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2014年5月

2014年5月25日 (日)

イーグルバス谷島賢社長が日本の路線バスでイノベーションを起こすの続き。「測る」「見る」「考える」で路線バスを再生する 

引用

イーグルバスがセンサー活用で赤字路線を再生、1分・1キロ単位で収支を改善

2014.02.18ライター 鈴木 恭子

運輸 経営企画・事業開発 公共課題解決 コスト削減 売り上げ増 経営判断改善 業務最適化 位置 センサー カメラ・画像 運用・サポート

埼玉県川越市に本社を構えるイーグルバスはビッグデータ分析によって、大手バス会社が撤退した赤字路線バスを引き継ぎ利用者を増加に転じさせた。1路線全体でなく区間ごとの乗客や採算をあぶり出すことで、収益に結びつく打ち手を繰り出せるようにした。

大手バス会社が撤退した赤字路線を引き継ぎ、利用者を増やしたバス会社がある。埼玉県川越市に本社を構えるイーグルバスだ。バスにセンサーを取り付け、ビッグデータを多角的に収集。路線バス事業が抱えていた課題とその改善策をデータで徹底的に可視化し分析することで、わずか4年で乗客を前年比で増加に転じさせた。

                       

イーグルバスはバスにセンサーを装備して運行状況を見える化した

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イーグルバスは1980年創業で、観光バスや高速バスを主体に事業を展開してきた。2002年に「改正道路運送法」が施行されて、乗合バス事業の規制が緩和されると、翌年から路線バス事業に参入した。転機となったのは2006年。川越市と接する埼玉県日高市の要望から同市の路線バス事業に乗り出すこととなった。

再生に向け、イーグルバスの谷島賢社長が真っ先に取り組んだのは「運行状況の可視化」であった。それまでの路線バスは、一度車庫を出ると混雑率や遅延時間といった運行状況を把握できず、運転士の“勘と経験”を頼りに運行されていたからだ。引き継いだ路線は「何も手を打たなければ、会社自体も危うくなる」(谷島社長)ほどの赤字を垂れ流していた。

谷島社長は「社長としてこの状況を人任せにはできない。理解するにはデータが必要」とアイデアを求め埼玉大学を訪問。一発奮起して同大学の大学院理工学研究科に入学し、工学的見地から再生の道を模索することとなった。バスの運行や乗客にまつわる情報を数値化して、それを改善するというデータ中心のアプローチだ。レポート用のシステムも独自に開発し「誰が見ても課題点が理解できるようになった」(谷島社長)。

センサーで運行状況を区間ごとに見える化

乗降口に赤外線のセンサーを設置して乗車人数を把握できるようにした

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運行状況の可視化では、センサーを応用する「乗降カウントシステム」を導入した。車両にGPS(全地球測位システム)と乗降口の上部に赤外線乗降センサーを設置。停留所ごとの乗客数や停留所間の乗車人数(乗客密度)、路線上での位置や運行にかかっている時間が把握できるようになった。

そうしたデータから顧客が誰も利用していない運行区間や、時刻表と実到着時間の差異から遅延などをグラフ化。顧客アンケートで得たニーズを加味したうえで、運行ダイヤの最適化を図った。これらを基にして、利用者の少ない区間の運行を必要最小限に減らしたり、利用者の多い区間や時間帯には増やしたりした。

平成26年5月26日イーグルバスがセンサー活用で赤字路線を再生、1分・1キロ単位で収支を改善

2014.02.18ライター 鈴木 恭子

運輸 経営企画・事業開発 公共課題解決 コスト削減 売り上げ増 経営判断改善 業務最適化 位置 センサー カメラ・画像 運用・サポート

埼玉県川越市に本社を構えるイーグルバスはビッグデータ分析によって、大手バス会社が撤退した赤字路線バスを引き継ぎ利用者を増加に転じさせた。1路線全体でなく区間ごとの乗客や採算をあぶり出すことで、収益に結びつく打ち手を繰り出せるようにした。

具体的なアクションとしては、折り返し運転によって運行回数を増やしたり、新しく建設された病院など集客力のある場所に停留所を新設したりした。既存路線で新たなバス停を設置することは「極めて少ない」(谷島社長)ものの、データを基に改善策を次々と打ち出した。こうした変更の際には、「顧客満足度と路線の採算のバランスをとることが重要だ」(同)という。

路線全体ではなく区間ごとの利用状況を見える化した

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「どの区間が赤字か」をあぶり出す

採算を可視化し把握するため、かかるコストを判断する単位を「1台」や「1ダイヤ(運行)」から「1分」や「1キロ」の走行当たりに変更した。これにより路線内であっても「どの区間が赤字なのか」を浮き彫りにできた。路線バスの運用コストは「階段状」に上下する。利用者が1.5倍になってバス1台を追加すれば、運行コストは2倍となってしまう。逆に最適化によって無駄な運行を廃止し1台減らせば、運行コストは半分になる。

 こうした考えに基づいて、距離や運行時間、運行ダイヤ数のそれぞれを減らすように収支シミュレーションを行って採算を改善した。

これらのシステムは毎年見直している。

例えば、前の第2世代の乗降カウントシステムでは昇降データをパケット通信でリアルタイム収集していたが、これでは1台あたり月額4000~5000円のコストが発生するが「コストをかけて収集するメリットはない」(谷島社長)と判断。蓄積したデータをバスが車庫に戻った時に車載コンピュータからサーバーに送信している。現在は、車載コンピュータが必要ない、画像でカウントするシステムを実験中という。

アンケートを鵜呑みにし失敗

イーグルバスは、乗客アンケートや地域住民の意識調査も積極的に行って顧客ニーズを把握している。ただ谷島社長には苦い経験があった。路線バス事業を引き継いだ年に実施したアンケートで、「電車との乗り換え時間が短すぎる」との苦情が寄せられた。そこで当初3分だった乗り換え時間を10分に変更したところ、利用者が激減してしてしまったのだ。

原因は、アンケート回答者の多くが日中にバスを利用する高齢者だったこと。通勤通学の利用者は不便を感じておらず、アンケートに回答していなかったのである。その反省を生かして、通勤通学の時間帯は乗り換え時間を3分、日中は10分にダイヤ改正したところ、利用者数が急速に回復した。

イーグルバスはデータで徹底した最適化を行っているが、KPI(主要業績評価指標)は利用者の満足度だけとしている。収支は加味しない。「バス事業のコストは車両費と人件費が大半。燃料費や人件費は社会状況によって変動が激しく、収支をKPIにすると改善成果がわからなくなる」(谷島社長)のが理由だ。

イーグルバスは独自の分析システムを武器に、「データを測る」「分析して見る」「改善点を考える」のPDCAサイクルを1年単位で回し続けている。4年目には、路線を再編成するのか撤退か、自治体の支援を受けるのかといった重要な判断を下すことにしている。路線バスを引き継いだ2006年の顧客アンケートでは、路線バスのサービスについて「よい/ややよい」が5割以下だったが、この数字が直近で80%まで上昇した。

5/26/2014


【ザ・イノベーター】谷島賢 イーグルバス 社長 ”工学的アプローチで路線バスを再生”

gooニュース×戦略経営者2013年1月25日(金)13:00

イーグルバス

谷島賢 イーグルバス 社長やじま・まさる

1954年生まれ。東急観光(現トップツアー)を経て1980年にイーグルバスを創業。送迎・観光バス事業を展開し、2006年には埼玉県日高市で路線バス事業に参入。2011年には関東運輸局選定初代地域公共交通マイスターに選ばれた。

 

工学的アプローチで路線バスを再生

2006年4月1日、大手バス会社撤退の後を引き継いで、当社は埼玉県日高市を走る生活路線バス事業にはじめて参入した。地元からの強い要請に応えたわけだが、実際に参入してみてみずからの認識の甘さを思い知らされる形になった。

 

日高市は東京のベッドタウンとして発展してきたがモータリゼーションと少子高齢化の波にさらされ、路線バス利用者は減る一方。かといって、過疎地ではないので行政からの補助金はゼロである。いままで通り運行していては、毎年赤字の垂れ流しになることは確実だった。観光・送迎バス事業は、利益を確保した上での商契約がベースになる。ところが路線バスは365日遅滞なく運行しなければならず、経費はまったくの固定費。当然、乗客が少なければ無条件で赤字になる。

当社はもともと旅行会社で、1980年に福祉関連の送迎バス、2000年に入ってからは高速、観光バス分野へと業態を広げた。とはいえ、初めての路線バス。引き継いでみてつくづく感じたのは、この事業は中身が「見えない」ということ。だったらこれを「見える化」しようというのが改善のスタートだった。見える化する対象は「運行」「顧客ニーズ」「コスト」そして「改善過程」の四つ。

まず「運行」を見える化するために、埼玉大学と協力してバスの乗降口にセンサーをつけ乗降数をカウント、GPSを利用してバスや停留所の位置情報、時間情報をサーバーに蓄積していった。そして、これらデータをグラフ化し、たとえば、バスの慢性的遅延時間、乗降客のいないバス停や路線などがひと目で分かるようにした。

 

次に乗客へのアンケートでニーズを探った。車内アンケートやダイヤ改定評価アンケート、地域住民アンケートなどを精力的に実施した。

 

路線バス事業は、コンビニのトラック配送のように、最適ルート・時間を追求することで便数や人員を減らすだけが成果ではない。顧客ニーズに基づいた「最適化」への視点が必要になる。この視点を忘れて効率化に走ると、使い勝手が悪くなり利用者が減るという負のスパイラルに陥ってしまう。当社はアンケートでニーズを探り、それを前述の運行データと掛け合わせながら改善を実施していった。

中身が見えれば、さまざまな手が打てる。乗降客のないバス停や路線の廃止はもちろん、新たなニーズに応じて新停留所を設置することも行った。また、遅延時間をなくすため、停留所間の距離と時間を調整した。慢性的な遅延は、乗客のイライラ感を増すばかりでなく、運転手の焦りを誘い、事故の発生率を高めるのだ。

が、最初の3年間は失敗の連続だった。「電車との連絡がタイト過ぎる」という声に基づいて、乗り換え時間を3分から10分に延ばすダイヤ改正をしたことがあった。ところが、このニーズは高齢者のもので、通勤客の不満が募り、結果として朝の通勤客の利用率がガクンと落ちてしまった。これではいけないと、朝夕は3分、昼は10分に変更すると通勤客が戻ってきた。

 

そんな失敗を経験しながら、ダイヤ改正ごとに評価・検証し、改善へのアクションを行っていった。結果、3年目以降は目に見える成果が出始め、引き継ぎ以前の1日750人から850人へと乗客が100人増えた。10%以上の増加はこの業界では異例である。

 

「ハブバス停」と「デマンド運行」

 

路線バスでよく遭遇するのが、満員バスのすぐ後ろにガラガラの次のバスがやってくる状況。あるいは、昔、集落が存在し乗降客があったがいまはなくなったところに、なぜか停留所がぽつんと残っているということも多い。製造業でいえば工程・品質管理ができていない証拠である。われわれが行っているのは、路線バス事業をせめて他の業界レベルに引き上げようということ。別に斬新なことを行っているわけではない。要は、顧客の利便性と信頼性を高めれば、必ず需要は増える。路線バスも例外ではない。

現在、当社は、この「日高・飯能路線」を含め6系統を運営しているが、このうち5系統で上記の「改善プロセス」を導入しており、いずれも前年度を上回っている。なかでもとくに成果が上がっているのが「ときがわ町」での運行だろう。埼玉県ときがわ町は人口1万3000人の山間地域。高齢化率も高い。多くの住民の悩みはバス本数の少なさだった。

われわれはコストを上げずに本数を増やすために、町役場の隣に「ハブバス停」(せせらぎバスセンター)を設けた。ハブ空港と同じ原理で、そこから主要駅への路線のみならず大野地区、椚平地区といった過疎地域にはデマンド方式(通勤時間帯は定時運行)で小型バスやワゴンバスを往復させるようにした。これら過疎地域の住民にとって、乗り換えの必要は生じるものの利便性は大幅に増した。というのも、従来は1時間に1本だったバス運行が1番多いところで30分に1本という驚異的な頻度を実現することができたのである。

 

さらに、観光客の取り込みに成功したことも相まって、乗客数は再編前に比べて1・2倍に跳ね上がった。 このような成功によって、最近では全国からノウハウの提供を打診されるようになった。昨年9月から地元の川越市と北海道のバス会社へのコンサルティングをスタート、海外(東南アジア)からの引き合いも来ている。

 

日本中どこへでも行ける路線バスは、いわば国力を象徴するインフラである。東北の被災地域においても、公共交通機関としてのバスの機動性・柔軟性があらためて高い評価を受けている。とはいえ民間会社が、路線バス事業で採算をとるには限界があるのも事実だ。公共財としての位置づけから、前述したように、効率化だけではなく「最適化」への取り組みが必要だからである。

 

だとすれば、改善の努力を「見える化」し、そのデータをもとに無理なところは地方自治体に公共インフラ投資としてお願いするという形が健全なのではないか。これまでのように赤字分だけ補助金をもらうようなシステムではバス会社が経営努力をしなくなる。その意味でも当社は、これまでの経験を網羅した「3年改善モデル」を確立し全国の同業者に普及していきたいと考えている。

19:43 2014/05/26


イーグルバス GPS、見える化、ハブ&スポークなど

http://www.new-wing.co.jp/new-project/meister/index.html

2013-08-19 経済・企業・仕事

イーグルバス谷島賢社長が日本の路線バスでイノベーションを起こすの続き。「測る」「見る」「考える」で路線バスを再生する バス革命で海外目指すイーグルバス

2013年5月16日(木)  日経ビジネスオンライン 内藤 耕

イーグルバスの谷島賢社長が目指したのは、時間に正確に運行することだった。利用者を増やすために、鉄道との接続を特に重視した。バスのニーズとしては当たり前とも言えるが、バスは車庫を出てしまうと、定時運行しているのか分からなくなってしまう。つまり、多くのバス事業者はサービス品質管理が十分にできていないのだ。

 

前回もそうでしたけど、当たり前のことができていないという話。そういう意味では改良する余地が非常に大きいとも言えるんですけどね。

とはいえ、内容は「そこまでするか?」というほど徹底的で、少し上を目指すという感じではありません。

イーグルバスは1995年に小江戸巡回バスで実質的に路線バス事業へ参入して以来、こうした問題意識を持ち続けてきた。そこで2002年に埼玉大学工学部と共同で「CO-EDOバス位置情報システム」を開発、実用化した。2006年に埼玉県日高市の路線バスを引き継いだ際には、バスに赤外線センサーとGPSを搭載して、停留所ごとの乗降者数や運行時間の遅れなどを把握できるようにした。

 

客観的なデータに加えて、顧客ニーズをつかむためのアンケートシステムも作り、顧客ニーズと運行の最適なバランスを実現する「ダイヤ最適化システム」を構築した。このシステムの特徴はITによる運行データだけでなく、日々バスを利用している乗客の声を重視している点だ。バス車内には葉書形式のアンケート用紙を置いており、乗客が自由に回答できる。今では毎月約100通のアンケートが届き、谷島社長も必ず目を通すという。

 

日々のアンケート調査とは別に、年1回改定するダイヤについて聞く「ダイヤ改定評価アンケート」も実施している。アンケート用紙を乗客に配布し、車内に設置した回答箱で回収する。さらに、路線バスが運行する地域の住民の暮らしは年々変わるので、3年に1回、地域住民を対象に全戸アンケートを実施する。 (中略)

多面的に収集したデータを活用するため、イーグルバスでは時間別や区間別の利用状況をビジュアルで見せるソフトウェアを独自開発し、「運行の見える化」を実現している。この仕組みを利用して、慢性的に運行時間が遅れているところを見つけて改善したり、利用者が少ない路線の運行本数を削減したり、あるいは利用者の多い路線の運行を強化したりする。

 

使い古された言葉であり、こういったことを馬鹿にする人も多いんですけど、私は「見える化」って大事だと思います。見えてこないものだと、そもそもどうしようもないことが多いです。

ここまで見てきたように、ダイヤ最適化の基本的な考え方は「測る」「見る」「考える」である。IT技術の発達によって運行データの取得そのものは容易になっている。大手バス事業者でも独自に運行データを取っている企業もあるという。しかし、取得したデータを改善に活かすノウハウがないために、取得するだけでとどまっているところも多いという。

 

データ取得はあくまで改善の一段階である。取得したデータを誰もが理解できるようにビジュアル化し、問題点を共有できないと意味がない。これが「見る」の段階だ。そして共有した課題をどのように改善するかという具体策作りが必要で、これが「考える」のレベルである。「考える」の段階では様々なアイデアが検討される。

おもしろかったのが、アンケートで失敗した話。

 2007年に日高市の路線バスのダイヤ改正を検討した際、住民アンケートの回答結果に基づき、鉄道との接続時間を3分から10分に変更した。しかし、ダイヤ改定評価アンケートの結果は散々で、乗客数は大きく減ってしまった。ただでさえ厳しい路線バスの運営で、この失敗は大きな痛手だった。

 

乗客数減少の原因は、その後の詳細な検証で明らかになった。アンケートは乗り換え時間が10分程度必要な高齢者や女性の声を反映した結果で、通勤者や通学者は接続時間が延びたことで不便を感じていたのだ。

 

しかし、転んでもただでは起きません。 次のダイヤ改正ではこの教訓を生かし、通勤・通学時間帯の接続時間は3分、高齢者や女性の利用が多い昼間の時間帯については10分とした。ダイヤ改正により、2008年には乗客数を回復させることができた。この時の失敗以来、顧客アンケートについては改善に改善を重ねるようになったという。

 

次は普通に素晴らしい成功例。他の業界がやっていることができていなかった業界とは書いたものの、「おお、すげぇ」と思いました。

イーグルバスは2010年に、高齢化が進んでいる山間部のときがわ町の路線を統合した。(中略)同社はまず全戸アンケートを実施し、地域住民の不満を聞いた。すると、現状の運行本数が非常に少ないことが一番の不満だった。ほとんどの場所で運行本数は2~3時間に1本。コストをかけることができるのであれば、単純にバスの数を増やせばいい。しかし、人口1万3000人の山間部の町でコストをかけることはできない。

 

「ないものねだりするな」で普通の会社なら終わりです。 ところが、イーグルバスは違います。

コストをかけずに地元住民の利便性を実現するために考えたのが、「ハブ&スポーク」だった。航空業界ではおなじみとなっている運行の仕組みを路線バスにも取り入れたのだ。町の真ん中にハブとなる停留所を設置し、乗客はハブ停留所で乗り換えることで、様々な場所にアクセスできる。乗り換え時間は15分以内になるようにして、ハブ停留所での待ち時間をできる限り少なくするようにした。

今まで長距離路線で結んでいた路線をハブバスセンター折り返しの短距離路線に変更したことで車両数を増加させずに、1.5倍から3倍の運行本数を実現した。  これは思いつきませんわ。

