまとうためには、おっくうなことだが働いて、口過ぎ――生活を立てなければならない。
原稿の締め切りに、追われる。講演のために、車中や機中で過す。しばしば、海外に招かれる。毎日、事務所に来客が絶えない。
だが、忙裏のうちに、自分を見失ってはならない。私は幕末の儒者だった、佐藤一斎を敬まっているが、幕府の聖堂と称された学校の昌平黌(しょうへいこう)の学長をつとめた。
一斎は「真の己を以て仮の己に克つは、天理なり」「治心の法は須(すべか)らく至静を至動の上に認知すべし」(『言志四録』)と説いている。仮の己に負けてはなるまい。私にとって懶けることが真の己であり、至静こそが治心の法である。
■ 「オバマ大統領の来京」 アメリカ合衆国大統領の紋章の由来
Date : 2014/06/02 (Mon)
オバマ大統領が、来京した。
大統領専用機の『エアフォース・ワン』の扉に、アメリカ合衆国大統領の紋章が描かれていた。
鷲が頭を右に向けて、右の鉤爪でオリーブの枝を、左の爪で矢束を握っている。
いつか、私がホワイトハウスに招かれた時に、大統領の紋章が話題になったことがあった。
トルーマン政権までは、鷲の頭が左を向いていたが、右を向くように改められた。これは、鷲の頭が左を向いていると、左翼に加担しているような誤解を招くからではなく、ヨーロッパの紋章学の専門家から、鷲の頭が右向きが正しいと、指摘されたからだった。
第二次大戦が終わった翌年の1946年3月に、チャーチル首相がトルーマン大統領の生まれ故郷のミズーリ州を、訪れた。この時、トルーマンがチャーチルに、改められたばかりの大統領紋章について説明して、鷲が平和の象徴であるオリーブの枝のほうを向いているから、「これからは、平和の時代が続くでしよう」と、いった。
すると、チャーチルがオリーブの枝に5、6個、小さな実がついているのに気付いて、「この原爆があれば、平和が守られるでしよう」といって、いたずらっぽく笑った。チャーチルは、機智に富んでいた。
鉄のカーテンが平和を護る
この時、チャーチルがミズーリ州フルトンで、「東ヨーロッパに“鉄のカーテン”が降りた」と演説したために、「鉄のカーテン」という造語が、世界に定着した。
どのような国家も生存するためには、この鷲の紋章のように、一方の手でオリーブの枝を、もう一方の手で矢を握っていなければならない。
いままで、人類史上で兵備を持たずに、諸外国の国民の善意だけを頼って、生き延びた国は、1つもない。もし、日本のように真面目に軍備を整えようとする気概がなければ、力のある外国の属国とならなければならない。
戦後の日本の“平和ボケ”と平和憲法体制は、アメリカの軍事力による保護なしに成り立たなかったから、アメリカの保護と一対のものだった。
平和憲法を護持するもの
日本は占領時代が終わると、外形的に独立を回復したものの、国民が自立心を取り戻すことがなかったから、アメリカによる保護のおかげで、“保護ボケ”を患ってきた。
日本の現憲法が世界で唯一つの平和憲法なのかといえば、そのようなことはない。日本国憲法の「戦争放棄」条項は、イタリア、アゼルバイジャン、エクアドルの憲法にも謳われているが、3ヶ国とも憲法によって軍隊の保有と、徴兵制を定めている。
3ヶ国に加えて、155ヶ国の憲法が侵略戦争を禁じているが、自衛戦争は肯定している。
いま、安倍首相が集団的自衛権の行使を禁じてきた憲法解釈を改めようとしているが、与党の公明党や、野党の一部が強く抵抗している。
そのなかに、内閣が状況に合わせて、憲法解釈をくるくると変えるのは、憲法の最高法規性を損なうという意見があるが、国家も、憲法も骨董ではなく、生き物だから、外的な環境に適応しなければなるまい。
政府が国家として集団的自衛権を行使する権利はあるが、違憲であるという解釈を行ったのは、ごく最近のことでしかない。昭和56(1981)年のことだが、日本の安全保障とかかわりなく、野党との政治取り引きのために行われたのだった。
集団的自衛権の行使について、憲法解釈を緩和するのをめぐって紛糾しているが、日本が成熟した国だと、とうてい思えない。
国連憲章の51条はそれぞれの加盟国が、「個別的又は集団的自衛権の固有の権利」を持っていることを認めている。
日本政府は戦後一貫して、憲法第9条のもとで、自衛権の行使が許容されているという見解をとってきた。
国連憲章をみれば、個別的自衛権と集団的自衛権が一体のものであって、不可分であることが分かる。今日の世界では、独立国が自分の力だけで国を守ることができない。日米安保体制もその1つである。
集団的自衛権の行使を禁じている憲法解釈を変えることに、反対している人々がいるが、もし改めたら、日本が再び戦争を仕掛ける国になってしまうと、批判している。日本はそんなに危険な国なのだろうか。
憲法は平和を護るためにある
日本では国民が、政府を選ぶ。集団的自衛権の行使を認めると、戦争を仕掛ける国になるというのは、国民を侮辱している。
それよりも、いま、日本は戦争を吹きかけようとしている国によって、脅かされている。 そのような時に、自国の手足を縛る議論にうつつを抜かしていて、よいのだろうか。
日本が侵略を蒙って、大きな人的、物的被害を蒙ったら、憲法も、平和主義もあったものではない。憲法は憲法を守るためではなく、平和を保つためにあるべきものだ。
中国の発表によれば、今年、中国は国防費を12.2%増やした。昨年の10.7%を上回っている。力によって他国を従わせようとしている国に対しては、力によって対抗するほかない。
公明党の山口那津男代表が、集団的自衛権の解釈を見直すことに反対して、「個別的自衛権があれば、足りる」と、主張しているが、防衛問題についてまったく不勉強だ。防衛問題について、口を開く資格がない。
私は公明党の山口代表に、個別的自衛権の中身について、即刻、検討をはじめるように提唱することをすすめたい。
2月に、関東甲信と東北が記録的な豪雪に見舞われた。雪がやんで4、5日後に、テレビのニュースをみて、唖然とした。安倍首相を囲んで、「豪雪対策本部」が設置されたというものだった。
他の主要国では、大型地震、ハリケーン、洪水などの事態に備えて、ふだんから軍司令官を指揮官として、陸海空軍(アメリカなら海兵隊も)、警察、沿岸警備隊、消防、医療機関、薬品、食品、倉庫、運送会社などを傘下に置いた組織が常設されて、中央から指示があれば、すぐに災害に対処できる体制をとっている。
日本では、東日本大震災の時も、まず閣議が召集されて、議論が行われたうえで、ようやく対策が講じられた。
個別的自衛権の行使とは
個別的自衛権の行使に当たっても、まったく同じことなのだ。
かりに尖閣諸島の周辺海域で、わが海上保安庁の巡視船が、中国の公船から攻撃を受けたとしよう。海上自衛隊の護衛艦がすぐ近くにいたとしても、傍観するほかない。
総理大臣が「防衛出動命令」を下令するまでは、全自衛隊が金縛りになって、武器を使用することができない。
防衛出動命令
首相が「防衛出動命令」を発するためには、まず閣議が召集される。そのあいだを省略するが、最後に衆参両院の議決を必要とする。
いったい、どれだけの時間が失われることになるのだろうか?
これを地方自治体に、置き換えてみよう。この町の条例に「消防出動命令」がある。ボヤが起ったとしよう。まず町長が役場の幹部を集めて、どうするべきか、相談する。
そのうえで、町議会が召集される。消防車が出動すべきか議論が重ねられ、議決にかけられる。
ようやく、消防車が火災現場に到着するが、そのころにはボヤを出した家が全焼して、火が周囲に拡がって、町全体を焼く勢いで燃えている。
世界のどの国でも武器使用は、当然のことに現地指揮官の判断に委ねられている。
これでは、個別的自衛権があっても、ないに均しい。
■ プライドと偏見が交錯するロシアのクリミア侵攻
Date : 2014/05/12 (Mon)
プチン大統領のロシアって、いったい、どんな国なのだろうか?