私がパッと考えたのはバスのコストを下げるために、車両を小さくするというものです。

以下はそれに近いですが、当然もっと先を行っています。 さらに「ときがわ式デマンドバス」を導入した。これは、バスにアクセスできない山間地の利用客を対象に、ワゴン車を使ったデマンドバスを用意するものだ。従来のデマンド交通システムが利用者の自宅と目的地を結ぶ「ドアtoドア」の運行であったのに対し、ときがわ式デマンドバスは5軒につき1か所の割合で「サブバス停留所」を設置し、このサブバス停留所からハブの停留所までデマンドバスを運行して、ハブバス停で通常の路線バスに乗り変えてもらうシステムになっている。

従来のデマンド交通システムはバスの代替として運行するため、バスを否定するシステムであったが、ときがわ式デマンドバスは路線バスを維持するための支線の役割を持つ。デマンド交通システムのメリットは利用客がいない時は運行しないでいいことである。一方で利用するためには事前の予約が必要となり、毎日通勤通学で利用する住民にとってはわずらわしい。

そこでイーグルバスは通勤・通学時間帯を定時定路線で運行し、通勤・通学時間帯が終了するとデマンド運行とした。この仕組みにより、それまで日中は大きなバスが空気を運んでいる状態だったものが改善され、運行コストを大幅に削減することができた。

これらによって、"ときがわ町のバス事業はイーグルバスへの統合前と比較して、利用者数が20%増加した"そうです。

ただし、"観光客を取り込んだ成果も大きい"ようです。 ときがわ町には多くの観光施設がある。しかし駅からの接続が悪く、バス料金も距離とともに増加していく分かりにくいものだった。そこでイーグルバスはまず料金体系をゾーン制運賃とした。町内を東、西、南、北、中央の5ゾーンに区分し、同一ゾーン内は200円、ゾーンをまたぐと1ゾーン当たり100円の加算とする簡略な仕組みにした。観光施設の前には停留所を設置。観光客が路線バスを利用しやすくした。

地域住民の利便性を追求することで利用者の潜在需要の掘り起こしを行ってきたイーグルバスは、運転士のおもてなしサービスにも力を入れている。そもそもバスなどの運輸事業者は、運行の正確性や安全性が優先され、一般的にサービス業としての意識はそれほど高くない。しかし、今後は運転士の接客を含むサービス品質が、バス事業の将来を左右すると考えられるため、イーグルバスではバス運転士に経験者を雇用するのではなく、おもてなしの心を持つスタッフを意識的に採用している。

ときどきそういう話が出てきますが、経験者よりも素人が勝つというケースですね。ときには非常識な方が力を発揮することがあるのです。

そもそもイーグルバスの試みは他がやっていなかったことですので、イーグルバス自体が常識破りな存在と言って良さそうです。

12:49 2014/05/25

 

 

 

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12:39 2014/05/25

 

 

 

 

 

差出人: yuting-report@googlegroups.com は 横須賀市長 吉田雄人

[yoshida@yuto.net] の代理

送信日時:      2014年5月20日火曜日 16:28

宛先:   ユーティングレポート

件名:   ■長井で、「民泊」始まります!■ 吉田雄人のユーティングレポート 2014年5月19

日 Vol.528

 

吉田雄人のユーティングレポート

2014年5月19日

Vol.528

 

 

■長井で、「民泊」始まります!■

 

いままで大型の宿泊施設がなくてあきらめていた修学旅行誘致を、横須賀・長井の地域

の皆さんのお力で実現できました! 新たに大型のハコモノを作るのではなく、生徒の皆さんが一般家庭に分散して宿泊し、各家庭の生活を体験してもらう「民泊(みんぱく)」で、修学旅行の受け入れをやっていきます!

 

この修学旅行の民泊受入れの第1弾が5月21日(水)、22(木)の2日間にかけて、横須賀西海岸にある長井地区で行われることとなりました! この長井地区では、昨年4月に「長井体験たび推進協議会」を発足し、地域の様々な資源を活用した民泊の受け入れ準備を進めてきました。

そして、ついに神戸市立中学校の生徒63人を20世帯で受入れ、「民泊」を本格実施します。

 

この長井の民泊では、家庭で家事を手伝うほか、船釣り体験やその後に釣った魚を自らさばくなど、東京とは違った横須賀ならでは体験をたくさん満喫していただきます。また、長井地区オリジナルのお土産もパンフレットで紹介し、販売します。後日、生徒が持ち帰ったパンフレットを保護者の方が利用して、電話などで長井の物産を取り寄せることも可能です。

http://yuto.net/wp/wp-content/uploads/DSC_6224.jpg

 

長井では、すでに他にも3件の修学旅行の受入れが決まっています。今後も受入れ家庭拡大をサポートするなど、積極的に取り組んでいきたいと思います!!

■それでは、良い一日を!■

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2014年5月23日 (金)

シルキー スゴイ 360mm390-36 ユーエム工業

引用

 

シルキー スゴイ 360mm390-36 ユーエム工業       17件のカスタマーhttp://www.silky.jp/items/403-50.html

レビュー参考価格: ¥ 6,700 価格: ¥ 4,165 

製品型番 390-36 商品重量 862 g 商品の寸法 64.5 x 16.5 x 5.2 cm

買ってよかった

他のレビュアーの方も書いていらっしゃいますが、家の木を枝打ちしようと思い、チェーンソーの購入を考えましたが、そこまでお金をかけても使用頻度からすると無駄になりそうだったので、良いノコギリを買おうとこの製品を選びました。

 

デザインと替刃も売っているという点が気に入りました。

 

使ってみるとマジですごい。枝でも幹でもザクザク切れて木こりにでもなった気分になりました。丸太小屋でも作るのでなければ、家庭用はこれで充分な気がします。

5つ星のうち 3.0  ハズレかな~シルキーは、ズバットが出たすぐの頃からファンでした。

その鋸が古くなり、買い換えたのですが、個体差でしょうか他の方のレビューにあるような切れ味は体感できず、木の幹に「引っかかるような」感覚が有り必要以上の力が必要で、思わず力んで作業が乱雑になり、切り口がささくれたり他の部分を傷つけてしまったりで残念な感じでした…m(_ _)m

 

納得いかず、今度は近所のホームセンターで刃先を自分の目と手の感覚で確認した上で買い直しました。目で見て刃先がなめらかに光っていて、指でさわるとトゲのような物を感じない物を選び、使ってみると正解でした。鋸を挽くときに引っかかる感じがありませんし、切り口滑らかです。

5つ星のうち 3.0  ハズレかな~, 2013/9/14

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

 

シルキーは、ズバットが出たすぐの頃からファンでした。その鋸が古くなり、買い換えたのですが、個体差でしょうか他の方のレビューにあるような切れ味は体感できず、木の幹に「引っかかるような」感覚が有り必要以上の力が必要で、思わず力んで作業が乱雑になり、切り口がささくれたり他の部分を傷つけてしまったりで残念な感じでした…m(_ _)m

 

納得いかず、今度は近所のホームセンターで刃先を自分の目と手の感覚で確認した上で買い直しました。目で見て刃先がなめらかに光っていて、指でさわるとトゲのような物を感じない物を選び、使ってみると正解でした。鋸を挽くときに引っかかる感じがありませんし、切り口滑らかです。

おそらく10年くらい前に比べコストダウンのためか品質のばらつきが大きくなっていると思われます(刃先の仕上げ、高周波焼入れの精度等)

なにしろ値段が高いので心配な方は通販よりも店の店頭で買われる方が後悔しないと思います。

追記;

他のレビューでは触れられていませんが、グリップが大きめで手の特別大きい方以外は 握った時に指がしっかりまわりきりません。

刃部とグリップのはめ込みも若干ガタが有り力を入れるとガタがた動きます。全体にすこし大雑把です。作業がラフな感じになったのはそのせいかも。小枝の整理など繊細な作業には向かないでしょうね。個人的にはコストダウン感が強く若干失望したというのが本音です。(T_T)

5つ星のうち 5.0  買ってよかった, 2012/1/1

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

 

他のレビュアーの方も書いていらっしゃいますが、家の木を枝打ちしようと思い、チェーンソーの購入を考えましたが、そこまでお金をかけても使用頻度からすると無駄になりそうだったので、良いノコギリを買おうとこの製品を選びました。

デザインと替刃も売っているという点が気に入りました。

使ってみるとマジですごい。枝でも幹でもザクザク切れて木こりにでもなった気分になりました。丸太小屋でも作るのでなければ、家庭用はこれで充分な気がします。

5つ星のうち 5.0  よく切れ使いやすい, 2011/10/21

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

 

少し太い木を切る必要があって購入した。これまで使用していたのこぎりは短いだけでなく、切れ味が悪くなっていたことが、これを購入してよくわかった。

細い枝を切る時も、これまでの短いのこぎりを使う気がしなくなって、この長いのこぎりを使用している。刃が長いので、収納ケースも大型となっている。そのため、腰のベルトからケースを下げた場合に、小柄な者にとって、ケースの下部の固定ベルトの位置が膝のところになってしまう。そのため、木に登る際には少しぎこちない動きとなる。それでも、この切れ味は素晴らしく、値段は少々張っても、よい買い物をしたと思った。

5つ星のうち 5.0  切れ味抜群, 2013/2/2

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

ネーミングの通り抜群の切れ味です。今までは別シリーズの物でいろんな木材を切っていましたが、選定や樹木の伐採はこれに限ります。

5つ星のうち 5.0  クヌギ切りに使用, 2012/5/17

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

クヌギを切り倒す時に使用、名の通り凄いキレでした。値段だけの価値は、確かに有りました。 作業終了後には、掃除・注油(556とか)をする事をオススメします。

5つ星のうち 4.0  ヘビーデューティー仕様, 2013/3/8

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

 

普通のノコギリでヒーヒー言っていたのに、このノコギリなら力の入れようによっては倍の仕事をしてくれます。

それもそのはず、鉄板の厚さから刃の間隔まで厚物を切る様な仕様になっています。反対に細い枝を切るにはギクシャクするかも。直径20センチ位ならたいしたことありません。でも、木を切るなんて罪悪感を感じますね。

5つ星のうち 5.0  手引きとしては文句なし, 2014/3/4

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

 

この価格でこの切れ味は満足です。直径20cm前後の枝を切ることが多いのですが、よく切れますグリップもしっかりしており、刃のカーブと相まって労力の軽減に貢献しています。

5つ星のうち 5.0  評価通り切れ味でした。, 2013/4/3

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

切れ味最高。先端のつる切はあまり使えない。鞘はもう少し軽量なら申し分なし。

5つ星のうち 5.0  キャンプ用の薪作りに購入。これはスゴイです。, 2011/7/19

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

いわずと知えたシルキーシリーズ。今更素人がレビューするまでもないでしょう。これは生木であればいとも簡単に切断できます。純粋に驚きました。スゴイ!と思わず口に出してしまいました。都市部の密集住宅地のため、エンジンチェンソーは論外。電気チェンソーも気になるため、音を最優先にて吟味の上これを購入。いい体力作りにもなり、キャンプ用の薪程度の枝の切断程度であれば、瞬間で処理できるので、快感さえ感じます。これはイイです。他、それなりに時間は掛かりますが、玉切りにも十分に使えます。

5つ星のうち 5.0  切れ味抜群, 2014/2/10

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

今まで手にしたのこぎりの中では一番の切れ味です。女性でもあまり力を入れずに直径10cm程度の木を切ることが出来ました。

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

指より太い生木なら最適、それより細い生えだや枯れた細い枝はケバが残ります。ノコ目がもうちょっと小さめだったら…。5つ星のうち 4.0  枝打ち用には良いのだが, 2013/12/16

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

 

造園業で枝打ち用に購入しました

シルキーブランドで当然切れ味も良いのですが、長い分やはり使いづらい・・・・腰ベルトに下げたら抜けないし、脚にホルダーで装着しても膝下よりツール全体が長いのでちょっと付けにくい。モノ自体は良いものなんだけど・・・・背中に背負えるようなホルダーが欲しい。

5つ星のうち 5.0  太い枝の剪定や伐採作業に, 2013/12/12

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

太い枝の剪定や伐採作業に効果あり。特に雑木を伐採するときなどはスイスイ切ることができ、作業が非常に捗った。

5つ星のうち 5.0  お勧めします, 2013/12/3

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

レビューに書かれているのを見て購入いたしました。30センチ程の木も楽々切れて満足。近くにあるホームセンターに置いてありませんでしたが間違いありません。

5つ星のうち 5.0  とにかくスゴイ, 2013/11/29

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

まさに名の通り。よく切れます。それまでの苦労が何だったのかと思うほどです。

5つ星のうち 5.0  切れ過ぎるほど, 2013/8/2

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

 

商品が到着し、早速く立ち木の枝を切ってしまいました、従来のこぎりと違い軽く数回の運動で小枝が地面に落ちてしまいました。すごい!切れ味と関心する次第です。良いのこぎりをお教え頂き有難うございました。

 

5つ星のうち 5.0  切れ味が良い, 2013/6/26

レビュー対象商品: シルキー スゴイ 360mm390-36 (Lawn & Patio)

イチョウの木の枝落としと梅の木の剪定に使用しましたが、非常に良い切れ味であり、これまでに使っていた鋸を使わなくなりました。

9:17 2014/05/23

 

 

 

ユーエム工業 シルキー はやうち4段 179-39ユーエム工業

7件のカスタマーレビュー参考価格: ¥ 30,143 価格: ¥ 16,003

製品型番 179-39

商品重量 3.4 Kg 商品の寸法 196.8 x 17.8 x 6.9 cm

商品の寸法 奥行き × 幅 × 高さ 196.8 x 17.8 x 6.9 cm

 

木に登らなくて大丈夫, 2013/4/19

高所の老朽幹の枝降ろしも安心。木から落ちて骨を折る心配なしです。

5つ星のうち 5.0  良かった, 2013/5/7

レビュー対象商品: ユーエム工業 シルキー はやうち4段 179-39 (Lawn & Patio)

主人曰く、すごいくいい!よく切れる!すぐに切れる!と大絶賛です。揺れる枝を切るのは大変でしたが、これはすぐにきれいに切り落とせるため、揺れに対する心配は全くないとのことです。良い商品を購入しました。

5つ星のうち 4.0  力が…, 2013/8/15

レビュー対象商品: ユーエム工業 シルキー はやうち4段 179-39 (Lawn & Patio)

長くて結構高いところまで届きますが、この長さのためかなり重いですね。強度等からやむなきものとは思いますがやはり相当重いことは事実です。

5つ星のうち 5.0  素人には非常に便利!, 2013/12/25

レビュー対象商品: ユーエム工業 シルキー はやうち4段 179-39 (Lawn & Patio)

 

非常に切れ味が良く、大きく成り過ぎた(10m以上)の木も半分程度に出来ました。又、適度の重量で刃を目標の枝に載せれば後は押し引きだけでどんどん切り込んで行くので直径20cm位の太い枝でもなんとか切れました。私のような素人には登る事が出来ないので凄く重宝しました!

5つ星のうち 4.0  切れ味抜群だが、労力も抜群。, 2013/11/24

レビュー対象商品: ユーエム工業 シルキー はやうち4段 179-39 (Lawn & Patio)

自宅に生えているカナリーヤシ(フェニックス)の葉の剪定用に購入しました。

2階建ての家とほぼ同じ高さまで生えたカナリーヤシの葉の剪定に梯子をかけて切るのはかなりの労力と危険が伴うので高いところを切れる鋸を探し、この鋸を購入しました。

決め手はこの手の鋸で最長と思われる高さまで伸ばせるところ。

実際の使用感ですが、戦国時代の長柄槍バリの長さまで伸ばすと高いところまで刃が届き、2、3回挽くとあっという間に切れます。これほど高いところのものをあっという間に切ることができる切れ味は感動モノです。

留意点は3つ。

1つ目は、かなり重いこと。3.4kgだと男性が持つ分には軽いイメージがありますが、実際伸ばしてから使うと2、3倍重く感じます。何本か切っていくうちに息が上がってしんどくなります。

 

2つ目は、伸ばしきると先端がしなること。これは仕方ありませんが、高いところを切る時に切る位置が定めづらくなります。

また色々なものが生えているところでは切ろうとする度に弾かれてかなり労力がかかります。

 

3つ目は、首が相当疲れること。常に上を向きながらやるので苦しい体勢でやることになります。

以上の点を踏まえ、高いところを切るのに困っている方であればオススメできる鋸です。

5つ星のうち 5.0  ゴルフ場で大活躍, 2014/4/21

レビュー対象商品: ユーエム工業 シルキー はやうち4段 179-39 (Lawn & Patio)

コース内・林帯の樹木の高枝下ろしに使ってます。殆ど伸ばしきった状態で使っているので体力を要するが、木に登って切るよりは楽。はやうちフックがあると無いとでは体力の消耗が違うと実感した。太い松の枝も良く切れるが、刃に付着した松ヤニはキレイに落としてから使わないと切れ味が悪くなる。ヒノキの場合、枝の下側の樹皮切りに鎌刃が役に立つ。

5つ星のうち 5.0  評判どおり、鋭い切れ味です, 2013/9/27

レビュー対象商品: ユーエム工業 シルキー はやうち4段 179-39 (Lawn & Patio)

重さは普通にありますが、切れ味鋭く、変にしなることなく、とても使いやすいです。近所の店よりだいぶ安く買えました。

9:06 2014/05/23

 

 

 

 

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2014年5月17日 (土)

植草一秀の『知られざる真実』ブログ

引用

 

植草一秀の『知られざる真実』ブログ

https://www.youtube.com/watch?v=dK5gOFO7X1g

 

マスコミの伝えない政治・社会・株式の真実・真相・深層を植草一秀が斬る

http://foomii.com/mypage/

2014年5月16日 (金)

平和主義を軍国主義に転じる前に総選挙が必要

こうやって国は破滅に導かれてゆくわけだ。 そして、悪事に加担する者がたむろする。 たむろする者のなかで、際立って悪徳が突出しているのが 「電」 と 「学」 だ。 「学」の脆弱さはSTAP細胞騒動でも露わになったが、金と力に従属する「学」が蔓延している。 放射線被ばくが健康被害をもたらすとしても、全員にその被害が生じるわけではない。 ここが大事なところだ。 NHK、読売、産経 が突出して安倍晋三氏の暴走を支援している。 戦前の大政翼賛会の状況が日本の戦前史を不幸に導いた。 いま、同じことが繰り返されている。 昨年7月に『アベノリスク』(講談社)を上梓したが、アベノリスクとはこのことだ。 http://goo.gl/xu3Us 安倍自民党が衆参両院で過半数を確保すると大暴走を始める。 しかも、2...

 

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16:41 2014/05/17

 

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 一 本サービスに使用する設備の保守又は工事のため、やむを得ない場合

 二 本サービスに使用する設備に障害が発生し、やむを得ない場合

 三 第一種電気通信事業者又はその他の電気通信事業者の提供する電気通信役務に起因して電気通信サービスの利用が不能になった場合

 四 その他、弊社がサービスの中断が必要と判断した場合

 

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 三 弊社の責めによらない事由により、ID・パスワードが不正利用されたことによって発生した損害

 

 第14条(準拠法、裁判管轄)

 本規約の成立、効力発生、解釈にあたっては日本法を準拠法とします。

 2 弊社と読者との間で生じた紛争については、弊社の本店を管轄する裁判所を第一審の専属管轄裁判所とします。

 

 第15条(規約の改定)

 弊社は、必要に応じて、予告なく本規約を改定することができるものとします。

 2 前項の改定内容が大きな影響を与える場合には、相当の周知期間をもって、読者に通知の上、本規約を改定するものとします。

 3 読者が、本規約改定の効力が生じた後、メルマガを購読した場合は、改定後の規約に同意したものとみなされます。

 

 

 

2010年6月1日 制定、施行

2010年12月28日 改定

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16:39 2014/05/17


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2014年5月11日 (日)

栗山町議会基本条例の根本的欠陥(カテゴリー: 市民自治基本条例本条例)

いんよう


栗山町議会基本条例の根本的欠陥(カテゴリー: 市民自治基本条例本条例)

栗山町議会基本条例の問題点・・北海道栗山町の議会基本条例

1 優れた自己規律の定

栗山町議会基本条例は、高い倫理感に基づく一歩も二歩も進んだ内容である。だがこれは「基本条例」とは言い得ない。

 

これは、代表権限を託された議会が定めた「自己規律の定」であって「最高規範条例」ではない。代表権限を信託した有権者町民が合意決裁したものではないからである。 

栗山町議会は、制定の前後に説明会を開き賛同を得る努力は重ねた。だが「町民投票による合意決裁」を得てはいない。であるから、町民には「吾が町の最高条例」を「自分たちが関わって制定した」との規範意識が醸成されていない。議会が、(実態は議長と事務局長の主導で) 制定した「自己規律の定」である。しかしその内容は議員職責を自覚した優れた内容である。遵守されるであろう。絵に描いた餅ではない。

栗山町議会の方々は、「ニセコ町の悪しき先例」によって「このやり方」で良いと考えたのであろう。

 2 基本条例は自治体の憲法

 基本条例は「自治体の憲法」であると説明される。

憲法は、「権力の行使」に枠を定める最高規範( 98条)である。これが近代立憲制の民主政治の制度理論である。

自治体の基本条例は、市民が選挙で首長と議会に信託した代表権限の行使に枠を定めた「最高規範」である。制定当事者は有権者市民でなくてはならない。

首長と議会は基本条例を「遵守する立場」である。

選挙とは「代表権限を信託する契約」である。条例制定の権限は「信託契約」によって「首長と議会」に託されているのだが、「代表権限の逸脱」を制御する「最高規範条例の制定権限」は託されていないのである。

3 自治体の成熟

 自治体が「最高規範条例」を制定するのは「自治体が成熟した」からである。

民主党の「地方主権」の言い方 (理論的には誤り) に、多くの人々が疑問を呈さないのは「市民自治」の理念に共感し納得しているからであろう。 

 つまりそれは、現憲法での65年の自治制度の実績が「中央集権の地方公共団体」を「自治分権の自治体」に成熟させているからである。自治体は基本条例を制定する段階にまで至ったのである。この自治の進展を後退させてはならない。しかるに、栗山町議会の「議会基本条例」の出現によって、安直な「議会基本条例の制定」が全国に広がっているのである。

 

4 なぜ「議会基本条例」なのか

なぜ、「自治基本条例」でなくて「議会基本条例」なのか。何故に議会が突出して、恰も「独りよがり」のように「これ見よがし」のように「議会基本条例」を制定するのか。自治基本条例には「行政基本条例」と「議会基本条例」が、それぞれ別にあってよいと考えるのは (説明するのは)、まことに奇妙な理屈である。

自治体は二元代表制度である。首長と議会の「良き緊張関係」で運営されるのが望ましい。だが、基本条例を別々に制定するのは正当でない。

何か余ほど特別な事情があって、先ずは「議会基本条例」を制定して「首長部局の基本条例」が成案になれば、その時点で「自治基本条例」として合体する。そのようなことも例外として考えられないこともないが、しかし、やはり不自然で不合理である。

栗山町の議会基本条例のつくり方が「良いモデル」のように流行するのは異常である。それを推奨するが如き言説は誤りである。 

省庁支配の「地方公共団体」から「市民自治の自治体」に進展して「最高規範条例」を制定する段階に至ったのである。市民自治の蓄積充実を誤ってはならない。今、流行現象となっている「議会基本条例の制定」を進める議員と薦める学者の心底は評価できるものではない。

 

5 憂慮すべき重大事態


さらに重大な問題は「自治基本条例の制定」という「市民自治社会への重大な節目」を「無意味な流行現象」にしていることである。日時が経過すれば「一過性の流行」で終わり忘れ去ってしまうであろう。

「最高規範条例」を創出するのである。現在のような「安直なやり方」で制定できる筈がないではないか。少しは真面目に真剣に考えることである。

学者は「理論責任」を三思すべきである。

22:09 2014/05/10


   区議会について

議会の役割・しくみ

区議会の役割

皆さんが利用している道路や公園、学校の整備など、毎日の生活に欠かせない身近な仕事を区は行っています。こうした身近な仕事は、区に住んでいる皆さん方が考え、そして、自分達の手で推し進めていくことが大切です。

しかし、実際に区民全員が集まって決めていくことはできないので、皆さんの代表者として区議会議員を選挙で選びます。

区議会では、こうした区民の方の意向を区政に反映させるため、区の重要な事項(予算や条例の制定)などを話し合い決定して、区民の皆さんの生活をますます豊かにするように努めています。

 区議会のしくみ

 区議会議員

区議会議員は、区内に住んでいる満25歳以上の区民の中から、4年毎に選挙によって選ばれます。なお、議員の定数は、中央区議会の場合、条例で30人と定めています。

 区議会と区長

区議会は、区民生活の重要な事項を決めています。このため、区議会は「議決機関」と呼ばれています。

一方、区長は、区議会に認められたことに基づいて、実際に区の仕事を進めています。このため、区長は「執行機関」と呼ばれています。

このように、区議会と区長はお互いに独立し、対等な立場にあります。それぞれの権限・役割が明確に区別され、相互のけん制と調和により公正な行政を確保するという、チェック・アンド・バランスの作用を生かして、より住み良い中央区の実現に向けて努めています。

 議長と副議長

議長と副議長は、議員の中から選挙で選ばれます。議長は、対外的に区議会を代表するとともに、本会議の主宰者として会議が円滑に運営されるように努め、議場の秩序を保ちます。また、議会局長等を指揮監督して区議会全般の事務を処理します。

副議長は、議長に事故があったときや欠けたときに議長のかわりを務めます。

会派

区議会は、「会派」を中心に活動しています。所属政党が同じであったり、同じ意見や考え方を持った議員が集まり、政治活動を行うことを目的として、議長に会派届を提出している団体を「会派」といいます。

提出された議案などに対する賛否は、会派ごとに結論が出されます。

 

定例会・臨時会

区議会の会議には、年4回(2月、6月、9月、11月に招集)定期的に開かれる「定例会」と、必要に応じて開かれる「臨時会」があります。いずれも招集するのは区長の権限ですが、議員定数の4分の1以上の議員から招集の請求があったときは、区長は臨時会を招集しなければなりません。

 

本会議

議員全員が出席して開く会議を本会議といいます。この会議で議会の最終的な意思決定を行います。また、区長などに対し質問を行い、区の仕事全般についての説明を求めたり、区の方針などを問いただしたりする大切な会議です。

 

委員会

本会議以外の会議には、議員の一部の者で構成される委員会があります。

区が処理すべき分野は、年々拡大しており、これに伴って議会が審議する件数も増大してきています。そのため、これらをいくつかの部門に分けて、専門的かつ詳細に審査・調査する委員会を設置しています。

常任委員会常設されている委員会で、それぞれの所管に属する事項を審査します。中央区議会には、現在は条例で4つの常任委員会が設置されており、議員は、いずれかひとつの委員会に所属することになっています。 議会運営委員会議会の運営方法などについて協議するために設置されている委員会であり、各会派の代表者で構成されています。特別委員会必要に応じて、特定の事件を審査するため本会議の議決により、臨時に設置される委員会です。そして、その事件の審査が終了すれば、委員会は消滅します。

区議会の仕事

 

議決

区議会の仕事で、重要でしかも代表的なものは、区長や議員から提出された議案などを審議して、その可否を決めることです。

このように議会の意思を決めることを「議決」といいます。

議会の議決を得なければ、区長は事業を執行できません。議決をする事項は地方自治法で定められており、区の仕事で重要なものは、ほとんど区議会の議決が必要です。

 

選挙、選任及び同意

区議会は、議長、副議長や選挙管理委員会などの委員などを選挙し、常任委員会、議会運営委員会、特別委員会の委員を選任します。

また、区長から提出される副区長、教育委員、監査委員など重要な人事案件について同意するかどうかを決めます。

 

区政のための調査・監査及び検査

区政が正しく運営されているかどうかを調査したり、事務の執行状況や出納の検査をすることも区議会の大切な仕事のひとつです。さらに監査委員に専門的な監査を求め、その結果を報告してもらうこともできます。

本会議で一般質問を行うこと、委員会で報告を受けたり質問を行うことでも区政をチェックしています。

 

意見書の提出

区では解決できない問題について、区議会の意見を「意見書」や「要望書」として国や東京都などに提出し、解決を求めています。

 

請願の審査

区政についての皆さんの要望や意見を「請願」または「陳情」として受け付けています。そのうち請願は、その内容により所管する委員会で慎重に審査し、本会議において、その内容が妥当で施策に反映させるべきであると判断した場合は採択し、そうでない場合は不採択とします。

採択されたものは、区の仕事に関するものは区長等に送り、国や都の仕事に関するものは関係機関に意見書を提出するなど、その実現を要望します。

21:56 2014/05/10

 

 

栗山議会

議会基本条例の制定

 

条例可決後の記者会見平成12年4月の地方分権一括法の施行以来、地方議会の役割は極めて広範囲にわたり、その責任の度合いはこれまでと比較にならないほど重くなりました。

また、2007年に実施される統一地方選挙からは議員定数が5名減の13名になることから、町内全体への目配りのためにも住民との協働による議会を目指さなければなりません。

その中で、栗山町議会は、平成13年9月から今日まで時代に対応した議会改革、議会活性化策に努め、真に「町民に開かれた議会づくり」に取り組んできました。議員及び議会にとって、議会の改革・活性化は永遠のテーマであり、町民の代表たる多人数による合議制の機関として、町民の意思を町政に的確に反映させるためにも、今後も、継続して議会の改革・活性化に取り組んでいかなければならない重要なテーマです。

栗山町議会基本条例は、いつの時代においても議会としての権能を十分に発揮し、その責任が果たされるよう、4年半に及ぶ議会改革・活性化策の集大成として制定したものです。

 (以上、本会議における条例の提案理由より。写真は、条例可決後の記者会見)

22:00 2014/05/10

 

 

 

地方議会の役割

 

キーワード:リーダーシップ 二元代表制 国と地方の関係 地方議会 市区町村職員の役割

講師:中尾修(東京財団研究員、元栗山町議会事務局長)

講義日:2011年8月27日(土)

文責:週末学校事務局 坂野裕子

講義のねらい

「地方議会」とは何か。二元代表制において議会(議事機関)と首長(執行機関・自治体)は、より良い地域をつくるために、政策提案から執行までの政策過程全体にわたって、両者がそれぞれの特性を活かし、住民の声を汲み取りながら切磋琢磨することで、個別の利益代表ではなく、地域経営の代表者としてあるべきだ。

しかし、多くの自治体職員にとって「地方議会」や「地方議会議員」とは、本来あるべき姿とは大きく異なる存在であろう。時として「議会」は行政の邪魔をする存在に思え、地域を共につくるパートナーとは思えないのが現実ではないか。

講師である中尾修氏は、議会事務局職員として、栗山町の議会改革に携わり、栗山町議会への住民参加を実現してきた。その経験を踏まえ、提言書「市民参加と情報公開の仕組みをつくれ~地方議会改革のための議会基本条例『東京財団モデル』~」を示し、全国各地での講演活動等を通じ、本来の地方議会のあり方について積極的に提言してきた。同氏の栗山町での経験やその後の取り組みなどを通じ、議会および議員への理解を深める。

また、チェック機関としての議会だけではなく、意思決定機関として住民の声を反映し、自らの地域をより良くしたいと強く思い活動している議員との対話を通じ、自らが自治体職員として議会とどのように向き合い地域づくりに取り組むべきなのかを考え、自治体のパートナーとしての議会および議員の姿をより明らかなものにする。

 

nakao2.jpgいま、地方議会の何が問題なのか

 

○首長と議会の意見にズレはあって当然

二元代表制の制度は、首長も、議員も選挙で選ばれ、この2つは意見にズレがあるのは当然である。一方は1人で、もう一方は合議体であるためその性質からしてズレがあることはむしろ制度の優れた点である。しかしこのことに議会が気づかず、首長与党・首長野党と議会の中で対立をしてきた。

二元代表制の仕組みは「チェック&バランス」、「抑制と均衡」がとれた、制度的にはしっかりとしている。しかし、片方(首長)には主に執行を、片方(議会)には決定をという役割分担は、運用の中で、予算編成権を持っている首長側が圧倒的に優位になってしまっている。

 

○ 首長と議会は原則に基づけば緊張関係はうまれる

首長と議会の間でかなり厳しい対立が出ているところがある。今の名古屋の河村市長の市政のやり方、議会との対立はやむをえないと考える人はいるだろうか。昨年度の研修生は8割の人が賛同できると答えたが、今年度の研修生はわずか1割。物事は、点で見てはいけない。二元代表制の原理原則を考えれば、市長と議会の意見が異なることは当たり前であり、それを理由に十分な議論をせず実質的に市長が主導した議会の解散を行うやり方には疑問を感じている。

阿久根市の事例は否定的に見る人が多いだろう。首長と議会の権限の話について1つ事例を挙げると、副市長選任の議案を審議する際、当人がすでに議場に入っていた。本来説明員を求めるのは議長の権限、議場の備品を含めて建物の管理をしているのが市長である。普段から説明員は、市長、副市長、○○部長以下何人と議長がきちんと毎回要求し範囲を明確にしておくべきだったのに、これまで説明員として要求されていない職員も議場に入る馴れ合いがあったのではないか。そのため両者の関係がこじれると揉め事が起きるのである。原理原則を踏まえれば首長と議会の緊張関係は自然と生まれ、また変な揉め事は起きない。

ただ、最近起きている首長と議会の対立は、その首長にとって当面公選職である議会にぶつかることが優位だからだ。首長が本丸として目指しているのは、実は行政組織である公務員機構、硬直化した執行部にターゲットをおいている。首長と議会の対立は、言われたことしか仕事をしない公務員機構とそれを何のチェックもしてこなかった議会への批判とも言える。

 

○ 議会は議案について議論を行い、是々非々の対応をする

議会の存在意義は、首長提案の議案(または議会提案の議案)の完成度が高く、市民にとって有益かを様々な角度からチェックすることである。議員は、首長とは仕事が違う。首長が提案する議案にいろいろ注文をつける様子は、独任制のもので人気者の首長を複数の議員でいじめていると住民に映ることもあるだろう。しかしそれは誤解である。正当に選ばれた議員は、その自治体の地域経営が行き詰らないようにチェックしており、その役割を住民が理解しなければ、地方自治は進展しない。議会も機関として全体として民意を汲み取った上で、議案をチェックする。首長も民意をつかむ努力はするが、本来多様なメンバーで構成する議会のほうが民意の吸収は得意技でなければならない。

 

○ 議論ができない議会、 “議会の意思”が明らかになっていない

主権者である住民の言うことすべては聞き入れることができない。また限られた予算の中で選択と集中をしなければ自治体が成り立たず住民に痛みを求める場面も増えていくだろう。そのため議会は、住民の多様な意見を吸収した上で、議員1人1人がどう考えるか語り、議論というパスを回しゴールを目指す。すなわち合意形成をするという集団技を身につけることが必要だ。そしてその合意形成の過程を住民に示し説明をする。住民の意見も聞かず、説明もしないまま、首長の言いなりになっている議会は本来の役割を果たしていない。そもそも両者の関係が「抑制と均衡」である二元代表制の地方議会で、首長与党、首長野党は存在するはずないのだ。

 

○ 議員を選ぶ住民にも責任あり

議員を選ぶ住民にも責任がある。住民は議会に対して断片的な情報で批判をしすぎていないか。議会制民主主義とは、どのような形が理想なのか考えると、議会は細かい用事を頼む相手ではないことがわかる。自分でやれることは自分でやり、議会は地域経営、例えば利害が相容れない問題などの議論をさせる。人々の細かい要望を行政に伝えるだけの議員の役割に税金を使うことがよいのか。もう分け与えられほどパイは大きくないのだ。

 

議会を“あるべき姿”にするためには…

 

○ 住民との係わり合いが希薄な議会

本来地方議会には、徹底した情報公開と共有、住民参加が求められる。しかし地方自治法上、議会最も尊重しているのが会議規則であり、会議規則には、「市民参加」、「情報公開」、「評価」が埋め込まれていない。

議会の現在の課題として、埼玉県の前越谷市議会議長の石川氏は、もっと市民との関わりをつくっていこうと提案をしてきたという。石川氏は、議会改革の必要性を首長が訴え市民に賛同されている事例もあるが、議会が市民ともっと係わり合いを持っていれば、より民主的な議論として進めることもできたとの思いを強く持っており、今の議会の課題として、住民との係わり合いを深めることを挙げている。

また兵庫県三木市の大西氏は、議員1人として住民と対話をすることはあっても、議会として住民と対話できていないことが問題だと指摘した。住民にとって議会が見えにくいと言われるが、議会側から審議内容を積極的に知らせていく努力が必要だと述べた。

 

○ 全国初の「議会基本条例」

栗山町議会は2006年全国で初めて「議会基本条例」を制定した。この議会基本条例で、議会は議論の様子をすべて住民に見てもらう。主権者に積極的に関わってもらうことを宣言するものだ。憲法でも認められている自治体が独自に法律を解釈し条例を制定する権利を直接つかった。議会としては初めての事例だった。

 

○ 議会基本条例に欠かせない要素は

議会基本条例の欠かせない要素は、①議会がかたまりとして不特定多数の住民と公式に話し合う機会の確保(議会報告会や意見交換会)、②住民が陳情や請願について議会で見解を述べることができること。③議員間で討議することである。

議会の存在意義は、前述のとおり議案に対して賛成、反対という決定行為よりも、そこに至るまでにどのような議論が行われたかが重要であり、そこに市民参加があって専門的知見の活用があって、自由討議がある。繰り返しになるが住民に議論プロセスが市民に見えることが重要。水面下で誰か“偉い人”が決めるのではない。正式に議論をして決定する場こそが議会であり、今後、議員には自分の意見を正確に述べ議論をすることが一層求められている。議論を重ね結論を導き出すことが合議体である議会の真骨頂である。