正式な名称は、ロシア連邦だ。連邦の傘下に、およそ80の共和国、自治州、自治管区があって、160以上の民族をかかえ、100以上の言語が話されている。
ロシアは先端兵器をつくっているが、他にみるべき工業製品がない。世界で“メイド・イン・ロシア”のラベルがついた消費財を、見かけることはない。私はロシアを、採集・狩猟経済の国と呼んでいる。
外貨を稼ぎだしている産品といったら、石油、天然ガス、キャビア、ウォッカ、貂や、熊の帽子や、毛皮といったように、採集・狩猟経済の時代に属している。
ロシア経済は、うまくいっていない。原油価格が高止りだったあいだは、うけに入っていたものの、このところ振わない。プチン大統領の人気に、翳りが生じるようになっていた。
私はソチ冬季オリンピック大会の開会式の演(だ)し物を、テレビでみて、ロシア人が自国の歴史に強烈な誇りをいだいているのを、あらためて痛感した。
今回、プチン大統領がウクライナから、クリミアを強引に捥ぎ取ったのに対して、中華思想に似た大ロシア主義と、しばしば外から侵略を蒙ったことに由来する被害意識と、西側に対する劣等感が入り混じった、ナショナリズムが燃えあがった。
プチン大統領は鶏小屋を狙う、鼬(いたち)のような眼をしている。大統領になった時から、「20世紀の最大の悲劇は、ソ連が解体したことだ」と、公言してきた。そして中央アジアからウクライナまで網羅する、新ソ連版の「ユーラシア連合」を構築しようとしていた。
プチン大統領をみていると、遠大な計画があるように思えない。出たとこ勝負で、行動する。
2月にウクライナの首都キエフで、せっかく手懐けたヤヌコビッチ大統領を、民衆が立ち上って、追放した。そのために、プチン大統領はウクライナを、丸ごと「ユーラシア連合」に取り込もうとしていたところだったから、かっとなって、ロシア住民が60%以上を占めるクリミアを、ウクライナから切り取ることを決めたのだろう。
ロシアでは、プチン大統領の支持率が急上昇した。
アメリカ、EU(ヨーロッパ連合)が、猛反発した。「新冷戦」といった警告がマスコミを賑わせたが、大企業がロシアに投資しているために、厳しい経済制裁を加えたくないので、プチン大統領の側近たちに、入国ビザを発給しないなどの軽いものになった。
アメリカとEUが恐れているのは、ロシアがクリミアに味をしめて、やはりロシア住民が多い、ウクライナ東部を奪うのではないか、ということだ。そうなったら、「新冷戦」に近い状況が生まれて、ロシアに対してもっと重い制裁を、加えなければならない。
だが、プチン大統領はクリミアを盗んだために、大損したのではないか。
アメリカ、EUがどのように騒ぎ立てても、プチン大統領がクリミアを吐き出すことは、ありえない。
ウクライナは貧しいが、人口が5000万人近い、旧ソ連のなかでもっとも重要な国だ。クリミアを取り上げたために、ウクライナは二度と、親ロシア政権を持つことがあるまい。「ユーラシア連合」は、ウクライナ抜きでは、みすぼらしいものにしかならない。
ロシア連邦の共和国、自治州のなかには、住民投票によって連邦から脱退して、独立したいと願っているところが、いくつもある。クリミアが住民投票によって独立したのを、前例にしたいと思おう。
アメリカのシェール・オイル・ガス革命によって、原油価格が下落してゆくことになるが、ロシアの将来は薄暗い。
■ 新刊の発行のお知らせ
Date : 2014/05/07 (Wed)
5月8日に、私の新刊の『中国人韓国人にはなぜ「心」がないのか』(KKベストセラーズ・ベスト新書、820円)が、刊行されます。
まえがきを、お読み下されば幸いです。
<中国と、韓国の実像を知るためには、両国の成り立ちが、日本といかに大きく異なっているか、比べれてみればよい。
中国を理解すれば、韓国は属国として、ずっと中国の猿真似をひたすらしてきたから、付録のような民族だと思えばよい。
中国は世界のなかで、もっとも貪欲な文明であってきた。
中国を理解する大きな鍵が、3つある。
まず、食文化の中華料理だ。次に王朝がしばしば交替する易姓革命であり、第3に、中国人の頭を支配してきた儒教である。
このなかでも、中華料理は中国人全員の生き甲斐(がい)であって、中国人の精神構造の謎が秘められている。
中華料理こそ、中国人に独特な思考と、行動様式を説明してくれる。せっかく、日本人は中華料理を日常好んで食べているのに、料理のなかに中国のどのような物語がこもっているのか、気づかない。
今日、中国は中華人民共和国を称しているが、国の名前は実体とまったく関係がない。3000年にわたって滅亡しては、興った数多くの中華帝国の1つである。
中国と日本は、すべてが正反対だ。中国人は即物的だが、日本人は精神性を尊ぶ。中国人は自己主張が強いが、日本人は和を重んじるから、譲り合う。
中国人は量を、日本人は質を求める。中国人が不潔であるのに対して、日本人は清らかさを望む。中国人は自分に都合のよい論理を振り回すが、日本人は感性によって生きている。
中国人は外見を、日本人は内面を大切にする。中国人は自己本位であるために、相手が悪いと思うが、日本人は謙虚だから、自分のほうが悪いにちがいないと、思いがちだ。
本文をお読み頂きたいが、中国人も日本人も、古代から人としてのありかたが、まったく変わっていない。中国と日本は2000年前から対照的だったが、そのまま、今日の中国と、日本の違いとなっている。
私たちは長いあいだにわたって、中国人も日本人と変わらないから、心を通わせることができるにちがいないと、勘違いしてきた。中国人が心を持ちあわせていないことに、気付くことがなかった。
中国を理解する4つ目の鍵は、中国は歴史を通じて、政治が1から10まですべてであって、他に何もない政治文化であることだ。政治の役に立てば、平気で嘘をつく。真実は政治の役に立たないから、まったく顧(かえり)みられない。
儒教も、よい例だ。儒教は日本では、道徳哲学であると誤解されているが、本場の中国の儒教はいかに人民を統治するかという、政治思想である。
政治がすべてだから、最高権力者を頂点とする“役人天国”であることも、今日にいたるまで少しも変わっていない。役人がのさばっている。役人は自分の懐(ふところ)を肥すことに、忙しい。
軍人も、役人に負けていない。習近平体制になってから、軍人に高級ブランドを買ったり、高級レストランにおける接待を禁じたが、病根は政治文化にあるから、深いものだ。
人民解放軍の機関紙『解放軍報』が、「清日戦争から教訓を学ぼう」という記事を、3月24日に載せたが、「清軍が直面した多くの問題は、現在、人民解放軍が闘争中のものだ。それは、縁故採用や、派閥抗争、汚職行為も含まれている。もし、この現象が続いてゆき、中日間で軍事衝突が起きれば、解放軍はまた負ける」と、訴えている。
今日でも、中国はおぞましい儒教国家である。儒教は、国全体よりも何よりも、自分の一族である孝を大切にする。日本のように、公(おおやけ)を重んじる心がない。
日本人は一族よりも、国家を上に置いてきた。中国では、為政者に奉仕することが求められていても、国全体に対する忠誠心が存在しない。
中国を理解する5つ目の鍵は、中国が国ではなく、文明であることだ。
文明であるから、国境がない。中華帝国は清朝が19世紀なかばに、イギリスと阿片戦争を戦って敗れるまで、国名を持っていなかった。中国の皇帝が、全世界の支配者であると思いあがっていたから、王朝名があっても、国名を必要としなかった。イギリスと南京条約を結ぶことを強いられたので、便宜的に王朝名の清を、国名として使った。
中国人は中華思想といわれるが、中華文明が世界で最善のものであると、みなしている。中国の皇帝は地上で誰よりも、もっとも高い徳を備えているとされた。そこで、中国が周辺の諸民族を征服して、支配下に置いても、侵略したのではなく、「徳化」したとされた。
習近平国家主席が「中華民族の偉大なる復興」を叫んでいるが、かつての中華帝国を復活させようとしている。漢民族は古代から、自己中心な“天下イズム”を、信奉してきた。
もっとも、中国という呼称は、かなり新しいものだ。孫文が1911年に辛亥(しんがい)革命が成就して、国名を中華民国に定めた時に、通称をどのように呼ぼうか、会議にはかった。
中国の伝説上の最初の王朝が夏だったことから、「大夏」にしようという案が有力だったが、中国が採用された。日本の中国地方のほうが、古いのだ。>
ご期待下さい!
■ 中国を学ぶ事は道を開く
Date : 2014/05/02 (Fri)
4月はじめに、出版社から求められて、中国論の本を大車輪で書きあげた。
『中国人韓国人にはなぜ「心」がないのか』という題名で、5月8日の発売予定ということである。
中華文明の入門書のようなものだが、中国人の精神構造を知ろうとするなら、大学で講義を受けるよりも、中華料理店に通うことをすすめたい。
食が最大の重大事の源
中国人にとっては、日本と違って、食が最大の重大事である。これほどまで、食に執着している人々はいない。食が中国人を、中国人たらしめている。
中国料理は全てが食材、忌避がない
どの国の食文化をとっても、宗教的な理由か、慣習的な理由で、食べないものについてタブーがある。中国料理は忌避するものがない。世界で、メニュウの幅がもっとも広い。中国に「不問鳥獣虫蛇、無不食之」(鳥獣虫蛇を問わず、食さないものがない)という、古い諺(ことわざ)がある。
中国人は何ごとについても、即物的で、享楽的だ。日本人が質実を重んじて、禁欲的であるのと、正反対だ。
中国料理では招待主がテーブルの中央に座って、もっともよい位置を占めている。
主人はコンダクター
日本では、主人が自分を卑下して、出入り口に近い、もっとも低いところに座るが、中国では食が何よりも重大事だから、主人はオーケストラの指揮者(コンダクター)のように、全体を見回せるところに座る。中国人から見れば、日本の接待主は食だけでなく、客を軽くみているようで無責任だ。
中国では人間関係から対外政策まで、あらゆるものが、中華料理の油っこい臭いを発している。食は胃の問題だから、胃が心より上に置かれている。
宰相の語源は腕が立つ料理人
宰相という言葉があるが、日本ではまさか「宰相」という言葉から、料理を連想する者はいまい。
ところが、中国では「宰相」は、腕が立つ料理人のことだ。厨房(ちゅうぼう)における才能を評価されて、皇帝に仕える官吏全員の長となった。
角川漢和中辞典で「宰」という字をひくと、「君主のそば近くに仕えて、ことに料理をつかさどる者をいい、転じて官吏の長となった」といい、「宰相」は「料理大臣」と説明されている。
伊尹は中華料理の宗家
中国最古の王朝の殷(いん)の料理人だった伊尹(いいん)は、3代の皇帝に宰相として仕えた。伊尹は今日でも、中華料理の宗家として崇められている。
今日でも、中国では食を武器とする饗応が、政治や、駆け引きの大事な場となっている。
王になった料理人もいた。少康(しょうこう)は夏の5代目の王となった。虞(ぐ)の王の料理人だったが、夏に軍を率いて攻め込んで、王位を奪った。
清の乾隆(けんりゅう)帝は6代皇帝として、中国の領土をもっとも大きく拡げた。
乾隆帝は、遠征戦争を10回戦って勝ったために、「十全老人(シチェンウコン)」として、共産中国においても称えられている。食道楽をきわめたことによっても知られており、「老饕(ラオタオ)」と呼ばれている。饕(とう)は「むさぼる」、「老(ラオ)」は、若者でも「老師」と呼ばれるように、尊称である。
乾隆帝のもとで、故宮などの宮殿の膳房(ぜんぼう)に、1万人以上の料理人と、料理人を助ける使用人が働いていたと、記録されている。
漢時代の『戦国策』に、斉の宣王が顔斶(がんしょく)を軍師として召し抱えようとした時に、自分に仕えれば、毎日、「太牢(たろう)」を用意するといって、誘った故事が記されている。「牢」は「いけにえ」だが、祭に供える豪華な料理だ。
日本で武士を召し抱えようとするときに、料理によって釣ることは考えられない。
中国の多くの古典が、食に言及している。
『論語』のなかでは、孔子が「飯は精白のものをよしとし、膾(なます)(魚貝や、獣肉)は細かく切ると、美味しい」から始まって、食について蘊蓄(うんちく)を傾けている。
中国の伝説によると、古代の王朝や諸侯は、すべて黄帝から出た。黄帝がすべての漢人の遠祖であるといって、中国人全員が誇っている。黄帝も、「中華料理の開祖」「竈(かまど)の神」として、崇められている。
当初の中国訪問、1979年の年
私が中国に招かれて、はじめて北京を訪れたのは、1979年(昭和54)年だった。華国鋒(かこくほう)時代だった。
人民解放軍の李達(りたつ)副参謀総長が、私のために天安門広場に面する人民大会堂で、歓迎晩餐会を催してくれた。
華味三昧の境地
李達将軍は80代で、中国でよく知られた軍人だった。毛沢東の大長征の戦友だった。
李将軍が、新しい料理が運ばれてくるたびに、長い箸を使って、私の皿によそってくれた。まさに華味三昧(ざんまい)だった。私はもてなされながら、西太后(せいたいこう)が義和団の乱に当たって、北京を捨てて、新しく敷設されたばかりの鉄道で、西安へ逃れたことを思い出した。
西太后は宦官(かんがん)に担がせた鳳輦(ほうれん)に乗って北京駅へ赴き、16輌編成のお召し列車に乗った。このうち、4輌が厨房車だった。50人の上席料理人と、同数の次席料理人が乗り組んだ。
清朝の皇帝の食事は、毎日2回の正餐に百品の料理と、間食に40点を出すのが、規則となっていた。
中国では接待する時には、食べられないほどの料理を出すのが礼儀であり、主人の見栄である。残したら、主人の面子を潰す。
料理の種類と皿の数が良否を決める
中華料理は1品1品の内容や、できばえよりも、料理の種類と、皿の数の多さによって、よし悪(あ)しを決める。
日本人は、粗食だった。食べきれないほど、出さない。出されたものは、すべて食べた。
毛沢東主席の死後、側近の回想によると、毛主席は大躍進運動によって、数千万人が餓死していたあいだ、連夜、山海の珍味を楽しんでいた。
日中の食文化の違いは、精神文化の違いである。中国で先祖を祀る時に供える料理は、豚の頭の丸焼きをはじめ、豪華さと美味しさを競っている。
神社で供えられる神饌(しんせん)は、穀類、堅塩(かたじお)や、昆布、大根、キュウリなど、僅かなものだ。
神社建築は簡素なものであって、霊性を感じさせるが、中国の道教の廟は極彩色で、日本料理に対して、中華料理そのものだ。
日本料理は、素材の味を大切にする。中華料理は、異なった食材をいろいろ使って、揚げたり炒(い)ったり焼いたり、手間をかけて、もとにない味をつくる。中国人が饒舌(じょうぜつ)であるのに、よく似ている。
日本人は食に対して淡白で、料理も外見が美学の対象になる。清らかであることを、重んじている。中国人は即物的だから、ただおいしければよい。
中国人は、高邁(こうまい)な宗教を信じない。食こそが、神である。中国人は現世利益だけを求めて、生きている。
日本人のあいさつは、時間によって、「おはよう」「こんにちは」「今晩わ」だ。中国では、「你吃飯了嗎」(ニーチーファンラマ、あなた食うたか?)に、決まっている。韓国も、同じことで、「シクサハッショスムニカ?」(食事はしましたか?)だ。
中国近代文学の巨人魯迅の考え
中国近代文学の巨人である、魯迅の代表作の『狂人日記』の主人公の青年は、日頃、自分も食われてしまうかもしれないという、恐怖に、苛まれている。魯迅はこの作品のなかで、中国の歴史は同じ人間を食べ散らかし、まわりの国を食べ散らかしてきた歴史でしかないと、断じている。魯迅の『薬』も、食人の恐怖をテーマにしている。
『食人宴席』の本の真意
鄧小平時代に、一時、出版の自由が緩められて、紅衛兵が文化大革命のときにいくつかの派に分かれて、全国にわたって殺しあって、食べあったという本が刊行され、光文社から『食人宴席』(カッパブックス、黄文雄訳、1993年)という題で、訳出された。
食は、習近平国家主席を頂点とする、党幹部にとっても、最大の生き甲斐となっている。
いま、中国が尖閣諸島に長い箸を伸ばして、啄(ついば)もうとしている。
■ 母そして躾・
Date : 2014/04/30 (Wed)
私の母も、和服を愛好していた。
私は小学校の高学年のころから、着物の着付けを手助わされた。
そんなことから、私は着物の着付けの免許を持っている。それも、協会の名誉総裁をおつとめだった、三笠宮百合子妃殿下のご署名があるもので、大切にしている。
母は新しい着物が届くたびに、いつも明るくなった。私が仕付け糸を抜く係になった。
私は仕付け糸が、着物の仕立てがくるわないように、仮に糸で縁をぬっておいたものだということを、憶えた。
躾けはしつけると同音で、礼儀作法を身につける、身についた礼儀作法という意味で、用いられている。仕付け糸も、同じ根の言葉である。編笠に花をしつけるというように、つける、つくるという意味もある。
5月に董風が吹くころになると、九州から神を迎えて田植えが始まり、桜前線のように北へあがってゆく。田植えは、苗の植付けることだが、苗をしつけるという。
和服姿の女性は、日本の花だ。躾という字は、大正に入るまでは、と書かれることが多かった。躾も、も、日本で造られた国字であって、もとの中国にはない。日本独特のものだ。
演目は忘れてしまったが、3、40年前に亡妻と狂言を鑑賞した時に、「も無い者を出し置きまして、面白も御ざらぬ」という台詞があった。江戸期か、それ以前の作だから、と書いたにちがいない。
私は帰り途に、妻に「お前をしっかり躾けないと、物笑いになるからな」と、いったものだった。
しかし、夫が妻を、あるいは父親が子を躾けるものではあるまい。躾けは、あくまでも母親の役割である。そして、父親が母親の助手を、わきからつとめることになるのだろう。
着付けという言葉も、概念も、中国、西洋諸国をはじめ、世界のどこへ行っても他にない。
日本では、着物は美しく着るだけでは、完結しない。立ち居振る舞いが、美しくなければならない。日本文化のきわだった特徴だ。着る者の覚悟と、心のありかたが問われる。
日本を明治に入ってから、西洋列強に負けない偉大な国としたのは、江戸時代の母親による躾けだった。
■ 集団的自衛権どころか個別自衛権もない日本
Date : 2014/04/22 (Tue)
集団的自衛権の行使を禁じてきた、憲法解釈を緩和するのをめぐって、紛糾しているが、日本が成熟した国だと、とうてい思えない。
国連憲章の51条は、それぞれの加盟国が「個別的又は集団的自衛権の固有の権利」を、持っていることを認めている。
日本は戦後憲法第9条のもとで、自衛権の行使が許容されているという見解を、一貫してとってきた。
国連憲章をみれば、個別的自衛権と集団的自衛権が一体のものであり、不即不離であることが分かる。今日の世界では、独立国が自分の力だけで、国を守ることができない。日本がひたさら縋っている、日米安保体制も、その1つである。
集団的自衛権の行使を禁じている憲法解釈を変えることに、反対している人々は、もし、改めたら、日本が再び戦争を仕掛ける国になってしまうと、批判している。だが、日本はすぐにも戦争を吹きかけようとしている国によって、脅かされているのではないか。
それなのに、日本の手を足を縛る議論に、貴重な時間を空費している。それよりも、どうしたら、中国の手足を縛ることができるものか、知恵をだすべきではないか。