今では議会基本条例は、全国各地で200以上制定された。これから制定予定の自治体が200ぐらいある。

自治体の予算縮減で、住民に負担を強いる決断が求められ、議会も説明責任を負う状況でこれまでの“口利き”では議会は存在意義を失う。そんな中、危機感を持った議会は、一斉に「議会基本条例」の制定を目指した。この5年の変化は、時代の変革や地方をめぐる問題について、住民、行政、国の考えが大きく転換しているその過渡期にあることを示している。

ただ、議会基本条例を絶対作らなければいけないというわけではない。制定しても意味ないところも多くあるのだ。「住民参加」や「情報公開」の重要なポイント、東京財団モデル3要素が盛り込まれないものは「ニセ条例」と言える。

 

○ 議会の役割は、肥大化した行政権を制御すること

行政は、企画をして予算をつけて執行し、自ら評価する。これら一連の行政行為を行政権として当然のように実施している。ちょっと冷静に考えると強権、もしくは独善に見えないか。行政権がここまで肥大化すると収拾つかない。そのため議会がここでやめるべきだと制御をかけるのは健全な姿である。むしろそういう姿がないとすれば議会が機能していないと言える。

 

○ 市民目線で事業全体を見直すことができるのが議会

そう考えると事業仕分けは本来であれば議会の仕事である。制度の改廃や、補助金の取捨選択は執行側ではなかなか判断できず、「一律何%削減」となりやすい。議会こそが市民目線で事業全体を見直すことができる代表機関のはずだ。

私が栗山町の議会事務局長をしていた当時、議員と相談をして決算委員会の初日に、補助金に特化して審議をやろうということになった。行政と同じように縦割りで審議する必要はない。国、県、町の補助金をすべて対象にし、どのような目的でどのような団体に補助金を渡すか確認をした。かなり昔から続いている補助金の中には役割を終えたようなものもあった。議会は、縦割りで出てくる予算書に横串をさす審議をする。行政職員にとっても本当はやめたくてもやめられない補助金がある可能性は大きい。行政側は、既得権が生まれたものを廃止するのは難しい。議会こそが得意であり、議会の重要な仕事として認識されるべきだ。

企画立案、予算編成、執行、確認という一連に行政の業務は、そもそも住民から委ねられたもの。これまで余分なことを行政はやっていた歴史がある。そしてそれが負債として残り、それをチェックできなかった議会はどうであったのか。健全だったのだろうか、今一度考えてほしい。

 

○ 議会を変えるための具体的な実践

oonishi2.jpg事例1.三木市議会の議会報告会

三木市で大西氏ら三木市議会議員の有志が実施した議会報告会では、議会の議案への対応に市民から不満の声がでたものが2つあったそうだ。しかしその判断理由をきちんと説明できない議員がいて、その議員は市民からの批判をこわがるようになった。一方市民からは、議員の本音を聞け、市民が議員を判断するよい機会なので、しっかり意見を言ってほしい言う要望も挙げられ、反応はよかった。住民の要望に応えられない部分については「承ります」ではなく「できない」とその理由も含め説明しなければならないと感じたそうだ。

議会報告会について議員は、大勢の市民が集まり成功したか失敗したかを気にするが、そうではなく自治のルールとして1年に1度市民の前に出ることが当たり前で、持続することが大事である。

ishikawa2.jpg事例2.越谷市機会 超党派議員による事業仕分け

越谷市議会では、石川氏が中心となって超党派議員による仕分けをした。越谷市議会32人のうち賛同をした14人での実施だった。きっかけは、東京財団の加藤理事長の話だった。  

行政に事業仕分けの実施を提案したが受け入れられなかった議員たちは、構想日本の指導のもと通常担当職員が行う事業説明も自分たちで行うことにした。市の事業について議員が説明できないことも問題だと考えたからだ。石川氏らは660事業のうち仕分けをする事業を選び、担当職員に話しを聞いたり現地調査をしたりして準備を進めた。およそ2週間、担当の職員と話し合いを重ね事業を徹底的に解剖していった。その作業中にも、議員と担当職員でまるで事業仕分けのような徹底的な議論が行われ、貴重な機会だと感じたと石川氏は述べた。

実施した事業仕分けには一般市民・傍聴者が110人集まった。110人のうち14人は市職員の部長クラスが様子を見に来たようだった。市民の感想では、議員による事業の説明について、7割の人に適切と評価してもらった。また全事業で実施してほしい、定期的にやったらどうか、傍聴人も意見を言いたいなどの反応もあった。また、なぜ行政職員が説明をしないのか、実際現場で苦労をしている職員の話しが聞きたかったという意見が多かった。

議員には普段、市長に対して、要望ばかりをしているが、そうではなくて議員に与えられた権限で、市の事業について詳細に分析することはできる。これまで常任委員会が4日間あるうち、議案審査は1日で終わっていた。こういうときに事業仕分けをするべきだと感じていると石川氏は述べた。日常の議会活動の中で事業仕分けをやる必要性があるという。事業仕分けの結果を市長に説明し、現在はどの程度予算に反映されたか確認している最中。現在議会改革に関連し、常任委員会で事業仕分けをしようと議論をしているそうだ。

 

行政職員として議会にどう関わっていくのか

 

○ 構造や制度をきちんと理解しているか

行政職員は、構造や制度を見ないで「現象」を見るだけで批判を言っている人が多いのではないか。地方議会の本来の役割を誤解している人が多い。繰り返しになるが、地方は首長と同様、議会も住民の代表であるという二元代表制がとられている。職員は二元代表制の理解と行動が求められる。しかし、実際には自分たちがやりたいことを邪魔する存在としてしか考えられていないのではないか。

 ○ 議会へ審議ができる十分な情報を入れ議論ができる土台をつくる

地方議会でも首長与党、首長野党というくくりがなんとなくあり、議案が出てこれば何でも賛成、一方で何でも反対というようになる。行政側は何でも反対の人には情報を入れず、何でも賛成する「私たちは与党だ」という議員には情報を早い段階からたくさん入れている。実はこういう職員がたくさんいる。それぞれ独人制の機関と合議制の機関、それぞれ代表。同じ情報を公平に入れて議論に加わってもらうというのが大前提のはずだが、大きな情報格差が生じる。大きな問題である。行政と議員の情報格差はすごい。情報も十分に渡さずに、議員はわかっていないと行政職員が言っていたら、それは間違っている。話し合いの土台ができていない。

また、人事権を持った首長を向いて仕事をしていると、議会の存在、その関係を間違える。職員は人事権者のために仕事をしているわけではない。

 

○ 議員も職員もともに学ぶ

職員と接する時間が若手の議員ほど少ない傾向にある。議案についてベテラン議員に説明をする際、同時に行政の仕組みの理解が浅いかもしれないが、若い議員にも職員の事業に対する熱い思いを説明してほしい。議会が何をすべき機関なのか十分わからないまま議員になっている可能性もあるので、日常的にそのような行動が大事だと思う。

異論を嫌うのではなく、異質を認める文化を作り上げてほしい。異論に対して自分の意見で戦っていかないと議会への理解は進まない。議会事務局に異動してきた40代の職員が「議会って大変な仕事をしているんですね」と言う。それほど行政にいる職員は議会を理解できていない。ぶつかり合ってやむを得ない制度、異質を認める制度ということを整理しないといけない。

 

地方分権の時代に役割を増す地方議会

 ○ 地方自治体は国と対峙できるか

国と地方は対等・協力の関係といわれているが、あなたの自治体はどうであろうか。さらに言えばあなた自身はどうだろうか。

最近では、前の復興担当大臣が辞めた後、各県の知事が「国と地方は対等・協力関係だ」と言っていたが、勝負が決まってからおかしいと言うのではなく、いつも国と対等・協力の関係にあるという意識をみなさん持っているだろうか。皆さんも仕事をする中で、この問題は国とは違う考えだということがあるだろう。

 

○ 地方議会は責任ある発言を

議会は、頻繁に意見書を国に出して、国に要望をしている。しかし意見書を軽い気持ち出しているように見える。国は軽い気持ちで出したような意見書は対応しない。そうした中、国が機敏に対応した意見書が1本だけである。道路特定財源を守れとの意見書である。

実は北海道など北国では同時に石油製品等を値上げに反対する2つの意見書を出していた。道路特定財源を守れというのは、ガソリン税、揮発税はそのままにしろという意見書。石油製品の値上げをするなというのは、ガソリン税を下げろということ。地方はこのようなねじれた意見書を出したのだった。これに対して、北海道の自治体の市長が地元の新聞に投稿する形で議会の決定はおかしいと意見したのに続き、連動して国交省も議会の決定がおかしいと発言した。その結果2つの意見書を採択した道内50の自治体は、道路特定財源を守るため、次々と石油製品等の値上げ反対の意見書を取り下げた。

しかし栗山町議会は、「両方とも住民の切なる願いとして議会が機関意思決定したものなので、変更しない」と、意見書を下げなかった。すると、栗山町議会議員は各党の国会議員から圧力がかかり、当時事務局長の私にも苦情が来た。しかし取り下げはしなかった。

意見書の内容についてどうこう言うつもりはない。地方議会としての意思決定した意見書の扱いについてその重さを考えてほしい。

 

○ 国と地方の対等・協力関係を実現するには

実際のところ首長は、中央との仕組みを考えると国の政策決定方針から逃れられない。それならば、議会こそが中央に縛られていないことに着目すべきである。国という圧倒的な力に対して総意を示すことができるのが地方議会であり、その積み重ねで国と真正面から向き合える唯一の代表機関のはずだ。long2.jpg

 

研修生の反応

 

研修生の多くは、仕事で議員と接する機会がほとんどなく、議会の役割そのものを誤解していたという感想が多く寄せられた。一方で、議会は民意のくみ上げが得意ではなく、また議員間での議論も不十分で、本来の役割を果たしきれていないとの指摘には、一同納得をしていた。

地方議会の課題は多くあるものの、住民自治を進化させるために、行政職員として議員に議論に必要な情報を十分に提供し、議論をして結論を導き出すという議会が機能するよう働きかける必要性も感じたようだった。

21:41 2014/05/10

 

 

 

議会の役割

議場と議員

地方議会は、地方自治法により設置が義務付けされており、住民からの直接選挙で選ばれた議員で構成される合議体で、次のような役割を担っています。.

1. 住民を代表する機関 

地方公共団体の長と同じく「議会の議員」についても、住民が直接これを選挙することが定められています。このように地方自治体は、執行機関の長と議事機関である議会の議員をそれぞれ住民が直接選挙で選出する二元代表制をとっており、執行機関と議会は独立・対等の関係に立ち、相互に緊張関係を保ちながら協力して自治体運営にあたる責任を有しています。

議員は、住民を代表する者として、地域のことや住民福祉の向上等に努めることがその主な役割です。最近の全国的な傾向としては、議員に立候補する住民が少なくなってきていると言われていますが、いろいろな方が議員に立候補して、積極的に自分たちの町のまちづくりに係わっていくことが必要です。.

2. 地方公共団体の意思を決定する機関

 執行機関の長が独任制であるのに対し、議会は複数の代表で構成される合議制の機関です。議会は、町長から提案される予算、決算、条例制定や改廃、町が締結する契約等を審議しますが、審議の場に多様な町民の意見を反映させ、審議の過程でさまざまな意見を出し合い、その可否について決定する権限を有しています。議会は、住民に対する行政サービス提供の最終決定者であると同時に、議会と町は、大山町の発展と住民福祉等の向上のため、お互いに知恵を出し合い協調していく必要があります。.

3. 提言する機関

 議会は、町長から提出された議案に対し、その可否についての判断をするだけではなく、議員にも条例制定や改廃等についての提案権があります。 議会の政策形成機能の充実が重要になっており、議案の提案・修正などによる議会意思の表明など政策決定における大きな権限を有しています。

議会は住民の代表であり、住民に一番身近な存在である議員が、地域の状況と町の施策を確認・調査して議会で議論するとともに、町長に提言することによりより一層、行政サービスの向上を図ることができます。

4. 地方公共団体の内部機関


 地方公共団体は、執行機関(行政)と議決機関(議会)とで構成されています。執行機関と議決機関は常に対等であると言われますが、大山町を代表するのは町長です。

議会が、議論を尽くした上で議案を議決しても、それを大山町の施策として対外的に実行するのは町長であり、議会は、縁の下の力持ち的な役割を担っています。

5. 執行機関を監視する機関

 議会は、主権者である住民に代わって執行機関を監視・評価し、執行機関の独走をチェックする機関でもあります。 具体的な例として、一般質問、議案に対する質疑、委員会での審査、所管事務調査等が挙げられます。

こうした機能を発揮していくためには、議会は広く住民の意見や要望を把握し、互いに議論することにより、行政の課題を明確にする必要があります。

6. 公益に関する機関意思を決定する機関

 

議会の重要な役割の一つとして、国の各省庁や国会等に対し、公益に関することについて、意見書を提出することができます。 議会は、住民の代表として住民の総意を背景に意見書を可決することは、議会として、とても重要なことです。

また、特定の問題について、多くの地方議会が意見書を可決して国の各省庁や国会等に提出することは、問題解決の糸口につながっていくものであり、住民が目的の実現のために議会と協調していくことが必要です。

大山町役場 議会事務局 〒689-3211 鳥取県西伯郡大山町御来屋328 TEL 0859-54-5213 

21:50 2014/05/10

 

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職員に期待したいこと~」~熊本県水俣市~キーワード:リーダーシップ 住民自治 国内調査 地元学 地域づくり・まちづくり 研修生レポート 行政の役割

いんよう


(国内調査)「私のまちづくり履歴から~職員に期待したいこと~」~熊本県水俣市~キーワード:リーダーシップ 住民自治 国内調査 地元学 地域づくり・まちづくり 研修生レポート 行政の役割


調査先:熊本県水俣市 吉井正澄(元水俣市長)

調査日:2013年6月29日(土)文責:長野県箕輪町 土岐俊(2013年度参加者)


本調査の目的

「まちづくりはそこに住む人々の『想い』から始まる。」週末学校では、このメッセージを一貫して伝え続けている。この「そこに住む人々の『想い』」とはどのようなものだろうか。そして、そこからスタートしたまちづくりとは、どんな様相を呈しているのだろうか。

水俣病という苛烈を極める苦難を抱えながら、地域の自然や風土、そして人と人とのつながりを再起させ、人々が「ここ」に生きる希望を作ってきた熊本県水俣市。本調査では、その地を実際に訪れ、混乱の渦中に身を置きながらも、地域の再生のために尽力し続けてきたキーパーソンらにお会いする。そして、対話や議論を通じて、彼らの地域に対する想いや哲学を肌で感じると同時に、この地域が発する熱量に触れ、真のまちづくりとはどのようなものなのかを探る。

 

以下では、1994年の水俣病慰霊祭で水俣病に対する市の責任を認め、公式に謝罪、1995年には村山政権との交渉の末、未認定患者の政治的決着を図り、以降、環境都市という軸のもとに「もやい直し」を進めてきたというキーパーソン中のキーパーソン、吉井正澄元水俣市長にお話を伺った際の参加者レポートを紹介する。(国内調査全体については、こちらを参照)。

 

参加者レポート

 

元水俣市長の吉井です。市長を終えて12年になります。

かつて市長をしていた時、中国の天津市に呼ばれて訪問に行った時のことです。市役所の職員に大歓迎を受け、料理が前に並び、さあ、というタイミングなのに、質問がいつまでも終わらない。「人口3万人の水俣市の事例が、1千万都市の天津市で参考になるんでしょうか」と聞くと、「良い事例は古いとか新しいとか、規模が大きいとか小さいに関係なく普遍的な真理があり、それを活用するかは聞く人の才覚によるもの。丸ごと真似はしないが、天津市を構築する素材として取り入れたい」とのことでした。全国から来ている皆さん、どうかそんなつもりでお聞きいただければと思います。

 

●地域おこし、村おこしはなぜ行うのか

現在の市町村の状況はおしなべて同じようなレベルであり、近隣市町村で考えても大差なく、首長が変わっても生活レベルが上下するようなことはありませんし、安定的に暮らすことができるでしょう。しかし、世の中はどんどん効率優先になってきて、豊かではあるけれども、豊かさを実感することはなかなか出来にくいのではないでしょうか。あるいは、幸福もそうです。物質的な豊かさだけでなく、そこに心の豊かさを加えた社会を作ろう。様々な条件の中で生きている人が、生き生きと輝く社会を作ろう。そういう取り組みを、地域おこしと言うのだと思います。

 

●水俣のまちづくり

 その視点から水俣のまちづくりを見ますと、水俣には営々と積み重ねてきた先輩の基盤が失われている、そういう中からまちづくりを始めなくてはならなかったのです。水俣病が発生したことによって、多くの方々がもがき苦しみながら尊い命を失い、人生を失い、健康被害を受けて苦しい生活を強いられました。健康だけではなく、地域社会が全て崩壊しました。

 

水俣はチッソとの運命共同体のまちでしたので、市民の7割近くがチッソと何らかの関係がある収入を得ていましたし、町の法人税収の半分以上はチッソにより賄われていました。チッソの倒産は、市の雇用、市そのものの崩壊を意味しました。ですから、市もチッソの側について応援したりしました。追い打ちをかけたのは風評被害です。水俣病は当初原因が分からなかったので、奇病・伝染する病気として扱われ、地域は村八分にされましたが、今度は村八分にした市民が市外で差別を受けます。水俣に生まれただけで、差別を受けました。魚だけでなく農産物も売れない、温泉は閑古鳥、水俣から出ていった市民は、水俣の出身であることをひた隠しにせざるを得ませんでした。

 

●チッソと水俣市

 市は住民の生命、財産を守るのが仕事ですが、水俣はそれができないという状況になりました。市の崩壊の崖っぷちに立たされたのです。アリ地獄におちた蟻のように、もがけばもがくほど状況は悪くなる。水俣のまちづくりは、アリ地獄から這い上がることでした。水俣市民はそれを、「環境まちづくり」という高い理想を掲げて行うことにしました。

 

私は市議会議員を5期20年勤め、議長もしてきました。前市長は「全国を敵に回してもチッソを守る」ということを宣言し、チッソと市は運命共同体であると言っていました。水俣のあり方として、チッソを外したまちづくりなんて考えられないというものでした。

 

●世界の環境を取り巻く動向

そこで私は勉強を始めました。世の中の公害事情はどうなっているのか。足尾鉱毒事件はその後村がなくなっています。世界で公害から再生した事例はなかったのです。自分で考えるしかないと思いました。デンマークでは缶ビールはなかった。自動販売機がなかった。全てびん詰めでデポジット制度、リサイクル率ほぼ100%でした。ブラジルで環境サミットに参加しましたが、世界の趨勢として、持続可能な社会をつくるために環境を守ることが大切であり、経済発展とのバランスが難しいことを学びました。

 

オーストラリアでは、イギリスの流刑地という歴史にも関わらず、ほがらかで前向きな国家が形成されていて、そこで世代を超えた禍福の相殺というものを感じました。タスマニアでは、焼却所がなかったので廃棄物をどうしているのか聞いたところ、全て分別してリサイクルする、リサイクルできないものは作ってはいけないルールになっているという。驚きました。少々の不便さを楽しむことが大切だ、ということを聞いて、大きな示唆を受けました。

 