政府が、集団的自衛権を行使する権利はあるが、憲法が禁じているという解釈を行ったのは、かなり最近で、昭和56(1981)年のことだ。愚かな解釈をしたものだ。
公明党の山口那津男代表が、集団的自衛権の解釈を見直すことに反対して、「個別的自衛権があれば、足りる」と、主張しているが、防衛問題についてまったく不勉強だ。防衛問題について、口を開くべきでない。
私は公明党の山口代表に、個別的自衛権の中身について、早刻、検討をはじめるように提唱することを、すすめたい。
今年2月に、関東甲信と東北が記録的な豪雪によって、見舞われた。私は雪がやんでから、5日後あたりに、テレビのニュースをみて、唖然とした。
安倍首相を囲んでいる映像だったが、「豪雪対策本部」が設置された、ということだった。
他の主要国であれば、大型地震、ハリケーン、洪水などの非常事態に備えて、ふだんから軍司令官を指揮官として、陸海空軍(アメリカなら海兵隊も加えて)、警察、消防、医療機関、沿岸警備隊、薬品、食品、倉庫、運送会社などを傘下に置いた組織が、常設されており、中央から指示があれば、すぐに災害に対処できる体制をとっている。
日本では、福島原発事故の時にも、閣議が開かれて、まず議論が行われたうえで、ようやく対策が講じられた。
これでは、遅い。個別的自衛権の行使についても、まったく同じことである。
かりに尖閣諸島の周辺海域で、わが海上保安庁の巡視船が、中国の公船から攻撃を受け、海上自衛権の護衛艦がそのすぐ近くにいたとしても、護衛艦は傍観するほかない。
総理大臣が「防衛出動命令」を下令するまでは、武器を使用することが、許されない。
「防衛出動命令」を発するためには、まず閣議が召集される。そのあいだを省略するが、最後に、衆参両院の議決を必要とする。
いったい、どれだけの時間が、失われることになるのだろうか? 世界のどの国も武器使用は、現地指揮官の判断に委ねられている。
個別的自衛権があっても、ないに均しい。
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4:19 2014/07/19
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小説『ムルデカ 17805』
加瀬英明 [著]
自由社
2001年5月5日発売
ISBN: 4-915237-28-1
価格: 1600円(税別)
【解説】
インドネシア独立のために、戦った日本人兵士たち
1945年、日本敗戦---そして、もうひとつの戦いが始まった。
「ムルデカ=独立」の気運が一気に沸き起こるインドネシア。しかし間もなく、オランダ、イギリスが、再びこの国を統治下に置くべくインドネシアに来攻、独立戦争が勃発した。島崎の教えを受けたインドネシアの青年たちは、真っ先に独立軍に身を投じた。島崎たちは戦犯として、オランダ軍に捕らえられ拷問を受ける。「青年道場」の教え子たちを助けたいという気持ちと、部下を日本へ復員させる責務との間で苦悩する島崎。やがて、捕虜虐待の罪を着せられ、宮田は処刑されてしまう。遺言は「インドネシア独立に幸あれ」。インドネシアの同志たちの手で奇跡的に救出された島崎は、彼らとともに戦うことを決意する…。
4:20 2014/07/19
なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) [新書]加瀬 英明 (著), ヘンリー・S・ストークス(著)
ルーズベルトが周到に敷いた開戦へのレール。そうとも知らず和平を願い、独り芝居を演じる日本政府。この教訓から、今日、何を学ぶか!?本書は日米両国の記録を用いて、日米開戦にいたるまで、東京とワシントンにおいて何が起こっていたのか、時系列的に対比したものである。
加瀬/英明
1936年東京生まれ。外交評論家。慶應義塾大学、エール大学、コロンビア大学に学ぶ。77年より福田・中曽根内閣で首相特別顧問を務める。日本ペンクラブ理事、松下政経塾相談役などを歴任
スコット・ストークス,ヘンリー
1938年英国生まれ。61年オックスフォード大学修士課程修了後、64年来日、フィナンシャル・タイムズ、ザ・タイムズ、ニューヨーク・タイムズの各東京支局長を歴任。三島由紀夫との親交でも知られる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
新書: 243ページ出版社: 祥伝社 (2012/8/1)発売日: 2012/8/1
目次
第1部 アメリカに強要された日米戦争の真実(ルーズベルトが敷いた開戦へのレール米政府が秘匿した真珠湾の真実日本人が知らない日本の歴史的功績この教訓から何を学ぶか)
第2部 ペリー襲来から真珠湾への道(一〇〇年にわたるアメリカの野望ペリーが開けた「パンドラの箱」)
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我々は、国際政治は非情であることを、知らねばならない今日、日本国民の多くが、先の対米戦争が日本が仕掛けた無謀な戦争だったと、信じこまされている。だが事実は全く違う。アメリカは日本が真珠湾を攻撃するかなり前から、日本と戦って、日本を屈服させ、無力化することを決定していた。日本はアメリカが、日本のほうからアメリカに戦争を仕掛けてくるように、企んでいたのに気付かず、政府と軍をあげて独り芝居を演じていた。およそのことはある程度知ってはいたが、時代を追って分かり易くかつ明確にこの流れが書かれた本は寡聞にして知らない。真珠湾攻撃の五ヶ月前に中国からの日本本土爆撃命令にルーズベルトが署名していたことも全く知らなかった。機密文書が徐々に公開されるに従って真実が現れてきた。
5つ星のうち 3.0 太平洋戦争の再評価
ヴェノナ文書や機密文書の解禁により第2次世界大戦の再評価が詳細になされる様になったのは喜ばしいことである。 真珠湾攻撃が宣誓布告なしの卑怯な侵略攻撃であったと米国から避難されている。 しかし米国によるカリフォルニアやハワイの侵略は宣誓布告なしの攻撃で,米国に日本を非難する資格はない。 さらに米西戦争や第1次世界大戦、ベトナム戦争では相手が先制攻撃をしたかのように自作自演,偽装して参入していったのは欺瞞である。 著者の論述には全面的に賛同するが吉田首相の非難には与しない。 防衛をアメリカに任して経済発展にすべての資源を注入したのは正しい選択であったと考える。 戦争前の和平交渉ではルーズベルト大統領の仮面の騎士又は二重人格によって日本政府が完全に欺かれたのである。 満州事変直後からアメリカは日米戦争を仮定して机上演習を開始していた。
5つ星のうち 5.0 我々は、国際政治は非情であることを、知らねばならない,
ビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
今日、日本国民の多くが、先の対米戦争が日本が仕掛けた無謀な戦争だったと、信じこまされている。だが事実は全く違う。アメリカは日本が真珠湾を攻撃するかなり前から、日本と戦って、日本を屈服させ、無力化することを決定していた。日本はアメリカが、日本のほうからアメリカに戦争を仕掛けてくるように、企んでいたのに気付かず、政府と軍をあげて独り芝居を演じていた。およそのことはある程度知ってはいたが、時代を追って分かり易くかつ明確にこの流れが書かれた本は寡聞にして知らない。真珠湾攻撃の五ヶ月前に中国からの日本本土爆撃命令にルーズベルトが署名していたことも全く知らなかった。機密文書が徐々に公開されるに従って真実が現れてきた。
ルーズベルトは1936年、日本が真珠湾を攻撃する五年前に中国の蒋介石政権に、戦闘機とアメリカ陸軍航空隊のパイロットを義勇兵として提供する計画を実現することを命じる極秘の大統領令を発していた。ルーズベルトは中国については全く無知であったにもかかわらず、幼少の頃から、母方の祖父の影響を受けて、中国に好意をいだいていた。
1940年9月末から10月の第一週にかけて、アメリカは日本の外交暗号の全てと、海軍の暗号の一部を解読することに成功していた。
ルーズベルトは、イギリスを救うために、アメリカがヨーロッパ戦争に参戦することを強く願っていたが、アメリカの世論は第一次大戦の惨禍に懲りて「孤立主義」が支配していて、それは出来なかった。そこで日本にアメリカとの戦争を強いて、ヨーロッパの戦争に裏口から入ることを企てた。蒋介石政権に可能な限りの支援を行い、米英が協力して日本に対して完全な禁輸を実施する、蘭印に日本へ石油を輸出させない等々。
日本は日米関係を打開しようと必死だったが、なんとルーズベルトは、蒋介石政権に爆撃機を供与し、アメリカの義勇兵に操縦させ、中国の航空基地から発進させる日本本土爆撃作戦計画書に署名しているのである。真珠湾攻撃の五ヶ月前だった。結果的にはヨーロッパ戦線が急迫し、大型爆撃機をイギリスに回さなくてはならなくなり実施されなかったが。
近衛は日米首脳会談に政治生命を賭けて望み、日米間の障壁を除こうとしたが、会談を歓迎するふりをするだけで、日本と戦うことを決めているルーズベルトは日本をあやし続けた。
天皇陛下は一貫して平和を望まれ、政府も最後まで外交による打開に努力していた。しかし情報はアメリカに筒抜けで、ルーズベルトは日本の攻撃を待っていたのである。
開戦強要のアメリカの最後の一手がハルノートである。それまで日米交渉で積み上げてきたものを無視した、受諾されることを期待していない宣戦布告の文書だった。東京裁判のインドのパル判事は「同じような通牒を受取った場合、モナコ王国やルクセンブルグ大公国でさえも合衆国にたいして戈をとって起ちあがったであろう」と言っている。
暗号解読で、事前に日本の動きを知っていたアメリカは新鋭艦を名目を作って真珠湾の外に待避させていて、真珠湾に残ったのはほとんどが第一次大戦からの旧型艦だった。しかも事前に掴んでいた真珠湾攻撃の情報を肝心のハワイの太平洋艦隊司令官と陸軍司令官だけには知らせず、ルーズベルトはアメリカをヨーロッパの戦争に参戦させるために、日本が真珠湾を攻撃することを知りつつ、ハワイの太平洋艦隊を生け贄にしたのだった。
日本が降伏した後に行われた、日本が二度と立ち上がれないように国際法違反の検閲を含む徹底した終戦後の統治政策、押し付けられた日本国憲法と言う名の不平等条約、復讐劇というよりも日本国民に日本が犯罪国家であると思い込ませるために行われた東京裁判等にはアメリカの強い意志が現れている。
第2章では、イギリス人で、元ニューヨーク・タイムズ東京支局長ヘンリー・S・ストークス氏が、アメリカはペリーの浦賀来航以来、傲る白人優位主義と、キリスト教世界観によって駆られて、日本を屈従させようとしてきたと、論じている。ペリーの行為は「神の意志」によって正当化された侵略行為だった。ペリーも白人キリスト教徒だけが文明世界の家族で、それ以外は孤児のような野蛮人だという、世界観に立脚していた。2000年以上の歴史を紡いできた日本が、果たしてペリーが神に祈ったような未開の蛮地だったのだろうか。多くの外国人が当時世界一の人口の江戸を、高い文化を持った治安の良い理想的な首都と認めていた。
第一次大戦に勝った連合軍の一員だった日本はパリ講和会議で、人種差別撤廃提案を提出し、圧倒的多数で可決されたにもかかわらず、アメリカのウィルソン大統領は重大案件全会一致が原則だとこれを葬った。
日露戦争が白人の不敗神話を崩壊したのは事実だが、日本帝国の軍隊が、香港、ビルマ、インドシナ、インドといった、西側帝国主義の要塞を次々と攻略していった素早さは、それまで白人は不敗と信じていた諸民族を驚愕させた。インドネシアでは敗戦後も多くの日本兵が独立義勇軍に参加してオランダ軍と戦った。しかも侵略された国の青年に軍事教練を施し、近代組織の経営を教えている。日本がアジアの国々を独立させるために、努力を惜しまなかったと見るのが正しい認識といえる。なんとインドネシアは独立記念塔の碑に日本の皇紀の年号を用いている。それほど日本に感謝していたのである。日本はフィリピン、インドなど他のアジア諸国にも同様の対応をしている。
日本は20世紀の人種平等の神話を作ることによって、日本太古の国造りの神話を、20世紀になって再演して見せた。ペリーはパンドラの箱を開けたのだった。パンドラの箱には悪しきものだけでなく、希望も入っていたのである。
著者(加瀬英明)は言っている。「私はアメリカが70年以上も前に、卑劣極まりない手段を弄して、日本を追い詰めたからと言って、嫌米感情を煽ろうとは少しも思わない。日本国民は国際政治が非情であることを、知らねばならない」と。
5つ星のうち 5.0 マクロから見た日米戦。通説しか知らない人のための易しい入門書, 2013/2/28
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
真実は一つだ。だが歴史観は一つではない。二〇一一年十二月八日、東京憲政記念館大ホールで、対米開戦七〇周年シンポジウムが開かれた。テーマは本書タイトルと同じ。講演内容を敷衍して本書がまとめられた。日米戦争とは何だったのか?なぜ起こったのか?日本が侵略国家として責任を一方的に負うべきなのか?はたして日本が加害者で、米英蘭とその植民地アジア地域が被害者なのか?あの戦争へと導いた歴史を公平に検証するとどうなるだろう?
筆者の一人加瀬氏は、東京とワシントンで何が起こっていたか、記録を時系列で比べた。結論は米が日本に仕掛けたというもの。昭和に入り日米が対立を深めてゆく中で、日本は困難を打開しようと真剣な努力を続ける。だが追い詰められていった。日本が真珠湾を攻撃するずっと前から、ルーズベルトは日本と戦って屈服させ無力化することに決めていたからだ。日本は米も平和を望んでいると思い込み、二国間の交渉に望みをかけた。まさに独り芝居だった。米に翻弄され、陰謀にはめられ、やむにやまれず開戦に踏み切ったという。狂乱の時代だった。
もう一人の筆者ストークス氏は少し視野を拡げる。ペリー襲来により江戸が短期間で一変した。平和で繁栄していた日本文化と人々の生活は無残にも破壊された。ペリーの歴史観は白人優越主義だった。美しい日本を破壊した意味がわからなかった。日本は西洋の毒牙から生き残ろうと必死に努力した。工業化に成功し、日清・日露戦争に勝利。ついに真珠湾を襲って日米間の戦端を開いた。米のペリー的なるものが三年八ヶ月の日米戦争を招き、江戸市民末裔が大量に虐殺された。
ペリーはパンドラの箱を開けた。あらゆる悪が出尽くした。戦争という悪だ。ペリーが種を蒔きマッカーサーが収穫した。白人が勝ったように見えた。だが欧米白人による植民地支配が終焉を迎えた。アジア全土で人々が独立を果たす結果を招いた。あらゆる悪が出尽くした後で希望が残った。被支配民の希望、この地上に植民地が存在せず人種平等の世界となる希望だ。それは日本が大東亜戦争に立ち上がった成果だった。白人にとって、ペリーはまさにパンドラの箱を開けたのだった。
国際政治は非情だ。「まこと」によっては動かない。大国の国益、好み、エゴによって動く。日本人指導者は愚かだった。そう一言で片付けられるほど単純ではないことがわかる。通説しか知らない人のための易しい入門書と言えよう。
5つ星のうち 5.0 非情な国際社会と誠実な日本, 2013/8/5
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
普通、日本の学校では「日本が戦争を仕掛けた」と習う。しかしこの本は「アメリカが戦争を仕掛けた」としている。大戦中の1944年、イギリスのオリバー・リトルトン工業大臣が講演にて「日本はアメリカによって謀られて、真珠湾を攻撃した。アメリカが戦争に追い込まれたというのは、歴史を歪曲したものだ」と語った。
なぜアメリカは日本と戦争がしたかったのか。ひとことで言えば、「ルーズベルトの根拠のない偏見と無知と悪意のせい」ルーズベルトはアジアに対して無知だったが、なんとなく中国に親近感があり、なんとなく日本が嫌いだった。当時の米国は蒋介石を援助して様々な日本叩きを工作していた。
日本は「米国も平和を希求しているだろう」と勝手に勘違いしていたので、米国の悪意に気がつかなかった。
日本側がなんとか戦争を回避しようと努力する一方、米国側は日本を挑発して戦争を仕掛けようとしていた。
米国は戦う意志が固まっていたので、日本側からの話し合いに応じようとせず子供をなだめるようにはぐらかした。
スティムソンは「問題はいかに彼らを誘導して我々がさほどに大きな損害を蒙ることなく、最初の一発を撃たせるかだ」と日記に記した。
真珠湾攻撃の後スティムソンは「私は日本が奇襲したという最初のニュースが届いた時に、何よりまずほっとした。この危機が到来したことによって、決断できなかった時が去り、アメリカ国民全員を一致団結できるのだと思って安堵した。(真珠湾における)損害の報告が、刻々と入ってきて、休息に大きくなっていったにもかかわらず、そのあいだ中、深い満足感にひたった」と記している。
チャーチルはルーズベルトに「これで、事が簡単になった」と相槌をうった。米も英も余裕綽々だ。
戦争前夜の日米の様子がとても対照的。
日本側が相手の誠意を信じて誠実に外交努力しているのに比べ、米国側は悪意に満ちた策略を企てている。
東京裁判のレーリンク判事は「連合国は市民を大量に焼殺し、国際法を徹底的に踏みにじった」「日本はアジアをアジア人の手に取り戻すために戦った」「人種差別が太平洋戦争の一因。連合国は日本を人間以下とみなしていた」と著書で語っている。
侵略戦争の罪や、平和に対する罪は、ルーズベルト政権にこそ裁かれるべきであったのだ。
さて、日米戦争の教訓から何が学べるだろうか。今でも相手を誠ある国だと信じれば友好が成り立つと勘違いしていないだろうか。日本人は国際政治が非情なものであることを知らねばならない。
5つ星のうち 5.0 この本を使い何からの授業で絶対に全ての日本人が知るべ
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
窓から見える平穏な日本。全ての日本国民が、70年前に壮絶な命をかけた戦いを経た子孫である。今のこの日常を、大義を重んじ、亡国を憂いて挑み敗れて行った先人達に感謝している人はどれほどいるだろうか。
たぶん、有識ある日本人のほとんどが、アジア諸国を侵略し、あの楽園のハワイ真珠湾でアメリカへ奇襲をかけ、本当に日本は悪いことをしたと思っているだろう。
その罰で広島、長崎があり、沖縄があると思っているはずだ。
私も、ハッキリそうだと言い切れないが、小さい頃から周り(TV、雑誌など)でそう意識付された感である。
しかし、ずっと釈然としていなかった。亡くなった先人には失礼千万だが、乱暴に言えば、国と国とのケンカである。
身の回り感覚に落とせば、ケンカにはお互いに理由があり、原因があり、経緯があり、自己正当の意義がある。
日本は侵略し多くの人を戦争で苦しめたから、先に手(攻撃)を出したしたから・・が相手の言い分だとすると、日本の言い分、正当性は何だったんだろう。
卑怯で自分さえ良ければと思っていたから。負けて当然。反省し自戒し二度と戦争はしませんと誓約書(憲法)まで書かされて。
結果は嫌というほど知らされている。では、なぜケンカを始めなければいけなかったんだろう。当時の日本人が無知で、連勝で思い上がってたから無謀な戦いを挑んだ・・のだろうか?