国内では、富良野市、町田市、我孫子市、神通寺市というリサイクルごみ分別の進んだ町を視察しました。そこで分別について学んで、環境保全することによって経済が発展し、持続可能な社会を作れる方向性を目指すべきだと、その先駆けとして水俣はありたいと思いました。そこで1992年に、水俣市の議会は環境と健康と福祉を大切にする水俣という議決をすることにしました。そしてそれをスローガンに1994年に私が市長に就任しました。

 

●水俣固有の個性と価値

その根底にあるのが行政としての地元学です。これまで地方都市は中央政府に習い、大都市に憧れ、模倣し、全国同一の画一的な政策を受け入れてきました。しかし、その結果、何も生み出さなかった。水俣の持つ個性をもとにして、新しいまちを作り出していくべきだと思いました。個性とは模倣できない独特の価値です。この価値探しを始めました。水俣の固有の価値とは何か。「水俣病」でした。世界に類を見ないものです。しかしそれを表明した途端、大反対を受けました。それは個性であるけれども、マイナスの個性であると。そこで、その負の個性をプラスに転換することが、水俣の再生であると位置づけて取り組むことにしました。そのために、水俣病と正面から向き合うことにしました。

 

その取り組みは成功したのか。私は成功したと思っています。人口の減少は止まりません。高齢化、過疎化も進んでいます。経済は企業の倒産が相次いでいます。しかし、環境の都市づくりのモデルとして高く評価され、忌み嫌われた水俣病を全国各地から小中学生が勉強に来てくれます。リピーターも多い。県下の中学校も、大学も、研究者も水俣に勉強しに来ます。資料館以外の施設にも視察が相次いでいます。水俣を研修の地として多くの外国人の皆さん、特にJICAが来てくれています。途上国で水俣に学びに来ない国はないだろうと言われています。環境首都コンクールでも優秀賞を頂いています。このように悲惨な公害のまちが、環境学習のまちへと変貌しつつあります。

 

●初の公式謝罪で賛否

では、どうしてそう変わったのか。当時は市民同士、患者同士に分かれて反目しあい、患者団体だけでも16あり、お互い挨拶もしない状況でした。行政不信もひどく、また、チッソの安定賃金闘争が起きていました。市民のきずなをまとめ、どう混乱を収めていくか。また、この問題については国、県の采配が大きく、市が主体的にマネージメントできない状況にありました。どうやって、環境都市づくりを市民に浸透させていくのか。市の職員はチッソ側と患者側の板挟みで発言できず、無気力になっていく。八方塞がりな状況でした。

 

そこでまず私がやったのは、「水俣病慰霊式」に犠牲者の遺族、患者を呼ぶことでした。それまでは行政だけでやっていた行事でした。そこで私は謝罪をしました。市は患者の生命と守る責務があった。しかし、それよりもチッソと国の側について、患者側に軸足を置かなかった。そして患者を非常に苦しめた。また、チッソが潰れると生活への影響が大きいことから、何の罪もない患者に誹謗中傷を加えて患者を苦しめた、その道義的な責任、罪を犯したことへの謝罪でした。

 

ところがこの謝罪に対して批判が相次ぎました。まず、国も県もこの問題について「過ちはない」という立場でしたので、腹を立てたのです。市民の一部からは、市長は患者と一緒になってチッソを潰す気か、という批判を受けました。

 

●目標と理念を市民全体で共有するために

 しかし、幸いなことに、これまでボイコットしていた患者団体全てが式典に参加してくれました。これまで、患者と市の間には全くつながりがなかったのですが、それができた。それをきっかけに患者団体が交流を始めた。慰霊式の謝罪の中で、社会の再構築、市民のきずなを取り戻す、という話をしたのですが、それも反発を食らいました。

 

仲良くしようといっても、これまで散々いじめた人と今更仲良くなんかできない、というものです。全国からの支援者もほとんど反体制でした。政党も絡んでいました。そこで作られた様々な価値観の対立が、混乱を深める要素でした。

 

しかしほっておくわけにはいきません。価値観は違うということを認識しあい、自分と違う意見についても耳を傾けあることで、対話が可能になる。それが、立場を超えて人々の間に新しい価値観を生む。それが、新しい町づくりの価値観となると思いました。そのためには、団体同士が声を掛け合うことが必要だ、ということで学習会、討論会、講演会、作業の場などの場を用意して、対話の機会を作り続けていきました。しかし、行政主導では至難の業です。そこで、水俣病の学習会を開きましたが、参加者が毎回一緒です。

 

希望がないところには市民は自主的に参加しません。そこで、地域のあるもの探しをして地元学を実践していた吉本哲郎君の手法を使って、前から引っ張らず、メニューは行政が準備するけれども、選択は住民がする、話し合う、合意したら動き出す。動き出したら行政が支援する。住民が自ら動きだすような仕組みを作ることにしました。

 

「住民参加」でなく、反対に、住民が参加したときに行政が参加する、行政が住民の後押しをする「行政参加」という方法です。環境のまちづくりも、全くその方法で行いました。あて職は辞めて、市民から公募で委員を募集し、白紙委任した。自分たちで答えを出してくれ、というものです。その人たちが毎週土曜日、半年間活動しました。また、職員を連れて地域をくまなく歩き回り、入り込んでいきました。市長批判、行政批判がすごかったのですが、それがまちづくりの始めです。団体、企業などを2年間かけて回った。その結果まとめたのが環境計画です。

 

当時、ちょうど福祉施設や生涯学習施設などをまとめた複合施設を作ろうとしていました。それも市民に白紙委任したのですが、公募委員が沢山集まりました。第一回の会議は大混乱、喧嘩、ののしりあい。しかし、これまで批判しあい、反目しあっていた団体が一堂に会したのです。それでも2回、3回と開いていくと、何とかまとめたいという人が現れ、分科会ができ、話し合いが出来る素地ができた。そこで市が参加して具体的な提案、さらに視察をやってみた。すると、立場を超えて話す関係が生まれてきた。お互いを思いやる話も出てきた。13回の話し合いを重ね、社会福祉施設は完成し、皆仲良くなった。行政だけで作ったらこうはいかなかったし、批判だらけだったでしょう。しかし、自分たちで作ったので何も批判は出ませんでした。名前を「もやい直しセンター」と言います。その名の通り、反目していた団体同士が仲良くなり、新しい事業、イベントを共同でやるようになりました。目標と理念を市民全体で共有した出来事であったと思います。

 

●水俣のまちづくりとは

私は講演に行くと、このまちはどういうまちづくりを目指していますか、と必ず聞くようにしています。ほとんどの市民は答えられません。答えられるのは行政の職員くらいです。

ところが水俣は、中学・高校の生徒まで、「環境のまちづくりです」と答えます。それが水俣のまちづくりです。

 

●職員の役割

 市職員の問題ですが、先ほど混乱のなかで消極的で無気力だと言いましたが、画一的でない考え方を持った職員が実はかなりいました。また、およそ普通の考え方とは全く違う視点を持っている人が、かなりいることが分かりました。その筆頭が吉本哲郎君です。この視点が新しいことを始めるときには特に大切ですが、そういう職員は組織の中で浮きます。みんなが煙たがる。嫌われる。阻害される。能力を発揮できない。それが組織です。それを打開するのがトップの役割、市長の役割だと思いました。

こういう事態に直面したとき、口を出すのか、知恵を出すかで分かれます。知恵を出す職員がいないとまちはよくならない。

 

●環境まちづくりの取り組み

環境のまちづくりは、水俣ではごみの分別から始まります。1993年に始まりますが、19分別から始まります。当時最先端の富良野でさえ6分別でしたら、マスコミが飛びつきました。大きな新聞見出しで取り扱われ、市民は「自分たちの取り組みはすごいことなんだ」と認識しました。市役所に怒鳴り込んでくる人もいました、19分別も市民をこき使ってさせるなど何事か、というものです。3週間後にテレビを見ているとその人がごみを捨てに来たところが映り、インタビューされています。面倒くさいでしょう、と話しかけられた彼は何と言ったか。「やれば楽しいですよ」とこう言った。一瞬にしてテレビが彼を推進派に変えてしまったのです。

 

人は、話題になり、注目され、評価されると自信と誇りが生まれます。嫌なことでもやるようになります。それが循環していきます。そこから環境マイスター制度、レジ袋マイバック運動、環境ISO取得などの取り組みがスタートしました。

 

●水俣独自の環境ISOと、産廃業者の誘致

 環境ISOについては、自己開発するように、そして水俣らしいISOを作りなさいと指示したところ、6か月で取得しました。自己開発型のISOというのは全国初でした。独自の取り組みとして学校ISO、市民ISOなど水俣ならではのものが出来ました。

 

ゴミの分別は分別だけではだめで、分別したごみがどう生かされていくか、資源化されるかが大切ですし、それが産業にならなくてはいけません。そこで、通産省の補助金を申請して産廃企業を誘致しようとしたのですが、先駆性、モデル性がないと言われて却下されました。しかし担当者が勉強して粘り強く交渉し、とうとう日本一小さいけれども先駆性、モデル性があると認められました。現在は10社ほどあると思います。市として環境を整え、市職員全員がセールスマンとなり、市としての知名度を上げながら企業を迎える体制をとることが大切だと思います。県の課長が一声かけたからと言って、企業が来るようなことは絶対にありません。

 

産廃工場が増えることについて市民から不安の声が上がりましたが、国や県よりも厳しい環境基準を適用し、また工場は全て公開としてもらいました。お互いに安心な関係が生まれ、小学生や中学生も見学に来るようになりました。

 

●職員提案を活かす

職員が提案しても採用されなければ、次からは提案してきません。そこで、私は出来る限り、職員の提案を採用するようにしました。またボツになった提案も、話し合ったり電話したりするなどしてつないでいきます。そうすれば、ボツになってもどんどん職員は提案をしてきてくれます。色々な提案に助けられたと思っています。

 

●私の考える、これからの水俣

 これから水俣はどうすればいいのか。

 私の考えでは、人口は増えず、過疎、高齢化します。これは全国どこでも一緒です。

しかし、人口は増えなくても、経済的にも文化的にも満足度の高いまちは出来ると思います。また、安心安全なまちづくりもできるでしょう。その方向に進んでいくと思います。そのためにはこれまで取り組んできた環境のまちづくりを愚直に推進していくことだと思います。出来ればトップになること。そうすれば注目も集まるし、情報も集まります。中で働く人たちも自信と誇りを持ちます。このことが大切です。

 

●新しい動きへの期待

また、今日見えられるそうですが、「あばぁこんね」の皆さんのような多職種のつながり、これまで反目しあっていた様々な団体のつながり、それは世代を超えた禍福の相殺、タスマニアに見られるような悲劇を幸福に、豊かさに変えていく取り組みが今水俣に見られることを心強く感じています。

 

今日、私がお話した中から、世代を超えて普遍的な価値や要素を皆さんが見つけ出してくれたら幸いです。

 

———-

 

Q:吉井さんは自分がやったのではなく、職員の皆さんが頑張ったということを繰り返し述べられています。今日は全国の地域の市町村職員が今日は集まっています。彼らに対して水俣でもやい直しをされた経験から、エールをお願いします。

 

A:型を破るということが大切だと思います。市職員として画一的な行動をしないと仲間外れになりますが、変わった視点こそ大切ですし、まちを新しくしていきます。変わった勉強をしなければ変わった視点は持てないでしょう。批判を楽しみに変えていく、水俣の経験からも苦しさを楽しさに変えることが大切だと思います。

 批判にめげず、頑張ってください。

 

関連レポート

 

2013年度

・2013年度国内調査~熊本県水俣市~(レポート)

・国内調査 「天の製茶園:環境マイスターのものづくり現場」天野茂、浩(レポート)

・国内調査 「頭石(かぐめいし)村丸ごと生活博物館」勝目豊、山口和敏(レポート)

・国内調査 「杉本水産:環境マイスターのものづくり現場」杉本肇(レポート)

・「地元学」吉本哲郎、横尾ともみ(レポート)

・「あるもの探しで地域を元気に:川南地元学」河野英樹(レポート)

 

2012年度

・「地元学の実践」吉本哲郎、横尾ともみ(レポート)

・「あるもの探しで地域を元気に:川南地元学」河野英樹(レポート)

 

 

    

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13:05 2014/05/11

 

 

 

次の世代に残したいもの~南阿蘇村からの発信~住民自治 公の担い手 公(パブリック)とは 地域が支える○○ 地域づくり・まちづくり 地域活性化 研修生レポート講師:大津愛梨(農家)講義日:2013年10月5日文責:栃木県茂木町 田中のり子(2013年度参加者)

 

本講義の目的

 

熊本県の阿蘇地域は、現在も活発に火山活動を行う阿蘇山を中心に美しい草原の広がる国立公園であり、大勢の観光客が訪れる日本有数の観光地である。同時に、古くから安定した集落が形成され、広く農地開墾が行なわれてきた、人々の日々の暮らしが営まれている場所でもある。阿蘇は今年5月、国連食糧農業機関(FAO)が認定する世界農業遺産に登録された。世界農業遺産とは、伝統的な農法や文化、景観を持ち、生物多様性に富んだ地域を世界的に保全しようとする取り組みで、現在世界11カ国25ヶ所(うち日本5ヶ所)が認定されている。

阿蘇を世界農業遺産登録に導いた立役者の一人が大津愛梨さんだ。大津さんは2003年に南阿蘇村に移り住み、以来、米を中心に農業を生業としながら、NPO法人九州バイオマスフォーラムや南阿蘇バイオマスエネルギー協議会のメンバーとして、地域内におけるエネルギーの自給自足も目指している。また語学力を活かし、日本国内だけでなく世界に向けて、日々の暮らしを発信して来ている。

就農して11年。農業だけで生計を立てることが困難なこの時代に、3児の母でもある大津さんが何足もの草鞋を履いて飛び回るのはなぜだろうか。大津さんのこれまでの歩みを辿りながら、彼女を突き動かす想いに触れ、その想いを実現するために必要なもの、大切なことが何であるかを考えたい。

講義の内容

 

豊かさとは

私は農業を生業としています。大学卒業後、ドイツの大学で国土保全を学ぶ中で、農業・農村のもつ魅力や可能性に触れ、農業への関心が高まりました。帰国後、土を踏まない東京で農業・農村を考える仕事をする事に不満が高まり、夫の郷里である南阿蘇村へ移住しました。専業農家である叔父の後継者として、地元生産者組合で作る無農薬のオアシス(おいしい、あんぜん、しぜん、すてき)米を中心に野菜や赤牛を育てています。私は、「農業」、「再生可能エネルギー」、「世界農業遺産認定」は、子どもたちに引き継ぐ大切なことだと考えています。引き継ぐ過程に、新しい農家の形や、未来の農業があるのではないでしょうか。11年前から農業をやっていますが、職場である水田や畑が近く、水や空気、食べ物も美味しい、日が暮れたら仕事は終わりで残業はなく毎日の変化に富んでいて、そして何よりも家族との時間が多いことに喜びを感じています。私はこの生活こそが「豊かさ」だと感じています。東京で暮らす同級生は、年収で言えば私の2倍以上かもしれませんが、しっかりと土に足をつけ、自然の中で子育てと生活ができる私の方がQOLが高いと思っています。

 

Happy farmer makes Happy society.

皆さんは、生きるのに必要なものを知っていますか。一つは食べ物です。命をつむぐだけでなく、おいしい食べ物は幸せの条件でもあります。私たちは5ヘクタールの水田に合鴨と鯉を放ち、通称「恋愛農法」(鯉の“こい”と合鴨の“あい”から命名)と呼んでいます。鯉が泳いだり合鴨が動き回ったりすることで草が生えず、水に空気を含ませる働きもあるため、除草剤を使わずに自然農法で稲を育てられます。そして二つ目はエネルギーです。私は、阿蘇の草資源をエネルギーに利用するNPO法人を運営しています。ドイツとフランスでは日本と同じく減反政策で1割の休耕があります。その遊休地で、バイオマスプラントに入れる作物を育てます。バイオマスプラントで1年中発電できるよう、自宅や農地周辺の草を刈りサイレージ化しています。エネルギーの先進地であるドイツでは、エネルギー自給村という集落があり、バイオマスプラントのモーターの冷却水をお湯にして利用しています。

 

自然は子育ての強力な助っ人

薬用せっけんで有名なミューズのアンケート結果を見ると、子どもを育てるのに必要なことは何かとの問いに94%の人が「自然とふれあうことだ」と答えています。私の家でも農業体験、民泊、産直を行っています。農業によってつくられている美しい日本の農村風景を守り、農家としてのメッセージを伝えるためです。伝えなければ伝わらないので、伝える技術としてSNSを利用しています。我が家ではニワトリも飼っています。以前、友だちのお子さんたちを預かり、夕飯にするためのニワトリの解体をすることになりました。もちろん解体するのは子どもたちです。最初こそ女子は目に手を当ててキャーキャーと騒いでいましたが、男子が羽むしりを終えた途端、ニワトリに興味を示さなくなると、女子が肉をさばきはじめました。狩猟時代からのDNAとでもいうのでしょうか、とても興味深い出来事でした。

 

失敗しても進む

阿蘇が 世界農業遺産として登録され、それを記念しての「ASO世界農業遺産マルシェ」を行いました。農家が農地を守ることで、水源涵養や洪水防止がなされていますが、それは「守ってやっている」ではなく、「お互い様」だと思う気持ちが大切だと思います。農村から人が減ることは大きな問題で、農家と行政職員が手を携えながら解決すべき問題だと思っています。農村はインフラ、それを守るのが農業、支えるのが行政です。今はダメでもあきらめない。たとえば、50年前はトラクターやコンバインはありませんでした。20年前はインターネットもありません。10年前はスマートフォンもありませんでした。やってみなければ何も始まりません。成功の秘訣はただ一つ、失敗してもあきらめずに続けることです。

 

時には心のデトックス

高学歴、帰国子女、東京から来た嫁というファクターにより、ASO世界農業遺産登録時は、副知事と一緒に外国に行ったり、プレゼンをしたりする機会が多くありました。農業を始めて7年目にメディアに出る機会が増えたのですが、出たからといって売り上げが増えるわけでもなく、やっかみや同情で胸がつぶれそうな時もありました。

今年は、勉強もかねてフィンランドに家族で滞在しました。普段の喧騒から離れ、子どもたちと湖に入ったり、おいしい食事をとったり、じっくりと時間をかけて触れ合うことで、子どもたちも生き生きし、私も本来のパワーを取り戻しました。

 

農業は「なりわい」

農業をなりわいとしてでなく、自給自足的な暮らしに憧れている人もいますが、最近は実力があってどこでも暮らせる人が農業に積極的に取り組むようになってきました。これからは若い人、女性をどう活かすかが鍵です。フラワーバスケットづくりや料理教室を開催しプランナーを送り込む、あるいは元からある会合に混ぜてもらうなど、時として裏技も必要です。

 

あとがき

人は、だれでもよりよく生きたいと思っています。そして、誰かの役に立ち自分の存在意義を認めたいとも思います。今の社会は、労働を主に経済の中でしか捉えていません。「働きかけることによって学ぶ」という労働の本質、労働の教育的側面は排除され、人材を育てずパーツ労働力としてのみ扱うことで、労働をとおした社会の継承が危機に陥っています。しかし農村では、仕事場であり暮らしの場でもある地域で生きていくために、地域を守る仕事があります。生産と生活が分離せず、仕事と暮らしが一体となっている農山村には、山や川、水田や畑など労働をとおして形成された個性的な技術や技能があります。それらに気づき、守り、つなげる人こそが農村で生活する者と恩恵を受ける人々ではないでしょうか。

9:36 2014/05/11

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2014年5月10日 (土)

集団的自衛権「長島指針」4野党48人が賛同 公明に「見えざる圧力」[公明党]

いんよう

集団的自衛権「長島指針」4野党48人が賛同 公明に「見えざる圧力」[公明党]

政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告書と「政府の基本的考え方」が来週提示されるのを受け、自民党は公明党との合意を急ぐ。一方、民主党の長島昭久元防衛副大臣を会長とする有志野党議員による勉強会「外交・安全保障政策研究会」が発表した集団的自衛権の行使を容認する指針は、与党協議や野党再編の行方に大きく影を落としそうだ。

解釈変更へ、神経質になる自民「公明党の太田昭宏国土交通相が花押を記さなければ、(集団的自衛権の行使容認に関する)閣議決定はできない」

自民党の石破茂幹事長は9日の記者会見で、行使容認に向けた憲法解釈変更を閣議決定するには、公明党の了承が不可欠だとの認識を重ねて強調した。自民党が解釈変更に向けて最も神経質になっているのが公明党との協議だ。

 

公明党は、集団的自衛権行使を容認することよりも「個別的自衛権や警察権の拡大」(山口那津男代表)に力点を置く。安倍晋三首相は、秋の臨時国会で行使容認に関連する法案の提出を目指すが、公明党に配慮し、石破氏らには丁寧な与党協議を指示した。

9日は、自民党の佐藤勉国対委員長が民主党の松原仁国対委員長との会談で、28日に集団的自衛権などをテーマにした衆院予算委員会の集中審議を開くことを提案した。当初の想定は19日だったが「報告書の提出後、質疑に臨むには一定の時間が必要だ」という公明党に配慮したのだ。

「公明にも野党にも使える便利な道具」

 

一方、長島氏らがまとめた行使容認の指針について、自民党内には「公明党対策にも全体の野党対策にも使える便利な道具」(閣僚経験者)との見方が出ている。指針に賛同した野党議員は48人に上り、公明党所属議員数(51人)に匹敵する。

自民党執行部は「指針は政党を代表した意見でない」(幹部)として、あくまで公明党との合意を目指す方針に変わりはない。とはいえ、「連立離脱は到底考えられない」(山口氏)と言い切る公明党からみれば、「48人」という野党有志の数は見えざる圧力になりそうだ。(豊田真由美、沢田大典)

20:12 2014/05/10

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マガ9対談:川口創さん×半田滋さん「検証:9条を骨抜きにするいくつかの方法について」その1:集団的自衛権行使に向けて踏み出した安倍政権

いんよう


日本は戦争をするのか――集団的自衛権と自衛隊 (岩波新書) [新書] 半田 滋

http://amamioosoma.synapse-blog.jp/yosiharu/2014/06/post-7fb4.html

2015.2.26.


マガジン9・憲法と社会問題を考えるオピニオンウェブマガジン。

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2013-02-13up

マガ9対談:川口創さん×半田滋さん「検証:9条を骨抜きにするいくつかの方法について」その1:集団的自衛権行使に向けて踏み出した安倍政権

解釈改憲が重ねられ、9条を骨抜きにする法律の制定を国会の多数派が目指す…。憲法改正は主権者である国民が「国民投票」で決める、そう信じてこれまで来ましたが、それさえも危うい状況になってきました。

 「9条」は政治問題だから、そこには与したくないという声も巷にはあるようですが、憲法をどうするかは私たちの問題。ましてや日本国憲法の理念の根幹である「平和主義」に関わる大テーマです。これを敬遠するのではなく、当たり前にみんなが話し、自分の意見を持ち、言い合える社会を目指したいと思います。ということで今回のマガ9対談は、イラク派兵差止訴訟の川口創弁護士と、防衛省と自衛隊の活動に詳しい東京新聞論説委員の半田滋さんに、憲法9条と安全保障をとりまく現状について、お話しいただきました。

 

川口 創(かわぐち・はじめ)1972年埼玉県生まれ。2004年2月にイラク派兵差止訴訟を提訴。2008年4月17日に、名古屋高裁において、「航空自衛隊のイラクでの活動は憲法9条1項に違反」との画期的違憲判決を得る。2006年1月『季刊刑事弁護』誌上において、第3回刑事弁護最優秀新人賞受賞。現在は「一人一票実現訴訟」にも積極的に参加。公式HP、ツイッターでも日々発信中。 著書に『「自衛隊のイラク派兵差止訴訟」判決文を読む』(大塚英志との共著・角川グループパブリッシング)がある。マガジン9では、<川口創弁護士の「憲法はこう使え!」>を連載中。

 

半田 滋(はんだ・しげる)1955年栃木県生まれ。東京新聞論説委員兼編集委員。1993年、防衛庁防衛研究所特別課程修了。1992年より防衛庁(省)取材を担当。米国、ロシア、韓国、カンボジア、イラクなど自衛隊の活動にまつわる海外取材の経験も豊富。2007年、東京新聞・中日新聞連載の「新防人考」で第13回平和・協同ジャーナリスト基金賞(大賞)を受賞。著書に『自衛隊VS.北朝鮮』(新潮新書)、『闘えない軍隊~ 肥大化する自衛隊の苦悶』(講談社+α新書)、『「戦地派遣」 変わる自衛隊』(岩波新書)=2009年度日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞受賞、『ドキュメント 防衛融解 指針なき日本の安全保障』(旬報社)などがある。

 

 

 

●解釈改憲を進めてから明文改憲へと進む

 

 

編集部  新聞などでも既に報道されていますが、5年半ぶりに集団的自衛権行使を巡る論議が再開されました。この議論は第一次安倍内閣の時に、安倍首相の私的諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元駐米大使、以下安保法制懇)が、自衛隊の活動をめぐる4つの類型について「研究をする」というものでしたが、安倍首相の突然の退陣により報告書は宙に浮き、次の福田首相は行使容認に消極的だったので、議論もストップしていたというこれまでの経緯があります。安倍首相は、選挙後早々に「再び(集団的自衛権については)検討を始めたい」と語っていたので、予定されていたことではありますが…。

 

川口  まず、現状から確認していきたいと思います。自民党の大きな狙いは9条の明文改憲ですが、これはハードルが高いので、同時に解釈改憲もねらっていくということは、安倍晋三首相も「国家安全保障基本法」の制定を「悲願」とする石破茂幹事長も一致しているところだと思います。

  2月の末に安倍首相が訪米をし、オバマ大統領と会談することが決まっていますが、その時の手みやげに集団的自衛権について、これまでの日本政府の解釈(注1)を変えるということを言うのではないか、と言われていました。そのために、前の安倍政権の時につくっていた懇談会を復活させて「4つの類型」についての検討会を始動させたのです。さらに「国家安全保障基本法」の概要についても、昨年の7月自民党の総務会で決定されていますから、これの法制化についても本気で取り組むことが予想されます。

 

注1: 1981年の政府答弁「わが国が主権国家である以上、集団的自衛権を有しているが、憲法9条で許容される必要最小限の範囲を超え、行使は許されない」があり、「憲法改正を経なければ集団的自衛権の行使は行えないはずだ」とするのが現在の政府見解である。

 

 

半田  本丸の目的が最終的には憲法改正であることは間違いないと思うのですが、そのための道のりを考えていくと、実行可能なところからやって行きましょう、そしてそれが改憲の近道でもあるという考え方があるように思います。集団的自衛権の行使が、解釈改憲や国家安全保障基本法の制定によって、認められてしまうと、憲法9条の意味がまったくなくなる。ゆえに明文改憲がやりやすくなる、という関係にはあるでしょう。

与党は、改憲のための国民投票を行う発議に必要な国会議員の2/3という勢力について、衆議院ではすでに数を満たしていますが、参議院ではそこに至らないので、この夏の参議院選挙まで本音を隠しておいて、比較的国民が関心を持ちそうな財政再建の方に全力投球と見せかけて、実際のところは、着々と準備を整えていこうというところではないでしょうか。

安倍さんの本音を言うと、集団的自衛権の行使と憲法改正については、この4年間の間にできたらいいと考えていると思うので、今年の上半期には出てこなくても、後半以降は必ず顔を出してくるテーマだと思います。

 

 

川口  7月の参議院選挙後で自民党が勝てば、必ず出してくるでしょうね。集団的自衛権の4類型の解釈をどのタイミングで国民の前に出してくるか、ということもありますが、一方で国家安全保障基本法の成立を議員立法で目指すという動きもありますからね。

 

 

半田  あの法律が通ると、憲法解釈を政府が変更するという手続きもいらなくなりますからね。集団的自衛権の行使だけでなく、国民の義務や秘密保全法、海外での武力行使についても、全部入っている。

 

●「国家安全保障基本法」が通れば、

9条は意味をなさなくなる

  編集部  の法案の問題点について詳しく説明いただけますか?

  

川口  「国家安全保障基本法案」の概要は、自民党のホームページにもpdfがアップされていますが、まだあまり皆さんに知られていないようですね。書かれているものを読むと、法律家の私から見ても、「プロ」が関わっているなという気がします。衆議院法制局あたりがすでに手を入れているのではないかなと思います。私がいくつか気になったポイントをあげておきましょう。

 

 

第4条(国民の責務)  国民は、国の安全保障施策に協力し、我が国の安全保障の確保に関与し、もって平和で安定した国際社会の実現に努めるものとする。

ここでは、国の安全保障施策に対する国民の協力義務がでてきます。国民が国防に協力すべき義務を定めると同時に、これに反対するような反戦平和運動などが弾圧される根拠になり得ます。

第8条(自衛隊)

  外部からの軍事的手段による直接または間接の侵害その他の脅威に対し我が国を防衛するため、陸上・海上・航空自衛隊を保有する。

ここでは自衛隊の役割を明確に定めていますが、この役割の範囲を、「間接の侵害その他の脅威」と無限定に広げています。地理的活動範囲は無限定と解釈できます。

2 自衛隊は、国際の法規および確立された国際慣例に則り、厳格な文民統制の下に行動する。

さらに2項では、憲法9条2項後段が禁止する交戦権も、この規定で行使可能にしようとしています。憲法9条は交戦権を否定していますが、ここではそれを突破することになります。

  第10条(国際連合憲章に定められた自衛権の行使)

  第2条第2項第4号の基本方針に基づき、我が国が自衛権を行使する場合には、以下の事項を遵守しなければならない。

  一 我が国、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力行使が発生した事態であること。

  二 自衛権行使に当たって採った措置を、直ちに国際連合安全保障理事会に報告すること。

  三 この措置は、国際連合安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置が講じられたときに終了すること。

 この一号は、正面から集団的自衛権を認める規定です。その他、要件をいろいろ書いていますが、国連憲章上の規定を引用しているだけで、歯止めには全くなりません。

第11条(国際連合憲章上定められた安全保障措置等への参加)   我が国が国際連合憲章上定められ、又は国際連合安全保障理事会で決議された等の、各種の安全保障措置等に参加する場合には、以下の条項に留意しなければならない。

  一 当該安全保障措置等の目的が我が国の防衛、外交、経済その他の諸政策と合致すること。

 二 予め当該安全保障措置等の実施主体との十分な調整、派遣する国及び地域の情勢についての十分な情報収集等を行い、我が国が実施する措置の目的・任務を、明確にすること。

 

(追記)

本条の下位法として国際平和協力法案(いわゆる一般法)を予定。

またこの下位法として用意されている国際平和協力法案は、海外での治安維持活動に参加することを前提にしたかなり踏み込んだものになっています。安保理決議があった場合は、日本も当然参加する、ということでしょう。

 

 

第12条(武器の輸出等)

  国は、我が国及び国際社会の平和と安全を確保するとの観点から、防衛に資する産業基盤の保持及び育成につき配慮する。

 

 ここでは武器の輸出入について書かれていて、なんとなく縛りをかけているような法律の文章になっていますが、そうではありません。原則と例外が逆転していて、縛りをかけているように見せつつ、実際には憲法によって縛りをかけていたものを原則全部OKにしています。他の条文も全部そうですね。申し訳程度に、少しだけ歯止めをかけているという感じです。

 

●日本国憲法の根幹を変えてしまう、

法律を議員立法で提出するという「禁じ手」

 

川口  ですからこの法案は、内閣法制局に出した場合は、絶対に通りません。憲法に完全に違反していますし、これまでの政府見解とも異なりますから。しかし今回はこれを、議員立法で出そうとしている。ということは、内閣法制局を通さなくていいんですね。

編集部  どういうことでしょうか?

川口  法案の通し方は二通りあります。政府が法律を提案する場合、いわゆる「閣法」は、内閣法制局において法体系の頂点である憲法に違反していないか、これまでの政府解釈に違反していないかをチェックします。矛盾が生じると法治国家として成り立たなくなりますからね。内閣法制局が「行政府における法の番人」と呼ばれている所以です。

  それに対して、国会も立法機関ですから、議員が法律を提案することはできます。そこで議員立法を支えるために衆議院には衆議院法制局が、参議院には参議院法制局があります。

  内閣法制局というのは、明治18年の内閣制度が創設された年に、内閣総理大臣の管理下に置かれた歴史のある法制機関でして、要は国家の根幹なんです。当時は大日本帝国憲法ですが、法治国家である以上は、憲法の解釈がずれてはいけない、という大前提のもと、当時から憲法審査権もあるし解釈権も持っている。一方、衆議院と参議院の法制局は、あくまでも議員の立法のお手伝いという立場なので、「これは違憲だろう」と思っても「この法律は憲法違反になるからおかしい」と提案者に突っぱねる、という権限も持っていません。ですから、基本的には提案した議員の言われたとおりにやるんです。わかりやすく言うと、同じ法律問題について、自民党から依頼があっても、共産党から依頼があっても、それぞれに対して衆議院法制局は依頼に応じて異なる法律案を作ってあげる、ということがありうるわけです。

編集部  なるほど。

川口  議員立法の場合、国会が立法機関ということで、国民の声をなるべく法案提出に反映させよう、という意図から、衆議院法制局が立法の手伝いをして法案にまとめ、議員立法という形で国会に発議されていきます。しかし、議員立法の場合には、閣法と違って、各省庁のすりあわせなどをしているわけでも、憲法上の審査をしているわけでもありません。結局国会の審議の過程で法律として成立しない確率が高いんです。

  しかし、単純に数の力を借りてやれば、通すことは可能なんです。これは「禁じ手」といえばそうです。今までの憲法解釈を変えてしまうような重大な法律が多数という数によって成立することになりますからね。

  これは、法治国家、立憲主義の柱として積み重ねてきた内閣法制局のあり方自体を否定するものだと思います。「国家安全保障基本法」の制定に向けて、自民党はこういう乱暴なことをやろうとしているわけなんですね。

 

 ですから自民党の中でも、中谷元さんらは、反対しています。中谷さんは、憲法改正推進本部起草委員会の委員長を務めていますが、彼のように、憲法改正を本気でやりたい人は、正面からやるべきだと主張しています。やるなら明文改憲でやれと。こういうのは姑息なやり方だと。しかしいずれにしても、自民党の機関決定を終えているので、自民党としては、この制定に向けて党としても取り組むということを決めたということです。

半田  自民党総務会の議論においても、結構紛糾しているんですね。ここに書かれてあることは憲法を変えないとできないんじゃないか、という声は自民党内部にもかなりあったようです。最後、高村正彦さんによって、「これは一つの政治決断だ。政治として憲法の解釈を変えていく」といった主旨の発言があったようです。この後の段取りとしては、衆議院法制局と自民党政務調査会(政調)が「概要」から細かな法案に落としていくという作業に入っていくんでしょう。

川口  でもこの「概要」はすでに法案として完成している。よく練った上で作ったなという感じがします。

編集部  昨年末の衆院選の時には、すでに決定していたわけですね。

半田  政治状況でみると、民主党政権が国民の支持を失って、いずれ自民党にもどるだろうな、というタイミングで総務会の決定をしているんですね。かつては与党としての矜持もあったわけですが、宮沢喜一さん、野中広務さんらハト派が消え自民党も変わってきたな、という中でこういうものを議員立法で出してくる、ということになったんだと思います。

 

 

編集部  しかしこれが法律として通ったら憲法9条の歯止めなんて何の役にも立たなかった、ということになりますよね。自民党もかつては、やろうと思ったらできたけれど、それはやらなかったということですか。

 

 

半田  この法案を最初に言い出した人をみると、新日米同盟プロジェクトという日米同盟推進の研究者たちの集まりの会合があり、その中で大阪大学の坂元一哉教授がこのやり方を提案したんです。2001年頃の議論です。この新日米同盟プロジェクトのメンバーと、安保法制懇のメンバーがほとんど重なっているのですから、出てくる結果についても同じ方向性のものになる、と言わざるを得ないでしょう。

 

●集団的自衛権の4類型の議論とは何なのか?

 

 

川口  この法案と集団的自衛権行使を巡る4類型の議論とは、ワンセットで考えて行かないといけない、と思っています。国家安全保障基本法10条でも集団的自衛権の行使が可能になるわけですが、そもそも集団的自衛権を認める必要がある、というロジックで使われてきたのが、この4類型の検討なんですね。集団的自衛権を行使できるようにする狙いは、アメリカの要求に答えて、自衛隊をアメリカの海外展開のために使う、ということだと思いますが、しかし日本国内で世論を説得するためには、こうしたロジックが必要なわけですね。

 

 

編集部  第一次安倍政権の時よりも、より厳しさをました安全保障をめぐる環境が、第二次安倍政権の安倍首相の背中を押している、と評した新聞もありました。実際、「テロもあるが、国家による脅威も厳しさを増している。そういう問題を含め、4類型のほかにも脅威の現れ方はあるはずなので検討する」(柳井座長)と、検討の対象を広げる方針であることが伝えられています。

川口  広げていくでしょうね。しかしまずはこの4類型はしっかり押さえておく必要があります。

 

編集部  先般出された安保法制懇の報告書によると、

   公海上での米艦艇への攻撃への応戦

   米国に向かう弾道ミサイルの迎撃

   国際平和活動をともにする他国部隊への「駆けつけ警護」

   国際平和活動に参加する他国への後方支援

 

 これらをすべて可能にするように提言し、1)と2)は、集団的自衛権の行使を認める必要がある、としていますね。

 

 

半田  メディアの側もこれらを行わなかったら、日米同盟は破綻するぞ、とまるでおどしのように、書き立てていますね。

 

 

編集部  安倍首相が「自衛隊艦とともに航行している米軍艦が攻撃されているのに助けなかったら、日米同盟は終わる」と述べた言葉が、もっともらしく広まっています。

 

 

半田  しかし僕ら自衛隊をずっと取材してきたものからみると、これらの議論や設定は非常に陳腐であり噴飯ものだと感じています。大きく言えば、これらの議論というのは、アメリカという国を本気で攻撃する国があることが前提でないといけないわけですよ。例えばアメリカ本土を狙ったミサイルというのは、どこかの国が撃つわけでしょう? テロリストが小舟の上から撃つなんていうことはありえないわけだから。アメリカに対して戦争をふっかけるために、移動中のアメリカの軍艦に対して攻撃できる道具としては、対艦ミサイルか魚雷での攻撃しかない。しかし、ミサイルや魚雷を持っているテロリストはいるんでしょうか? そう考えると、やはりこれは国対国の正規戦を想定しているんでしょう。

 

 アメリカの軍事力というのは、世界中の国が全部集まって連合軍を作っても絶対に正規戦じゃ勝てないほど強大なものです。空母も11隻持っていますが、あの1隻に搭載されている戦闘機の量は、一国の空軍をはるかに凌ぐぐらいのものです。それ以外にも潜水艦が7080隻。日本では6隻しかないイージス艦も70隻持っています。また陸軍においては、戦後日本は一度も戦争をやってきていませんが、その間、戦闘地に出かけていってずっと戦争を続けてきたベテランの兵士を含む、50万以上の陸軍兵がいます。そして海兵隊は17万人います。こんな国に対してどこの国が戦争をしかけますか? というのをまず問いたいですね。

 

●現実離れしている「シチュエーション」を議論する意図は?