その全ての疑問に答えてくれたのがこの一冊だ。
最近は余り時間掛けず、全てを読むこともなかったが、同じ箇所を何度も読み直したり、一字一句を理解しながら本当に全てのページを読んだ。
そして、涙した。
加藤氏とヘンリー氏の2部構成で、それぞれ違う内容だが共通するのは、日本人が70年前に何をやろうとして戦いになったかという点。
西欧諸国(本書では白人とも記載)の植民地支配からアジアが独立し一致団結する、それを日本がリードしたという点である。
「大東亜共栄圏」、それを初めて、中身を伴い実感できた。
加藤氏の第一部は、日米開戦までが時系列でリアリスティックに記されている。
日本とアメリカで何が起き、誰が何を考えていたか、何故開戦に進めなければいけなかったかが腑に落ちるように克明となっている。
そして、次の文に涙した。(一部引用)
「国家の存亡を賭けて対米戦争に立ち上がったが、アメリカの圧倒的な力に抗しようがなく、本土を焦土とし、280万人以上を犠牲にして、敗れた」
ヘンリー氏の第二部は、ペリー襲来(来航ではない)以降アメリカが日本をどう見ていたか(ヘンリー氏の言葉は100年の野望)を、日本人ではない視点で記している。
そして、次の文に涙した。
「インドネシア、ジャカルタの独立記念塔の碑には05817と日付が刻まれている。〇五年は日本の皇紀二六〇五年に当る」
「インド人を侮らないでほしい、(英国からの独立を推進した)INAは日本軍と対等立場の独立軍、結果として独立軍将校が死刑になってもインド国民に悔いはない」
小中学生ではまだ分別がつかないと思うが、義務教育として、この本を使い何からの授業で絶対に全ての日本人が知るべきだ。
死して、苦しんで、幾つもの悲しみ、凄惨を経た大東亜戦争、日米戦争が、日本国が大人として自己の存在意義を深く思慮した故の行動だったことを。
その大儀があったればこそ、今の日本国があるということを。
そして、大儀と引き換えに多くの犠牲を伴い、それが全て実際にあったということを。最高5つより以上の星を付けたい一冊でした。
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コメント コメント
4.0 知らなかった・・・・, 2013/1/30
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
小学校、中学校、そして高校と自虐的史観で日本の歴史を学んできました。40歳を超えた頃から、それがいわゆる反日日本人たちに作り上げられたものであることは分かってきてはいましたが、本書を読み、正直衝撃を受けました。
その当時の日本国および日本人のなんとけなげなことか。そしてアメリカとはなんと悪意に満ちた国なのかと。他国を貶めるためにはそこまでやるのか?と。
少しでも多くの日本人が本書を読み、自国の正しい歴史を知り、先祖を尊敬し祖国を愛するようになることを希望します。
5つ星のうち 4.0 加瀬英明氏の主張は十分な検証が必要, 2014/1/20
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
大阪の橋本徹氏が、サンフランシスコ講和条約を日本が結んだ以上、『侵略戦争だった』という評価を受け入れざるを得ないと述べた。国際政治の非情さを知らない、naiveな人間の発言だと思う。我々は70-80年前の時代がどのような時代であったのかということにまず想像力を持たねばならない。例えば、ワシントンD.Cに、アメリカ歴史博物館があり、そこの展示物として日系人強制収容キャンプが再現されている。同時に、その時代、日系人がどのように扱われていたか、当時の新聞や雑誌や、その他の展示物から再現されており、日系人が黄色いサルのような存在として扱われていたことがわかる。
自国の日系人ですらそのような扱いを受けているのだから、その時代、日本人がどのように考えられていたかは、推して知るべしであろう。本書が指摘するように、ルーズベルトもトルーマンもマッカーサーも、そして世界中の人々も、ある意味で人種差別主義者だったのだ。本書の記載によれば、戦時中に行なわれたアメリカのギャロップ社の世論調査では13%の米国人が「日本民族絶滅させる」ことを支持していた。
ルーズベルトは「日本人を温和な南太平洋の原住民と、交配させて無害なやる気のない民族に作り替える計画を立てる」と語り、トルーマンは「日本人は悪辣で残忍な野蛮人だ」と言い、マッカーサーは「ジャップはおぞましい悪そのものだ」と語った。
あの戦争はそんな時代に起きたのだった。
本書の第1部では、加藤氏が、最新の資料駆使し、日米開戦に至るまでを、時系列的に、日本とアメリカ両国の記録を用いて東京とワシントンにおいて何が起こっていたのかを対比し、太平洋戦争がアメリカに強要されたものであることを示す。
ここで示された事実は、私がこれまでに見聞してきたトラ・トラ・トラ!や太平洋戦争や落日燃ゆに示されてきた事実と大いに異なっている。
ルーズベルトが中国に肩入れをし、真珠湾攻撃の5ヶ月前に日本本土爆撃する作戦「JB-355作戦]に署名していたことが示され、ビルマのラングーン飛行場では、日本に戦争を仕掛ける準備がなされていたことが記されている。
また、様々な資料をもとに、日本の外交暗号が全て解読されており、連絡会議の結論を含め、日本の真珠湾攻撃準備状態を逐一把握しながら、日本を戦争におびきよせていた様子が示される。
また最後通告ともなった「ハル・ノート」を起草したのが、ハリー・ホワイト次官補で、ホワイトはロシアのスパイで、ナチスと交戦中のロシアが、極東から日本に攻められないように、日本にアメリカと戦争決意させるように追い詰めることを狙った文書を起草した様子が記される。また真珠湾には日本攻撃時に、第一次大戦からの旧戦艦のみを残し、新鋭艦をすべて避難させており、攻撃による被害を最小限に食い止めるように謀られていた様子が示される。もちろんこれが事実であるとすれば、日本の戦いは自衛のための戦いであり、経済封鎖も含め、先に戦争しかけてきたのはアメリカだということになる。
このあたりの記述は、加瀬氏の論調がやや強引でバランスに欠く点もあり、私にはにわかに信じがたいと感じられた。具体的に一次資料の参照も含め、この点は十分な検証が必要であると思われる。
東京裁判では、それまで国際法に存在しなかった「平和に対する罪」、すなわち「侵略戦争計画して遂行した犯罪」が創出されて、日本は裁かれた。その一方で、日本の降伏後、裁いたオランダは軍隊を立て直し、もう一度植民地支配をしようとしてインドネシアに侵攻・侵略した。
第二部でストーク氏は、アメリカはペリー浦賀来航以来、奢れる白人優位主義とキリスト教世界観に駆られて、日本を屈服させようとしてきたことを論じる。
ストーク氏の筆致は抑制のあるもので、私には十分に説得力があると感じられた。
70年近くの時が経ち、太平洋戦争は痛みの伴う記憶から、検証されるべき歴史へと変貌しつつある。
同時に、戦争の歴史は、ある国の曾孫たちが、他の国の曾孫たちをけん制する政治的外交カードへとなりつつある。ある歴史的事実の解釈は、当然ながらそれぞれの国の立場によって異なる。
敗戦国である日本が、自分たちの言葉で、祖父たちの戦いの意味や歴史的な意義を語ってならないのだろうか。
そうであれば、6-100年前の歴史を毎日のように蒸し返し、あたかも当時、日本が世界一の犯罪国家であったかのように主張する、同じ戦争を戦った韓国の主張も認められないことになる。
人種差別に満ちた時代に、戦勝国が見せしめとして行った裁判の結果が今日まで、我々を縛り続けている可能性もある。新たになった資料を元にした詳細な検討も含めて行い、事実に基づいて、日本国内外に住む外国人の力も借りながら、我々も自分たちの歴史解釈をしっかりと発信するべきだと思う。
韓国中国のプロパガンダを放置し、自分たちの主張を怠ると、国際政治の非情さの中で、我々の子供たちが、世界史に残る凶悪な戦争犯罪人の末裔として、長い将来まで、罪を償わされ、また蔑まれる可能性がある。本書の1部で語られる史実は、私にとっては、あまりにも驚くべき内容が含まれている。私が門外漢なのだからだとは思うが、事実であるのかどうか、是非、注釈に一次資料の参照をきちんと示した詳細な執筆を加瀬氏にはお願いしたい。
5つ星のうち 5.0 世界を西欧フィルターで見るのをやめる時期。,
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
日本、日本の歴史、世界の歴史を全て白人フィルターを通して見させられていたんだと大変ショックを受け、且つ開眼いたしました。
父母は終戦直前生まれ、靖国反対、憲法改正反対の正に自虐史観バリバリの左翼的思想の世代です。私もそんな両親の会話や読む新聞や本に囲まれ、影響を受けたはずですが、この本を読んで涙するような保守的な考えの大人になりました。
「戦争を放棄します。」は「犯罪をしません。」とは話が違います。日本は先の大戦で有色人種の星となりアメリカ始め植民地を失った西欧諸国には憎悪されたのです。根には激しい人種差別もあった。白人の中にある人種差別と有色人種にしてやられた屈辱は70年位じゃ消えることはないでしょう。
私達日本人は、中国、南北朝鮮だけでなく、世界はいつ手のひらを返されるかわからないシビアなものだという教育をされなくてはいけないとおもいます。アメリカが第二次世界大戦に引きずりこんだように 日本が放棄したってきちんとした力を持つ前に巻き込みたい国は実際周りにいくつもあるのです。
この本で安倍総理がASEANを精力的に訪ねたのがとても納得できました。ご先祖様が命がけで作ってくださったこれらの国との絆が消えてなくならない内に日本人も覚悟し、且つしたたかに日本を取り戻す必要があると思いました。
5つ星のうち 4.0 現代の日本人に国際政治の非情さを自覚しなさいという警
マクロ経済から歴史をみる人 - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287)前段の加藤氏の論述は、よくある話なので特段にレビュウーすることはない話と受け止めた。ストーク氏の話は、近著の新書も読んだが、面白い。
まず、かれが、この本のP144,で明確に述べているように、仕掛けた、あるいは追いつめた米国、F・ルーズベルト達について、
特段に悪いことしたと少しも思わないと強調している。あの高慢なマッカーサーですら、愛嬌だと思っている。
これは、経済の戦争でも、政治でも、同じ話である。仕掛けて刈り取る。「考え方が、根本的に違うのである。」
かって、毛沢東が政治は血のでない戦争だといい。戦争は血だらけの政治であるといいはなった。これは、政治を経済に置き換えても、通用する話であり、このアメリカが仕掛けた戦争は、ある面、世界の経済覇権を競った面が大きい。
たとえば、アメリカがドルとい基軸通貨を英国から、むしり取った大きな仕掛けの中で、語られる物語である。
純粋でナイーブな話は、いっさい関係ない、平和に暮らしていますも関係ない。
いやむしろ関係ないと思っている人や国が力を背景に、国際政治、その機関、国際経済、その機関を牛耳って、やりたい放題をしている世界において、日本、日本人は悪くなかったと叫んでも、だからどうしたということでしかない。
負けたくせに、態度が大きいぞ、という声しか聞こえない。だからといって、日本人がいじけてはいけないぞ、とストーク氏はいう。
ずるいという言葉は、日本人は嫌うが、ある面、ほめ言葉である。ずるいを一歩深めて、狡知という理論やゲームまでに
議論を深める必要がありますよ、大好きな日本人よ、とりわけ、若い人、これから、グローバルやら、自由競争などの掛け声の中
冷水を頭から、かぶせられ、熱いトタンの上に寝かされてしまいますよ、という警告本である。
それにしても、戦後、日本人は、あれ程の戦火に巻き込まれたにしては、歴史の総括をしてこなかった。つくずく、司馬遼太郎の
予言どうりに、なってしまいましたね。
この本を、参考にしあれ程の犠牲を払った戦争から、何を学ぶべきか?「二度と過ちを、繰り返しません?」
何の過ちか?だれが、どの場面で誤ったのか。それを教訓として、どう米国、中国、ロシアなど狡知に長けた国と、どう渡り合って
いくのかが、問われている。そのようにこの本は問うていると思う。
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5つ星のうち 5.0 加瀬さんの評判は色々有るが、本書の内容には全く同感,
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
私は、加瀬さんの評判も色々確認してみましたが、統一教会との関係や韓国人女性記者を装って本を書いた等余り芳しくないものもあります。しかし、両著者の書かれている内容には全く同感であり、今まで私が考えていた事とほぼ同じです。例えば、広島原爆の碑の曖昧さの例や中国や北朝鮮の共産化と日本の敗戦処理、ルーズベルト愚策、日本が実際に東南アジアに対する独立の切欠を作り、イギリス、フランス、オランダの再植民地主義を阻んだ事実、キリスト教徒の話等は、私が常々考えている事です。
NHKスペシャルは、さも「植民地主義が終わろうとしていたのに、その世界の流れを日本が気付かず戦争を始めた」とのコメントを紹介していたが、之こそ「日本がとにかく悪い」と押し付ける論者達の大嘘八百である。それどころか、上で指摘したように、終戦後、イギリス、フランス、オランダは元の植民地に戻ろうとして、独立戦争になり、追い出されている。アメリカでは、その時期まだ人種差別が続いていた。ベトナム戦争には黒人兵が登場するが、第二次世界大戦の映画には黒人兵(混血除く)は登場しない。日韓の夫婦はいたが、白人と黒人の結婚さえ出来なかった。
大学の時代から、少しは政治や外交に興味はあったが、民主党の愚かな政策と「裏マニュフェスト」の存在を知ったお陰で、もう一度近代史を勉強する切欠ができ、この本も出版早々読ませて頂いたしだいです。ただ、もう一寸、加瀬さんの部分は、日本の左派や妙な歴史学者が嘘だと否定する可能性が有るので、内容の出展や回想録の題名、時期等詳しく示して頂ければ幸いです。
5つ星のうち 5.0 愛する日本の近代史, 2014/1/15
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
日英2人の著者によって、愛する日本が近代をどのように歩んできたか、アメリカ、ヨーロッパ諸国、東南アジア諸国との関係を中心に書かれた本である。ペリーが黒船で来航して以来、日本は平和で爛熟した江戸時代の鎖国から一気に弱肉強食の非情な世界史の真只中に放り込まれ、猛獣の欧米諸国の餌食となることに怯えつつ、ひたすら富国強兵への道を歩み、いくつかの近代戦争に勝利すると、欧米白人国家のリーダーであるアメリカから危険視され、やがてルーズベルト政権によって否応もなく日米戦争に引きずり込まれ、史上初の敗戦を経験した。そして、戦後もマッカーサーの占領政策によって、日本人から誇りを奪うべくさまざまな洗脳工作が行われた。たとえば、戦争の放棄を取り入れた日本国憲法の制定や日本を侵略者と決めつけた東京裁判がそれである。現代の日本の状況を見れば、米軍基地は日本中にあり、憲法は一度も改正されることがないままであり、日教組が支配する教育界では自虐史観によって子供たちを日本嫌いにさせている。マスメディアは左翼反日勢力が多数派を占めている。いまだ占領時代が続いているかのようである。しかし、こうした戦後体制から脱却し、本来の日本を取り戻そうとする安倍政権になって、今ようやく日本は目覚めつつある。中国と韓国は相変わらず靖国や慰安婦などで反日活動に躍起となっているが、両国は日本国民の多くが安倍政権を支持している意味をよく考えてみるべきだ。また、アメリカとの関係も今後は徐々に見直していき、真に対等なパートナーとなるべく我々は努めていかねばならない。東南アジア諸国とは大東亜戦争当時から今日に至るまで友好関係にあり、今後はかつてのはかなく潰えた理想である大東亜共栄圏を共に築いていくことになるだろう。威張るでもなく、自慢するでもなく、さりとて卑屈にもならず、誰とでも胸襟を開いて付き合うことができる品格のある日本人でありたいと思う。
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
ヴェノナ文書や機密文書の解禁により第2次世界大戦の再評価が詳細になされる様になったのは喜ばしいことである。 真珠湾攻撃が宣誓布告なしの卑怯な侵略攻撃であったと米国から避難されている。 しかし米国によるカリフォルニアやハワイの侵略は宣誓布告なしの攻撃で,米国に日本を非難する資格はない。 さらに米西戦争や第1次世界大戦、ベトナム戦争では相手が先制攻撃をしたかのように自作自演,偽装して参入していったのは欺瞞である。 著者の論述には全面的に賛同するが吉田首相の非難には与しない。 防衛をアメリカに任して経済発展にすべての資源を注入したのは正しい選択であったと考える。 戦争前の和平交渉ではルーズベルト大統領の仮面の騎士又は二重人格によって日本政府が完全に欺かれたのである。 満州事変直後からアメリカは日米戦争を仮定して机上演習を開始していた。 支那事変後からフライング タイガーの計画を具体化させ,フイリッピンのクラーク基地にはB-17爆撃機35機を待機させていた。 日本の先制攻撃を誘発するために石油等の禁輸や海上封鎖を行った。 暗号解読を知らない海軍は真珠湾攻撃に打って出た。蟻が象に挑む戦争が始まった。 ハル ノートはソ連の国務省のスパイ,ホワイトによって作られた。 日本が中国を占領支配することは世界覇権が東アジアに移行して20世紀のローマ帝国が出現するのを意味する。 これをルーズベルトは極端に恐れた。 日本軍がシカゴまで侵入してくるとの前提でスパイ網を日系人社会に作らせないため,日系人を収容所に隔離した。 カナダの日系人も収容所に入れられている。 人種差別が当然の国際社会に人種平等の旗を掲げて是正を迫った日本政府は戦後にその主張を実現した。 日本は真にアジア,アフリカの希望の光であった。 インパール作戦には敗北を喫したがインドに独立の勇気を与えた作戦であった。 東京裁判では日本を人道と平和の罪で裁いたが,その裁判中にこの原則を打ち破って宗主国がアジアに再侵入してきた。 すでに独立を宣言していたアジア諸国は徹底的に反抗して宗主国を再度追い払った。 日本はアジアを侵略したのではなく欧米の侵略からアジアを守ったのである。 蒋介石は欧米の力を借りて日本に対峙したが,最後にはアメリカに裏切られ毛沢東に政権を奪われた。 欧米の植民地支配に協力した罰である。
5つ星のうち 5.0 日本人なら必読。, 2013/6/8
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
多少日時などが分かりにくくなるが、全体的に読みやすく日本人なら知っておくべき基本知識が載ってる。アメリカと日本の資料を基に進むのでそれほど疑いもない。戦後67年ほど経って今やっと振り返ることが出来るくらい日本も落ち着いてきた、敗戦して統治され社会も経済も変えられた今、自分たちがほんの67年前まで世界戦争をしていた日本民族として最低限の知っておくべき知識だ。
日本の長い歴史が大きく変わったその時代に今私たちは生きている。今日本人は何をすべきか考えて欲しい。
5つ星のうち 5.0 日米史のキモを集約, 2013/6/28
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
ここ10年かそれ以上「なぜ日本は戦争を避けられなかったのか」を自分なりに一般書で調べてきたが、本作は決定版ともいえる内容。
キモはすべて押さえられており、「断片的になら結構知っているよ」という方にもおすすめだ。講演が元になっているので濃密なのに読みやすく、氏の体験、たとえば福田恒存とのやりとりなどのエピソードも紹介される。
かといって加瀬氏は反米を煽るわけではなく、逆に「安易な反米に走るべきではない」と説いている点に注意。
既に敗戦から70年近く経った。私見では、現代の国際関係において「ポリティカル・コレクトネス=政治的正しさ」を無視して「事実」に基づく独善的な被害者史観を振りかざすことは、明らかに日本の国益を損なうことに繋がるからだ。
国際政治は真善美ではなく、明らかに国益で動いている。性急に国際世論に訴えるより、まずは国内の「歴史の常識」を変えることから始めたい。それは必ず徐々に世界に広がってゆく。
後半1/3はストークス氏による。
ペリーを必要以上に悪漢視している気もするが(「海賊旗」のくだりは検索で調べてみたが、史実ではなく比喩らしい)、読み進むうちにアメリカが幕府に開国を迫った状況証拠が明らかになる。
三島由紀夫のエピソードは、交友の深かった氏ならでは。
「日本は強制的に開国させられたことによって内的自己と外的自己が分裂した」とする、岸田秀『日本がアメリカを許す日』(だけでなく最初期の『ものぐさ精神分析』から同じ主張をしているが)を引き合いに出したのは、妥当かどうか私にはわからない。
本書は若狭和朋『昭和の大戦と東京裁判の時代 (日本人に知られては困る歴史) 』と双璧の決定版であると思う。
5つ星のうち 5.0 日米関係論の曖昧さを一掃してくれる快著!,
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (対米戦争の原因を日本側にだけばかり求めて考へる蛸壺史観があります。その一方で、真珠湾の日本の一撃をアメリカが知ってゐたといふ考へ方がありますけれども、それは完全には実証されてゐないとの曖昧な歴史の真実を薄めたやうな識者がゐます。私の周りには、いつもこの二種類の人ばかりゐて、アメリカの悪意に対して深く考へない、或いは鈍感な人ばかりがゐたやうに思ひます。本著は、このやうな状況に鉄槌を下してくれたのであります。悪人は、日本人といふより寧ろアメリカなのかもしれないと考へ始めてもいいのでせう。謙虚なお人好しな日本人の安易な反省癖には、大いに猛省を促さなければならないでせう。私自身、先の曖昧史観にこの十年随分と毒されてゐたのではないかと感じてゐます。
本著は、加瀬氏の日米交渉の経過を色眼鏡なしに見てみようといふ営為とストーク氏のアメリカの悪意を実証できるエピソードを核にしての日米関係の考察は、共に本当に考ふべきものであります。ストーク氏は「パンドラの箱」を開けたとの言ひ廻しがありますけれども、私にとっても改めて日米関係論についての「パンドラの箱」を開けてくれたのだと思ひます。これからが、自らの歩みとして求め考へる時が与へられたと感じてゐます。ですから、このやうな切っ掛けを与へてくれた本著に心からの感謝の念を呈してやみません。
5つ星のうち 4.0 米国の情報公開制度によって明らかになった米国の対日戦争政策の内情, 2012/11/23
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
これを読んで、当時の日本人、日本の政治家が哀れになってきた。アメリカの外交文書等の情報公開で明らかになった事実、すなわち日本の暗号化された秘密情報がアメリカ側に完全に解読されていたことを知らずに必死に戦っていたことや、日本がどんな努力をしたとしても、そんな努力に関係なく日本を叩き潰すことを早くから決心していたF.D.ルーズベルトのことなどを知ったからである。日本ではルーズベルトを偉大な大統領としてたたえるオピニオンリーダーが沢山いて私も彼らに影響を受けていた。彼らの大部分はもう他界しているが、彼ら自身がこの本で紹介されているような事実を知ったとしたらどんなに驚き、自分の過去の所説について後悔するのだろうか?
世界情勢はその後大いに変わったが、今後の日本の外交を考えるうえでも、日本人として忘れてはならない歴史的事実だと思う。
5つ星のうち 4.0 ペリーは『パンドラの箱』を開けてしまった,
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287)ストークス氏の「あとがき」によると本書は2011年12月に開催された「対米開戦70周年を記念するシンポジウム」の講演内容を敷衍したものである。そのためか内容は簡潔・明瞭で解り易い。東京裁判史観から脱却するのによき教科書と言えよう。
加瀬英明氏の執筆した第一部は、日米開戦がルーズベルトの敷いたレールの上に起こったことを明らかにしている。日本は米国と戦争する気は全くなく、誠実に対米交渉を行ってきたが、ルーズベルトは、日本の外交暗号を解読しながら日本が先に攻撃するように仕組んだ。この辺りのことをもっと詳しく知りたい人はC.A.ビーアド『ルーズベルトの責任[日米戦争はなぜ始まったか](上・下)』(藤原書店、2011)がお薦めである。加瀬氏は「私はアメリカが70年以上も前に、卑劣きわまりない手段を弄して、日本を追いつめたからといって、嫌米感情を煽ろうとは、少しも思わない。だが、日本国民は国際政治が非情なものであることを、知らねばならない」という。全くその通りと思う。国益を踏まえてもっとリアリスチックに国際情勢を捉えて行動しなければならない。
第二部は、ストークス氏によるペリー来航以来のアメリカの日本に対する野望についてである。ペリーの野望が実ったのは、横須賀海軍基地であるという指摘は成る程と思える。戦艦『ミズーリ』上で挙行された降伏調印式にマッカーサーはわざわざペリー浦賀来航時の旗を飾ったことはよく知られている。そして調印式の場所は黒船艦隊の『サスケハナ』の投錨地であった。しかし、ペリーは禁断の『パンドラの箱』を開けてしまった。日本は敗戦したが、戦後にはもはや欧米の植民地は消失してしまった。ストーク氏は日本の植民地解放者としての意味合いを語る。なお、ペリー以来の日米關係についてもっと知りたい方には、渡辺惣樹氏の『日本開国(アメリカがペリー艦隊を派遣した本当の理由)』(草思社、2009)、『日米衝突の根源 1958-1908』(草思社、2011)をお薦めする。
5つ星のうち 5.0 アメリカに、戦争責任を問う, 2013/1/4
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287)なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか。以前と異なり、現在は、類書はかなり多く流布するようになりました。その中でも、卓越した1冊です。
5つ星のうち 5.0 簡潔明瞭で記述に迷いがない, 2012/11/7
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
同種の歴史本は他にも多く出版されている。(日米衝突の根源:渡辺聡樹著・草思社、太平洋戦争への道:中村粲著・展転社、アメリカの鏡日本:ヘレンミアーズ著・角川学芸出版 等)他にも北一輝や徳富蘇峰の出版物を当たれば、東京裁判史観、中韓の易姓革命史観、社会主義学者の左翼偏向史観が如何に日本の戦後を迷走させたかが理解できよう。これらのダイジェスト版としても有益な著作である。
5つ星のうち 5.0 ルーズベルトの非情さに見習うべき, 2014/1/18
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287)この本は2部構成になっていて、第1部は加瀬英明氏によって太平洋戦争を米国視点で如何に日本に先制攻撃をさせたのか解説されています。
第2部は海外紙の記者を長く勤めたストークス氏によって、米国の野望がペリー来航時からのものであると解説されています。
この中で一番印象的なのはやはり米国政府の非情さです。日本の艦隊がハワイに向けて航行する情報を出港時から入手しているにも関わらず、太平洋艦隊指令官や陸軍司令官、ハワイ島民には一切知らせずに真珠湾の悲劇を作りだしました。
これにより、戦争反対だった世論を動かし開戦に漕ぎ着けました。
そして、この真珠湾攻撃は宣戦布告無しで奇襲した日本軍の卑劣さを語るエピソードとして今も生き続けています。
これはルーズベルトや米国閣僚、軍高官が人命を尊重しない自分勝手なふざけた連中だったというよりも、それだけ国際政治というのは徹底した非情さを求められる厳しいものなのだということを示唆しています。
今の日本も反日イデオロギーの攻撃に晒されて大変な状況に置かれていますが、日本の政治家や官僚にこれだけの非情さがあるとは思えません。
このルーズベルトの非情さには学ぶべき価値があるように感じます。
5つ星のうち 5.0 なぜアメリカは、対日戦争を, 2014/6/30
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287)大変よかったですよ。品もよかった。13文字以上のテキストを入力してくださいが非常にめんどうです。もっとかんたんでいいんでわないですか?