半田  もっと専門的に分析していくと、艦艇を攻撃できるのは、対艦ミサイルと魚雷しかない。ミサイルに対する防御というのは、船の方もミサイルで迎撃するんですね、遠いところから。で、近くまできたら大砲でも対空火砲といって、弾幕を張ってそこで落とすと。一応自衛隊の船も武器は載せています。つまり自分の船を自分で守れるように作っているんです。軍艦というのはそういうものなのです。ところが、ここで言っているのは、並走する船を守るというわけですが、そもそも並走する船というのはまずないわけです。

  軍艦にとっては、潜水艦からの攻撃が一番怖いので、オペレーションをする時も、潜水艦の音が自分のスクリュー音とか、並走する艦艇の音に混じって聞き取れないと致命傷になりますから、船同士はものすごく離れています。以前、リムパック(環太平洋合同演習:アメリカ海軍主催による軍事演習。自衛隊は1980年から参加)の取材に行き自衛隊の護衛艦に同乗しましたが、どこにアメリカの船がいるかわからないくらい離れていました。ですから「並走する」という状況がまずありません。

 

 

川口  並走しちゃいかんのですね。

 

 

半田  そんな馬鹿なことをする船はありません。おそらくこの設問を考えている人は、日本海海戦(1905年、日露戦争中に行われた日本海軍の連合艦隊とロシア海軍の太平洋艦隊との海戦)をイメージしているんじゃないかなと思います。ロシアのバルチック艦隊と大日本帝国海軍の連合艦隊が日本海でまみえると。あのときに丁字戦法といって、一列になって向かってくるバルチック艦隊に対してあえて進路を塞ぐ形の丁の字になって戦ったそうですから、その時は確かに並走もしただろうなと思いますが、それは明治時代の話(笑)。

  現代の水上艦では並走はしません。

  それと仮に現代戦において、自衛隊の艦隊が遠く離れているアメリカの艦艇がやられると気がついたとして、自衛隊の護衛艦は、自分に向かっていないレーダー波を探知して横から撃つことはできないんです。つまり集団的自衛権を行使して守ってあげたいと言ったところで、守るための能力を現在の自衛隊の船は保有していません。

 

 では、魚雷についてはどうなのかというと、今の魚雷というのは様々な種類がありますが、一度狙われたら逃げられない。百発百中なんです。よく潜水艦が登場する戦争映画などで、艦長が潜望鏡を見て撃つでしょ。すると魚雷はまっすぐ進んでいきますが、現在の魚雷はそういう撃ち方はせずに、わざと曲げて撃つんです。そうしないと潜水艦が攻撃される可能性がありますし、ものすごく複雑になっている。つまり狙われてしまったら助かりようがないというのが魚雷による攻撃です。

 

川口  今の軍事技術は『沈黙の艦隊』レベルの知識では追いつかないですね。

半田  素人がイメージするような世界とは、かけ離れています。だからこのような状況を想定して懇談会で議論するということ事態がもうおかしいのです。

 

編集部  洋上補給しているときはどうなんでしょうか? その時にどこからか攻撃されたらどうするのか? という設問もありそうですね。

 

 

半田  洋上補給しているときは相手の艦艇との距離が50メートルくらいしか離れていないわけです。これは、私はインド洋の洋上補給を何回も現場にいって取材しているからわかることですが、日本の補給艦のところに、補給を受けたいアメリカやパキスタンの艦艇が来ますよね。で横に並ぶわけですが、必ずその後ろに自衛隊の護衛艦がつきます。そこでは、ミサイルが飛んでくる、航空機が飛んでくる、潜水艦がくるかもしれない、というのを警戒しながらいるわけですが、結局ここでは、50メートルしか離れていないわけですから、個別的自衛権で対処する以外にはないわけです。これは国会でも答弁されています。

  しかし、アメリカの艦艇と日本の船が並走している時にアメリカの船が攻撃されたら、というのはあまりにも考えられない状況です。たまにアメリカの空母が真ん中にあって、日本の艦艇がその周りにいるという場面の映像を見ることがあるかもしれませんが、あれはフォト・エクササイズと言って、写真を撮るために艦艇が集まってきているだけであって、実際のオペレーションというのは、肉眼でやっとみえるくらい、どこにいるかわからないくらいお互いに離れているんですよ。

 

●弾道ミサイルを迎撃できるという幻想

 

 

編集部  なるほど。ミサイルの場合はどうなんでしょうか? 「アメリカに向かう弾道ミサイルを迎撃して撃ち落とさないと日米同盟を揺るがす」という報告が安保法制懇から出されていましたが。想定するのは、今の場合だと北朝鮮からのミサイルということになりますが…。

 

 

半田  北朝鮮によって「テポドン2」が撃たれたと仮定して、あれを迎撃できるミサイルというのは現状では存在していないんですよ。先日も北朝鮮が発射するというのでイージス艦が日米で出ましたが、実際にやったことは、観測しただけなんです。なぜ迎撃できないかと言えば、「テポドン2」は、迎撃ミサイルよりはるかに高い高度を飛んでいきましたから、イージス艦が今持っている迎撃ミサイルのSM3ブロック1では、とても追撃できない。みんな迎撃ミサイルというと、まさに「ポンチ絵」なんだけれど、敵のミサイルがやってきたときに待ち構えていて、撃ち落としていると思っている。でも実際は追尾して撃っているんですよ。追い撃ちなんです。だから弾道ミサイルを追い越していくだけの速度が迎撃ミサイルにないと、当たらない。しかしそれが、長い距離を飛ぶテポドン2のような場合は、音速の10倍を越えるはるかに速い速度で飛んでいっちゃうもんだから、とてもじゃないけど今持っている日米のSM3ブロック1では撃てない。もうあっという間に追い越されちゃう。追いつく間もなく行っちゃう。でこれを撃てるようになるのが、日米で共同開発しているSM3ブロック2Aなんでけど、これは10年以上研究・開発しているけど、まだ完成していないんです。

  それにアメリカは迎撃ミサイルを搭載できるイージス艦を26隻持っていますが、それに対して日本は4隻しかない。アメリカに向かっていくミサイルを迎撃するのに日本の4隻ではなくて、アメリカの26隻でやっていただいたほうが確実じゃないですかと、言いたいですね。

 

 

編集部  こう見ていくと、そもそもアメリカのような国を攻撃する国はないだろうし、万が一アメリカが攻撃されたとして、その時に日本ができることはないですね。

 

 

半田  それにアメリカだけが攻撃されて日本だけが無傷だと懇談会のみなさん、思っているんですか? とも問いたいですね。つまりアメリカが攻撃されるということは、在日米軍基地があってアメリカ軍兵士が5万人いる日本が無傷ということはないでしょう。日米同盟ってそのためのものじゃないの。そう考えていくと、日本も防衛しなきゃいけないと。すると、日本にあるイージス艦は、日本を守るためにしか使えませんよ、という状況になることは当然出てくるでしょう。

 

 ミサイルの飛行ルートにしても、例えば北朝鮮から日本を狙って撃ったものは、日本海を横断してきますが、アメリカ本土を狙ったものは、樺太より北に撃たれる。場合に寄ってはウラジオストクよりも西寄りのコースを選ぶでしょう。そう考えていくと、イージス艦の配置からしてまるで、みなさんが想定しているような状況とは違ってくるわけです。

 

 あと付け加えると、みんな勘違いしていると思うんですけれど、去年2回人工衛星の発射と称して北朝鮮がミサイルを撃ち上げたと日本政府が言っていたとき、アメリカは弾道ミサイルを追跡するイージス艦や弾道ミサイル観測艦を何隻か出したんだけど、あれは別に日本を防衛するためにやったわけではないですからね。あれは、北朝鮮にアメリカに届くような長距離ミサイルを持つ技術があるかどうかを確認に来ていたわけですから。日本のイージス艦は日本を守るためにいたかもしれなけれど、アメリカのイージス艦はそうじゃない。

 

編集部  あの打ち上げは、北朝鮮としては成功したんですか?

 

半田  成功ですね。人工衛星として電波を出すなどの動きは確認されていないけれど軌道に乗ったことは間違いなくて、韓国が2回連続して失敗したのに比べると、北朝鮮のほうが人工衛星技術は進んだと言えます。韓国は今年になって成功しましたが。

 

 

川口  確かに、北朝鮮の動向は、慎重に見ていく必要はありますが、北朝鮮が行っているのは瀬戸際外交で、核実験+弾道ミサイル技術をちらつかせながら、アメリカや六カ国協議相手にずっとやってきているわけだから、本気でアメリカ本土を攻撃しようと狙ってやっているわけではありません。核実験は問題ですが、日本が過敏に反応しすぎるのはかどうか、と思いますね。

 

 

半田  アメリカ本土に向かって一発撃てるかもしれないけれど、もし北朝鮮がそんなことをしたら、最終的にはアメリカと国際社会からコテンパンにやられちゃって、国がなくなっちゃいますよね。そんな無謀なことを、為政者がやるはずがない。

 

●ありえない状況の設問をつくり、

 世論のミスリードをさそっている

 

 

編集部  そもそもこの4類型を議論することの目的は、国内において、集団的自衛権行使は、やはりできるようにしないといけない、という世論を作ることにあるわけですね。建前は、日米同盟や安全保障、国際社会における平和協力といった現実的な問題として考えようということになっているようですが、こうやって、専門的に見ていくと、まったく現実離れしているし、机上の空論だということがわかります。

 

 

半田  この4類型というのは、安倍さんが考えたわけではなく、前から集団的自衛権が行使できるようにした方がいいとか、海外における武力行使ができるようにした方がいいと思っている人がいて、その「専門家」たちが、わかりやすい「たとえ話」を考えて、4類型ということで出してきたんです。

  集団的自衛権の行使を考える場合として、もうひとつ設問を増やすとしたら、例えばアメリカが海外で戦争をはじめた時に、日米同盟を組んでいる日本は、アメリカを必ず支援しなければいけないのでしょうか? ということを入れるべきだと思います。例えば、アメリカはイラク戦争、アフガン戦争を行いましたが、イギリスは集団的自衛権の行使という形でこの2つの戦争に参戦しました。しかし、あのイラク戦争が正しかったと思っている人はそう多くはないでしょう。イラクが大量破壊兵器を隠し持っている、だから先制的な自衛権を行使しないと、アメリカが9・11の二の舞になるからという理屈でアメリカはイラクに戦争をしかけましたが、実はそれは嘘だったわけですね。アメリカも間違えるわけです。

 

 

編集部  そういう間違った戦争をアメリカがしている時、集団的自衛権というのをどう考えるのか? ということですね。そもそも戦争に正しいも間違いもない気がしますが。

 

 

川口  この4類型は、バーチャルに日本人が想像しやすい、しかも誤解しやすいものをよく選んだなと思います。実際に議論をしている専門家の人たちは、そこそこに軍事についても安全保障についても知識を持っているはずですから、内心はこんなことはありえないと分かっていて、出しているように感じます。

 

 

編集部  一番と二番は現実的にありえないと。すると、三番と四番の「国際平和活動」に関してはどうなんでしょうか?

 

 

半田  一番と二番は世論のミスリードを誘うという意味で悪質ですが、三番と四番については、ちょっと力技で持ってきたという印象ですね。

 

 

川口  これについては、憲法9条とイラク訴訟から考えていくことができるでしょう。

 

(構成/塚田壽子 写真/マガジン9) その2へつづきます

 2月12日に北朝鮮が3度目の核実験を行ったとのニュースが駆け巡り、メディアは早速「安全保障と改憲」をテーマに取り上げ始めました。この議論、原発問題と同様に市民不在のまま進んでいくことに、強い危惧を持っています。安全保障は国家におけるハイレベルの問題かもしれませんが、憲法をどうするかは、主権者自らが情報を集め、判断をするべき事柄です。

 川口さんと半田さんを講師に迎え、さらに踏み込んだ議論を、3月2日(土)のマガ9学校で予定しています。テーマは、〈日本は「平和国家」の看板を下ろすのか?〉詳細と参加申し込みはこちら

18:49 2014/05/10

 

 

 

 

集団的自衛権のトリックと安倍改憲  半田 滋 (著)

 

内容紹介

現実にはあり得ない場面を設定して、さぁどうする、と迫り、危機感を煽りたてる――。

そのトリックを、ベテラン軍事ジャーナリストが徹底暴露、そのたくらみが国民を誘導する道すじを明らかにする。

「憲法改正して『国防軍』をつくる」「集団的自衛権行使を容認する」と主張する安倍晋三首相に対し、防衛省・自衛隊、在日米軍を22年間取材してきた著者が、「集団的自衛権のトリック」をあばき、改憲の狙いを探り、自衛隊が「国防軍」に変わって起こる未来を検証する。

 

安倍首相はなぜ、戦後の日本を否定するのでしょう。「ありもしないこと」「あってもどうにもならないこと」をもって、憲法を変えたり、憲法解釈を変えることが不可欠と主張します。戦前のような日本を取り戻し、世界から孤立すれは満足なのでしょうか。国際社会は1928年、パリ不戦条約を締結し、戦争を「違法」としました。

 第二次世界大戦後に誕生した国際連合は、戦争違法化の精神を引き継ぎ、平和の破壊と侵略戦争は禁止しています。

さあ、安倍首相は今こそ本心を語るときだと思います。語らないのなら、私たちは国政選挙を通じて、その意思を示すしかありません。国会議員選挙、あるいは将来にあり得る改憲のための国民投票の際の参考にしてほしいと思い、本書を緊急に刊行します。

 

単行本(ソフトカバー): 144ページ出版社: 高文研 (2013/7/17)

言語: 日本語発売日: 2013/7/17

 

目次

はじめに

I章 あり得ない問題設定

II章 海外の武力行使求める報告書

III章 「国家安全保障基本法」の罠

IV章 「防衛計画の大綱」へ自民党が提言

V章 自衛隊の「国防軍」化からみえるもの

 あとがき

集団的自衛権の容認は「国のかたち」を変える策動の入り口です, 2013/10/14

 

 

 

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レビュー対象商品: 集団的自衛権のトリックと安倍改憲 (単行本(ソフトカバー))

安倍政権は,集団的自衛権行使を容認する理由として,洋上を併走するアメリカ艦艇を自衛艦が護り,アメリカ本土を狙うミサイルがあれば,それをを迎撃ミサイルで撃ち落とす場面を想定しています.しかし,このような局面は現実に想定できない,と著者は理詰めで語っています.書名が示すようにトリックだと,---.トリックを使って集団的自衛権行使を国民に納得させ,引いてはアメリカに迎合したい思惑があります.要するにアメリカへのおもねりです.戦争のときはアメリカ軍のお供をして地球の裏側へでも自衛隊を出張させますよ,と安倍政権はアメリカに忠誠を示したいのでしょう.その一方で自民党は「国家安全保障基本法案」なるものを案出しています.この基本法は改憲への道筋だと著者はみなしますので,本書末尾に掲載されている法案の概要が読んでみました.怖いことが書かれています.箇条書きして紹介します.

 

1. 第4条(国民の責務):国民は,国家の安全保障施策に協力し,我が国の安全保障の確保に寄与し,もって平和で安定した国際社会の実現に努めるものとする,とあります.もし法案が議会で可決されれば,案は法となり,これに協力しない国民は裁かれる.今は,この法案反対と叫んでデモしても逮捕されませんが,本法下にストを打てば警察が駆けつけます.そのとき自由と民権は保証されない ---?しかし,法案の第1条には,自由と民主主義を基調とする我が国は云々とあり,第4条の記載は法の整合性を損ねています.少数意見を尊重するのが民主主義であり,それを排除するのは全体主義,別名国家主義です.自民党は,自由と民主主義の日本を国家主義に変えたいのだろうか.それなら第1条の,自由と民主主義を基調とする我が国云々の文言を削除し なければならない.

 

2. 第8条(自衛隊):この条文の3に,自衛隊は,必要に応じ公共の秩序の維持に当たるとともに---,とあります.これを読んで私は自分の目を疑いました.「自衛隊は必要に応じ公共の秩序の維持に当たる」となれば軍政ではないですか.「必要に応じ」は制限がないのと同じです.為政者が必要と思えばいつでも自衛隊を出動させて取り締まりに奔る.ある国の軍がクーデターを起こし,政権を倒したとき,その国は一時期にしろ軍政になる.日本は軍国を目指すのですか.軍国主義国家が「平和で安定した国際社会の実現に努める」ことは所詮出来ません.北朝鮮をみればわかります.軍国主義国家にしたいのなら第1条の,自由と民主主義を基調とする我が国云々の文言は単なる見せかけです.もっともらしく響かせるための虚言ないし詐術です.

 

現行憲法下にこんなトンデモ法案が国会で可決するとは思えません.しかし議員が法案をつくる議員立法では話が別です.この法案も議員立法の手続きが見込まれています(73頁).国家の成立は憲法改正と比べ,魔法のように簡単だと著者は言います.そうだとすれば憲法9条を維持しても意味がなくなり,著者の言うように「護憲勢力は意気消沈し,改憲へ向けた動きは加速」する.国家安全保障基本法の成立だけでも日本はグラッときますが,改憲となれば今までの日本国は解体します.日本を解体して新たな日本を作る.その国は国民の1%が利益の大半を得るアメリカのような国(*)だとしたら,為政者の欲しいのは新たな統治機構です.それこそが国民を支配する自民党憲法草案です.国民が憲法で国を縛るのではなく,国が国民を縛る憲法に変えたいと自民党は望みます.改憲しようとする政治家の心のうちを著者は次のように述べています.

 

「改憲しなければ,日本を守れない」.そう主張する政治家は,別の意図を隠していると疑ってみるべきだろう.自民党が指向する新自由主義路線は,安倍首相の再登板によって純化されようとしている.政府機能まで市場経済に委ねようとする新自由主義は,貧富の差を広げる弱肉強食の世界である.