いまだに知らない事実があった, 2014/6/13
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287)改めて欧米列強のすごさと日本人のはかなさを再確認できました。日本人は、事実は事実としてもっと知るべきだと知るべきだと思います。
5つ星のうち 5.0 日本は英国と同じぐらい凄い。小さいのにロシアを返り討
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
というのは米国留学中のメキシコ系米国人同級生の言葉。「こういう認識をもつ米国人がいるのか」という印象が忘れられないが、それにも似た読後の気持ちが得られた。
最終頁(P243)で「come out」されるが、本書は講演スピーチが土台。だから「平易な言葉でわかりやすい」が、他方で「学術書的な詳細」を期待するひとには「物足りないリスク」あり。以下が印象的な箇所。
(1) 真珠湾攻撃の1年前のモーゲンソー財務長官の日記には「大統領が私に”中国が日本を爆撃するならそれは結構”と語った」との記録。
(2) ルーズベルト大統領が「真珠湾攻撃5か月前に日本本土爆撃作戦を承認した文書」が、公開されている。
(3) 1944年のイギリスの工業大臣が「日本はアメリカによって諮られて真珠湾を攻撃。アメリカが戦争に追い込まれたというのは歴史の歪曲」と語ったが、アメリカの要請でこの発言は公表禁止。
政治経済の両面において上記のようなことは「当たり前」。
つまり「自分の都合の悪いことは隠ぺいし、都合の良いことは大げさにPR」が世界の常識。この”常識”という基本技術を身に着けず「お人よし政治経済を繰り返す」日本人に自省を促す良書。
5つ星のうち 5.0 壮大な歴史のif、を考えてみることが、国を強くする,
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
外交とは何か?自らは何をすべきか?自国や相手国の動きをどう読むべきか?を考えてみる絶好の素材。
自らの立ち位地を某超大国のトップに、補佐官に、スパイの立場においてみたり、自国のトップ、輔弼者、企画者の立場においてみると、リアルさが増す。
弱肉強食、優勝劣敗の原則と、その策がある。勝利への対策、回避策、思考停止策がある。
相手の背後にも意図をもった様々な国家があり、自国の歴史においても友好国、敵対国、未交渉国がある。
きっと、絶対的な回答なんてないが、いろんな発見がありそうだ。
先の大戦に勝利する策はあるか?大戦を回避する策はあるか?相手国の本当の狙いはどこにあるか?思考停止を避けるための上策はあるのか。情報が筒抜けだったらどうする?自陣に裏切り者がいそうならどうする?こんな状況は、現代の日本をとりまく状況だってありそうだ。
現代の日本と世界各国の動きを適切に理解するために、また外交というゲームに参加するために、極めて有効な歴史観を提供してくれる良書。たくさんの皆さんに読んでもらって、ちょっと考えてみれば、歴史が変わるか?いやこれから作られるのです。
歴史作りに参加するための必読の書。
5つ星のうち 5.0 歴史の見直し, 2014/4/24
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
草野心平さんの詩には、蛙がよく出てきます。人間の視点ばかりではなく、蛙の視点で物事を見ることも大切なんだよ、と。
この本は、新書版なので資料などの出典や具体例などの詳述はありませんが、その分、論点を大変にコンパクトに明確に主張しているところに大変共感しました。
根底には、白人による有色人種差別、キリスト教的倫理観による布教という侵略、根本はこれですよね。海外に住んでみるとよくわかります。
多くの方に読んでもらいたい好著です。
5つ星のうち 5.0 できるだけ多くの人にこの本を読んでほしいです。,
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
私は40代です。中学・高校の時に日本史を習ったのですが,不思議に大正以降は殆どふれずに授業が終了して,明治後半から太平洋戦争の時代についての知識は空白の状態でした。昔からなんとなく感じていたのは日本は侵略戦争をして外国に迷惑をかけたということでした。子供のころ親戚の家に行ったときに見かけた軍服を着た若い兵隊さんの白黒の遺影は国にだまされたかわいそうな人との印象しかありませんでした。しかし色々と調べてみると,先の戦争は人種差別撤廃という大義や仕掛けられた日本の危機を打開するための目的があったことが分かりました。この本には時系列にそれが分かるように書かれています。若い兵隊さんは命を懸けてその仕事を全うした英雄であり,決してかわいそうな存在ではなかった。本当にありがとう。 できるだけ多くの人にこの本を読んでほしいです。日本人が世界に貢献した輝かしい歴史をぜひ取り戻さなければなりません。歴史が盗まれるということが本当にあるのだとはっきりわかりました。
5つ星のうち 5.0 アメリカの野望叶いしときから70年, 2014/7/1
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287)アメリカという国そのものが日本という国をどのようにしたかったか。
自称「フロンティア」を消滅させた白人共和帝国は、さらなる自称「フロンティア」を。太平洋の向こうに求めた。その一番のターゲットは、実は日本であったということだ。それは、本書を読めばあまりに明白。
アメリカ合衆国100年来の野望が達成されたのは、ちょうど今から70年前の第二次世界大戦の終結であった。
第二次世界大戦、当方の言葉でいう大東亜戦争における日本のおかげで、アジア諸国、そしてアフリカ諸国は戦後、次々と独立に向かい、相次いで欧米の植民地支配を脱していったということは、今に至るまであちこちで言われていることである。
もちろんそのことを快く思わない御仁もいるが、ここではおいておく(苦笑)。
しかし本書を読んで思ったのは、日本が先の大戦でアジア・アフリカの植民地支配を一気に崩壊させるきっかけを作ったことで一番喜んでいるのは、もちろん独立した元植民地諸国ではあろうが、それ以上に内心ひそかに喜んでいるのは、実はアメリカではないかということだ。
なぜなら、欧州列強が二度の大戦の疲弊、そして植民地支配の崩壊という二つの要素によって、頭の上のたんこぶがすべて取れ、自らが世界の覇権を確たるものにするきっかけにできたのだから。
確かに自国内の人種差別問題での混乱や、幾分の植民地利権の喪失、ヴェトナム戦争の泥沼化と、それなりの傷は負いはした。
だがそれでも、それ以上のものを、先の大戦よりこのかた、アメリカは得ているのではなかろうか。
日本を骨抜きにし、欧米列強を完全に追い抜いた新興大国・アメリカ合衆国が、わが日本を追い詰めていく過程を読むにつけ、国際政治の非情さを理解し、それに対応する力を、我が国も身に着けていかなければならないことを、改めて痛感させられた。
アメリカの野望叶いしときからもうすぐ70年。確かにアメリカは、わが国の伝統を骨抜きにすることに成功したかに見える。そんななか我が国は、かの大国とどう向き合うべきだろうか。また、近隣諸国と、どう向き合うべきだろうか。
どの事例とまではあえて指摘しないが、少なくとも、ありもしなかったことをあったかのように取り繕った他国の主張に耳を貸して、それを事実であるかのように認めて、謝罪などするようなことをしているようでは、我が国・日本の国益を守っていけないことだけは、昨今の情勢をみるまでもなく明白なことである。
5つ星のうち 5.0 なぜアメリカは対日戦争を仕掛けたか, 2014/4/4
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
著者、ヘンリー・S・ストークス氏加瀬英明氏の近現代史に対する分析と洞察力に敬服しました。 公平な歴史の検証、正に目から鱗である。日本人必読の書。歴史的事実を以って、これを理由に連合国アメリカに仇討の戦いをしかけようと言うではなく多くの命を賭した先人達の教訓を胸にこれからの日本の在り方を後世にしっかり伝えていくことが肝要ではなかろうか。
5つ星のうち 5.0 日米開戦の謎が解けた, 2014/5/19
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
日本外交が未熟だったとは言え(未だにそうだと思うが)、あれ程に交渉を続け譲歩も行っていたのが何故ある日突然破綻、開戦に至ったのかと疑問であった。しかしこの本を読んでフランクリン・ルーズベルト大統領がチャーチルの参戦要請に答えるために自国民をも欺き、参戦口実のために如何にして日本を対米開戦せざるを得ないように仕向けたかが分かり疑問は解けたが実に残念である。しかし我々はその歴史の真実をしっかりと受け止めていわゆる自虐史観はあらためねばならない。とにかく必読おすすめの本です。
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
すぐ読みたかったので早く届き、価格の割に状態もきれいでよかったです。
5つ星のうち 5.0 遊就館に行かずして、弱小日本が超大国アメリカと戦わなければならなかった理由がわかる。, 2014/4/23
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
とてもわかりやすく、簡単に読めてしまう本です。特に中学生、高校生にぜひ読んでほしい一冊です。日本がなぜ超大国アメリカと戦わなければいけなかったのかが、とても良くわかりました。
英国のジャーナリストが書いたというだけでも、驚きです。日本人全員が自国の歴史を知り、真実を認識する事が出来れば、アメリカ傀儡国家で腐りきった国韓国の大嘘捏造がはっきりわかり、余裕で対抗できるのですが同時に敗戦日本のアメリカ傀儡では、なかなかタブーを打ち破れない。アメリカの占領政策ワオーギルドインフォメーションプログラムで育った団塊世代が消えるまでもうしばらくかかりそうですが、必ずや、ヘンリーストークス氏の著書の意味が全国民に知れ渡る時が来ると思います。
大変お勧めの一冊ですので、推薦致します。
レビューを評価してください 正統な歴史認識への一歩, 2014/4/12
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
ストークス氏部分の方に関して。先代の仕掛け人ペリーが詳しく記されている。「仕掛けられた」日本は庶民が文化を支える平和な繁栄国家であるというところ。ペリーの人と柄など全く知らなかったが、宗主国イギリス伝来の海賊のような人物という評。
連想するのはアメリカインディアンの悲劇。15世紀南米のインデオがスペインに収奪された歴史。本書ではないがラス・カサスもあるがモンテーニュのエセー第3巻「馬車について」にあるメキシコ含んだ告発は感動モノ、ご一読をお薦め。日本も米州と欧州の近くだったら、とんでもないことになったかもしれない。
先の戦争まで白人至上主義が大手を振っていたわけだが、大東亜戦争は有色民族に独立の端緒を開いた功罪の功の一部は有った。戦後もインドネシアで尚且つ他国の為に戦った2千名の方々に代表される精神はどこかの浅ましい国に貶められるような程度とは全く違うという一つの証明だ。南方の国家が感謝している理由である。「300」と言うスパルタの映画に比するtwo thousand 2000 と言えるだろう。
戦後でも今度は亜細亜では領土を食い合って、チベットやウイグルが独立国家喪失の憂き目をみている。2014年にはウクライナのクリミア半島がロシアに占拠されると言う事件も起きている。
盗賊のような非民主国や世襲の独裁国が目の前にうろうろしている。戦後日本も一時勃興したけれども、御人好しのように振舞って金や技術を与え、盗まれて今に至る。あまつさえ、騙りの歴史まで捏造されて武士道由来のご先祖様の顔に泥を塗るような不快な始末である。
教科書にない歴史認識の系譜を身に付けられる本書のような本が多く出版されている。読者は誇りのある国を再認識して欲しいもの。
海外の人が外国語で真実を発信して呉れると説得力が違う感あり(本書については分からない)。
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
こうだったのか、一人の人間のおぞましさと支配と権力の怖さに驚きました。
5つ星のうち 5.0 そうだったんだ, 2014/3/28
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287)戦争に至るまでの経緯を日本側、アメリカ側と双方の過程が分かりやすく記述されており、次を読んで理解を深めるぞ!という気になりました。
ち 4.0 戦後70年、日本の立ち位置を見直すために, 2014/4/4
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
国際政治は非情であることを実感し、広島に残されている言葉「過ちは繰り返えしませぬから」の意味は、我が国もこの次は原爆を持つぞと読み取ることもできることが解る。米国追従の国の在り方を考え直す良い材料を与えてくれる読み物です。折太郎
のうち 5.0 おいおいアメリカこの野郎, 2014/4/13
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
今や同盟国のアメリカですが、本当は日本を植民地にしたかったのかよ…ネイティブを大量虐殺して建国した国の世界観や宗教観が良く分かる良書です。
現在は外交に悩んでいるようなアメリカですが、国の理論とはこういうものなのか?
今日まで培われた我々日本人の感覚では信じられない自己中心な考え方は
特亜の国にも通じるものがあります。日本も自立する時期に来たと思わされると、
安倍ちゃんが総理で良かったと痛感しました。
5つ星のうち 5.0 暗くなる, 2013/10/1
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
いろいろ当時はあっただろうけれど
全く欺かれた人たちがほぼ全部に思う。知る権利の確立が必要と思うが都合が悪いのだろうか?すべての人が政治の判断材料を知ることができるようにすることは…。
一握りの情報コントロール者が判断ミスしたら闇から闇でフィードバックも改善もされないというのはダメではなかろうか?
5つ星のうち 4.0 特に目新しい情報はなし!, 2014/2/23
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
対日開戦のローズベルト陰謀説は以前からありました。中立法を何とかしてイギリスを助けたかったローズベルトにすれば、当然の選択肢でしょう。それに乗ってしまった当時の日本の指導部こそ、責められるべきでしょう。山本七平に言わせると、当時の日本は日本軍の占領下にあったそうで、政治家にはどうすることもできなかったのでしょうが、甘い見通しで開戦してしまい、360万人もの犠牲者を出して、やっと日本軍から解放された!
5つ星のうち 4.0 だからといって、安易にアメリカを批判して喜ばないこと,
レビュー対象商品: なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか(祥伝社新書287) (新書)
外交とは、当然ですが自国の国益を考えて行うものです。アメリカの意図を読めず、挑発を受けてあっさり自分から手を出した。日本は外交の時点で、既に敗北していたんですよ。どんなにやり口が汚くても、負けは負け。今後の重い教訓として・・・果たして生かされているのだろうか?逆に、自国のためとはいえ、あれ程の事をする覚悟を持てたのだろうか?
スポーツやなんかじゃない。世界は、勝てば官軍なんですから。
必要以上にアメリカをけなすことは、自ら「アメリカの挑発を読みきれず、最悪な選択をした愚かな国です」と触れ回っているようなもんですよ。
4:12 2014/07/19