 

成る程,新自由主義とはそういうものですか.アメリカは既に(株)アメリカになっていて,近隣の国は蚕食され,弱体化しました. (株)アメリカは今,TPPをを武器に日本を餌食にしようとしています.その日本がアメリカに倣って日本を(株)日本しようとしても,もう遅いのではないですか.(株)アメリカに(株)日本が食われる方が早いからです.どっちにしても安倍首相という人は,日本を破局に追い込む危険な人物だと.本書を読んでつくづく感じました.

 

集団的自衛権の容認は安倍政権の狙いですが,それはほんの入り口に過ぎません.その先に安全保障基本法の立法があり,ここまで来れば改憲は終わったのと同じ.かくして新たな日本が誕生するでしょう.国民のための国が,国のための国民になる.皆さん,それでも構いませんか.本書を読んで考えて下さい.

 

追記1:.2012年,英国営放送BBCは「世界によい影響を与えている国の調査」で日本は二度目の第一位に選ばれたと報じました(7頁).

追記2:2013 年4月26日のワシントンポスト電子版は「歴史を重視しない」安倍首相を批判する社説を掲載しました(23頁).

追記3:アメリカ議会調査局は2013年5月1日の報告書で安倍首相を「強固な国粋主義者」と表現しました(23頁).安倍首相が訪米時にオバマ大統領に冷遇された((19頁)わけです.

*(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

5つ星のうち 5.0  みなさんにお勧め文献, 2014/4/16

レビュー対象商品: 集団的自衛権のトリックと安倍改憲 (単行本(ソフトカバー))

 

とても良かった。集団的自衛権の最近の議論についてかなり鋭い視点で記述されており参考になった。今度、筆者をお招きして講演会を行います。

 

 

 

5つ星のうち 5.0  具体例豊富でよくわかる, 2014/1/19

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さすが新聞記者だけあって説明が観念的でなく具体的に集団的自衛権のまやかしがわかる。法律の説明だけでないところが参考になる

5つ星のうち 5.0  集団的自衛権のは憲法違反, 2013/10/27

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集団暦自衛権を安倍自民党議員は実行しようとしているが明らかに憲法違反である。征服組の自衛隊員はイラク派遣から帰国後NHKのニュ-スに5名が出演3尉以上の隊員だったが彼等全員自衛隊員の活動目的は「国民の生命と資産を守るために毎日訓練を積んでいる」回答していた安倍の言う国家のためとは一言も言っていない。小生の会社の同僚で防衛大学校を卒業後任官を拒否した者が小生と同じ部署にいましたが彼も同じことを言っていました。ようは国家のため目でなく国民を守るための存在であり安倍の個人的米軍の属国に協力する隊員など居ない。アベノ暴走で集団的自営権行使は安倍の政権安定化と長期政権維持のため米の属国であり続ける目的の手段であり、三年以内に憲法を改正して軍隊創設をねらっている。自衛隊員の意識とのズレが大きく危険である。

5つ星のうち 4.0  いま問題の解釈改憲の動き, 2013/11/26

レビュー対象商品: 集団的自衛権のトリックと安倍改憲 (単行本(ソフトカバー))

安倍内閣が、今までの内閣が違憲としてきた「集団的自衛権」を、どのような手口やごまかしで合憲としようとしているか、また、何が問題かを平明に述べてくれています。ただし、忙しく急いで書いたのか、半田さんにしてはちょっと浅いノリになっているかな!

17:54 2014/05/10

 

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沖縄の政治家に欠けているもの― 「普天間固定化」 の詭弁2013年12月5日 12:11 屋良 朝博(やら ともひろ)フリーランスライター

引用

沖縄の政治家に欠けているもの― 「普天間固定化」 の詭弁2013年12月5日 12:11 屋良 朝博(やら ともひろ)フリーランスライター

 

1962年北谷町生まれ。フリーランスライター。フィリピン大学を卒業後、沖縄タイムス社で基地問題担当、東京支社、論説委員、社会部長などを務め2012年6月退社。「砂上の同盟」で平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞。

「普天間が固定化する」。自民党本部が沖縄の自民政治家を落とした殺し文句だった。この言葉の主語、責任者は誰なのか。いつもそこがあいまいだ。

菅義偉官房長官らは自民沖縄県連をどう喝した。「県外移設はあり得ない。負担軽減と抑止力を考え、日米両国で決めた。このままでは、普天間が限りなく固定化する」

この聞き慣れた言説は正しいのか。沖縄基地の7割は海兵隊が占有し、普天間を含め問題の大元は海兵隊駐留に起因する。彼らは長崎県佐世保の米海軍艦船に乗ってアジア太平洋地域を巡回する。いわば消防車を長崎に置いて、消防隊員は沖縄-という配置であり、「抑止力」を考慮しても駐留は沖縄でなくてよい。

 

軍事論でない

森本敏前防衛大臣も昨年12月の離任会見で、「西日本のどこでも海兵隊は機能する」ことを認め、「県外」が困難なのは軍事論ではなく、国内政治の問題であることを暴露した。「本土は嫌だから沖縄が我慢しろ」と言うことだ。そんな「差別の構造」を隠すため、政府は「抑止力」「地政学」と詭弁(きべん)を弄(ろう)する。そもそも戦後岐阜、山梨両県に駐留した海兵隊は両県民の反基地運動に追われるように沖縄に移駐した。

 

国内政治の問題を「日米両国で決めた」という認識が滑稽だ。米軍に基地を提供するのは日本独自の判断によるもので、米国が場所を特定するのは越権行為だ。海兵隊基地の要件は地上、航空、補給の各部隊が“近接”することであり、それなら「西日本のどこでも」満たすことができる。

また、ヘリより早く遠くへ飛ぶオスプレイが配備されたいまなら、普天間の機能だけを九州に持っていくことも可能なはずだ。現に普天間のオスプレイが豪州へ移転する部隊を支援する運用も検討されている。

沖縄の自民議員は、「このままでは固定化する」「原点は危険性の除去だ」という言葉を公約破棄の免罪符にするつもりだ。西銘恒三郎衆院議員は九州を巡ったが受け入れ地はなく、県外移設は不可能だと思い知ったという。それは選挙前から自明のことではなかったのか。沖縄の政治は、不条理な基地押しつけとの格闘だったはずだ。

屋良 朝博(やら ともひろ)フリーランスライター

1962年北谷町生まれ。フリーランスライター。フィリピン大学を卒業後、沖縄タイムス社で基地問題担当、東京支社、論説委員、社会部長などを務め2012年6月退社。「砂上の同盟」で平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞。

そして彼らの言葉にも主語がない。固定化させるのは「政治」であり、彼らもその当事者だ。本土のNIMBY(ニンビー=自分の裏庭には来ないでくれ)が問題の本質であることを認識しながら「県外移設」を断念したのなら、「本土が嫌がるから我々が我慢するしかない」と有権者に説明するのが筋だろう。

この問題で自民県連幹事長も務めた翁長雄志那覇市長の発言は異彩を放った。「日米同盟の重要性を考えると固定化などあり得ない」「辺野古がだめなら海兵隊は出て行くんじゃないかと思っている」

米財政の悪化で海兵隊は大リストラに直面している。ヘーゲル国防長官は海兵隊の総兵力を20万人から15万人に縮小する可能性にも言及した。すると現在の3個遠征軍体制(本国2個、沖縄1個)を維持するのは困難で、本国からの6カ月ローテーションで編成する第3海兵遠征軍(沖縄)の運用は抜本的な見直しも予想される。

 

米国の動きをながめると、翁長市長の見立てはあながち的外れでもなかろう。むしろ局面打開の好機であることを気付かせてくれる。このまま中央におもねるのか、それとも米国への働きかけも含め新局面を切り開く道を選ぶのか。壊れたビデオのように同じシーンを何度も見せる政治は終わりにしてもらいたい。

順治氏の指摘

西銘氏の父で県知事だった順治氏は、政治家になる前に創刊した沖縄ヘラルド新聞に書いた社説、コラムをまとめた評論集「沖縄と私」で、「沖縄の政治家に欠けているもの」は「信念」「勇気」であると断じた。「言うべき事柄を言うべき場所で堂々と披瀝することが不得手である」「軍当局から少しばかりの小言をくらうと、問題が住民の福祉に影響する重大な問題であっても(中略)矛を引っ込めてしまう」「馬鹿な奴になるとそれが外交だ、民族外交だとごまかすのだから、まったく始末に悪い」

いまのところ、まったく始末に悪い。

17:45 2014/05/10

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検証 官邸のイラク戦争――元防衛官僚による批判と自省 [単行本]柳澤 協二 (著)

引用

検証 官邸のイラク戦争――元防衛官僚による批判と自省 [単行本]柳澤 協二 (著)

内容紹介

首相官邸で自衛隊イラク派遣の実務責任者を務めた元防衛官僚が、アメリカを支持した政府判断、自衛隊派遣のプロセスを検証する。深い自省を込めて忌憚なき批判を行い、安全保障政策の拠り所としての日米同盟を根幹から問う。

 

開戦から10年、首相官邸で自衛隊イラク派遣の実務責任者を務めた著者が、アメリカの武力行使を支持した政府判断、自衛隊派遣のプロセスを正面から検証する。深い自省を込めて忌憚なき批判を行い、現在に至るまで安全保障政策の拠り所とされている「日米同盟」を、根幹から問う。

 

単行本: 224ページ出版社: 岩波書店 (2013/3/20)発売日: 2013/3/20

 

目次

序章 現代における戦争とは何か

第1章 アメリカはなぜ戦争を選択したのか

第2章 戦争の正当化と「国益」の定義―防衛研究所での模索

第3章 日本はなぜ戦争を支持したのか―小泉総理の決断

第4章 同盟の選択と揺らぐ大義

第5章 「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」―自衛隊、サマーワへ

第6章 イラク戦争の余波の中で

終章 新たな戦略思想を求めて

13:37 2014/05/10

 

 

改憲と国防 混迷する安全保障のゆくえ [単行本(ソフトカバー)]柳澤協二 (著), 半田 滋 (著), 屋良朝博  (著)

 

安倍政権のめざす「憲法改正」の真意は?

中国、北朝鮮に対抗するため国防軍が必要?

防衛の現場を知りつくした元官僚とジャーナリストが、安全保障の現状と課題をさまざまな視点から論じる。

いま平和と憲法を考えるため、必読の最新刊!

 

 

憲法を変えなければ、国は守れないのか?安倍政権がめざす憲法改正、集団的自衛権、国防軍、日米同盟強化…。現場を知りつくした元官僚とジャーナリストが明かす知られざる日本防衛の実態。

 

 

単行本(ソフトカバー): 192ページ出版社: 旬報社 (2013/6/25)

言語: 日本語発売日: 2013/6/25

 

目次

第1章 安倍政権と集団的自衛権 その背景と矛盾

安全保障に関する「情勢の変化」と政府の対応

第一次安倍政権の「四類型」

米国は何を求めているのか

中国脅威論と集団的自衛権

アジアの緊張の中核にいる日本

安倍政権が最大の不安定要因

鼎談

安倍首相の訪米をどうみるか/集団的自衛権行使のトリック/日本がアジアの不安定要因に/「主権回復」と沖縄/揺らぐ日米安保

 

第2章冷戦後の自衛隊 PKO20年

ベトナムからの視察

民間との協働による海外活動

PKO20年の真価

能力構築支援の背景

米国にとって゛都合のよい国・日本"

憲法九条と自衛隊・PKO

"制服組の都合"とPKO

PKOの日本モデルと日米同盟

"国のかたち"を変える国家安全保障基本法

集団的自衛権と制服組の発言力

国民の公共財としての自衛隊

日本の抑止力の実態

九条のもとで地道な歩みを

鼎談

冷戦期の防衛力/安全保障政策の転機/防衛省の組織維持と海外派遣/日本版NSC設置は適切か/憲法改正は必要か/改憲発議要件は厳しいのか

 

第3章沖縄・米軍基地と日米同盟

ハワイの海兵隊誘致

歪みのなかの日米同盟

地図を反転させるマジック

だから海外移転しかない

基本は2000人の海兵遠征隊

海兵隊配置の大混乱

海兵隊のローテーション

問題解決のための3条件

見逃したくない変化の兆し

米政府が苛立つのは無策だからだ

鼎談

注目すべきハワイ誘致/問われる政治の決定力/説得力を失った"抑止力"安保五条は切り札になるか/変化する海兵隊の役割

 

日米安全保障の今後への指針となる, 2013/12/17

レビュー対象商品: 改憲と国防 混迷する安全保障のゆくえ (単行本(ソフトカバー))

 

沖縄に辺野古移設か普天間固定化かという二者選択を迫る安倍政権の欺瞞が明確になる。普天間の海兵隊は機動性重視の即応部隊で、佐世保の米海軍の強襲揚陸艦隊と共に世界の海を絶えず巡回しているので、中国への抑止は嘉手納の空軍で、海兵隊が沖縄にいる必然性は無い。ブッシュ政権時のイラク戦争さなか2007年の第一次安倍政権の諮問機関がそのまま論理構築を進めているが、公海上の米艦防護、米国向けのミサイルの迎撃、などの主張を完璧に論破し、安倍政権の現在の日本こそがアジアの不安定要因になりつつあることを指摘している。

13:31 2014/05/10

 

 

 

亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠 [単行本(ソフトカバー)]  柳澤 協二 (著)

「積極的平和主義」を掲げ、日本版NSCの設置、秘密保護法の制定、そして、集団的自衛権の行使へと舵を切った安倍政権。その裏で歴史認識をめぐり近隣諸国との軋轢は増し、靖国参拝により米国までが「失望」した。隣国の軍事的脅威を煽り、理念独走の安保政策がいかに「国益」を毀損するのか、正面から検証する。

 

単行本(ソフトカバー): 144ページ出版社: 岩波書店 (2014/4/25)

言語: 日本語発売日: 2014/4/25

机上の空論!, 2014/5/6

レビュー対象商品: 亡国の安保政策――安倍政権と「積極的平和主義」の罠 (単行本(ソフトカバー))

集団的自衛権とは、米国が攻撃を受けた場合に、日本は攻撃を受けていないのに、アメリカといっしょに戦争すること。

安倍首相のお友達を集めた私的懇談会『安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会』(安保法制懇)は、集団的自衛権が必要となる事例をあげ、憲法改正では間に合わないから、憲法解釈の変更が必要という。中国、北朝鮮の脅威を煽り、脅威を利用している。

柳沢協二氏は、東大法学部卒業後、防衛庁(現防衛省)に入り、小泉・第1次安倍・麻生内閣の安全保障担当の官房副長官補として官邸に詰めていた。安全保障に関する豊富な経験と知見に基づき安保法制懇の事例を詳細に分析。

事例の中に『米国に向かうミサイルの迎撃』がある。素人の僕は、北朝鮮のミサイルは日本の上空を飛んでいくとばかり思っていたが違う。米国本土に向かうミサイルは北極圏を飛んでいく。地球儀を見ればすぐわかる。北極圏を飛んで日本からどんどん離れていくから、日本周辺から速度も高度も劣る迎撃ミサイルで撃ち落とすことは技術的に不可能。大陸間弾道ミサイルは、人工衛星と同じロケットで打ち上げるから高度も速度も迎撃ミサイルとは全然違うことを素人は知らない。

一事が万事で、もっともらしく挙げた事例は、すべて“机上の空論”にすぎないことを具体的に分析。

安保法制懇は、歯止めとして『放置すれば日本の安全に大きな影響が出る場合』などと言い出した。これらの『歯止め』にも的確な分析をしている。日本の安全保障について基本的視座を提供してくれるすぐれもの。

日本にとって最大の“脅威”は安倍政権であることがよくわかる安全保障の第一人者による総合的、具体的な分析の書。

13:25 2014/05/10

 

 

柳澤協二

 

柳澤 協二(やなぎさわ きょうじ、1946年(昭和21年)10月14日 - )は、日本の防衛官僚。防衛庁局長、官房長、防衛研究所長などを経て、2004年(平成16年)から2009年(平成21年)まで、内閣官房副長官補。退官後はNPO法人「国際地政学研究所」理事長。

目次  [非表示]

1 人物・経歴

2 著作 2.1 著書

2.2 共著

 

3 脚注

4 外部リンク

人物・経歴[編集]

 

東京都出身。1970年(昭和45年)東京大学法学部を卒業して、防衛庁に入庁する。

1995年(平成7年)7月 防衛庁長官官房防衛審議官

1997年(平成9年)7月 防衛施設庁労務部長

1998年(平成10年)6月 防衛庁長官官房防衛審議官

1998年(平成10年)7月 防衛庁情報本部副本部長

1998年(平成10年)11月 防衛庁運用局長

2000年(平成12年)6月 防衛庁人事教育局長

2002年(平成14年)1月 防衛庁長官官房長

2002年(平成14年)8月 防衛庁防衛研究所長

2004年(平成16年)4月 内閣官房副長官補[1]

2009年(平成20年)退官

2009年(平成20年)10月 日本生命保険顧問

 

退官後、NPO法人「国際地政学研究所」[2]理事長に就任。第2次安倍内閣に対しては批判的なスタンスで、2014年(平成26年)2月28日、「集団的自衛権を考える超党派の議員と市民の勉強会」に講師として出席し、集団的自衛権をめぐる米国、アジアの動きを解説し、安倍内閣が閣議決定で集団的自衛権の行使を容認できるよう憲法解釈を変更しようとしていることを批判した[3]。3月14日、日本記者クラブで記者会見し、安倍晋三首相と鳩山由紀夫元首相に対して「2人とも夢見るリーダーだ」と皮肉を込めて評した[4]。

 

著作[編集]

 

著書[編集]

『検証官邸のイラク戦争元防衛官僚による批判と自省』(岩波書店,ISBN-10: 4000258834,ISBN-13:978-4000258838 ,2013.3.20)

 

共著[編集]

(道下徳成、小川伸一、古山順一、植木千可子、山口昇、加藤朗、広瀬佳一)『抑止力を問う 元政府高官と防衛スペシャリスト達の対話』(かもがわ出版,ISBN-10:4780303923,ISBN-13:978-4780303926 ,2010.10.1)

(寺島実郎、大野博人、古山順一、池田香代子、志葉玲、植木千可子)『脱・同盟時代 総理官邸でイラクの自衛隊を統括した男の自省と対話』(かもがわ出版,ISBN-10:4780304482,ISBN-13:978-4780304480 ,2011.7.1)

(伊波洋一)『対論 普天間基地はなくせる 日米安保の賛成・反対を超えて (かもがわブックレット)』(かもがわ出版,ISBN-10:4780305357,ISBN-13: 978-4780305357 ,2012.5.1)

(伊勢崎賢治、小池清彦)『「国防軍」 私の懸念―安倍新政権の論点〈1〉 (安倍新政権の論点 1)

 』(かもがわ出版,ISBN-10:4780306035,ISBN-13:978-4780306033 ,2013.3.11)

(半田滋、屋良朝博)『改憲と国防 混迷する安全保障のゆくえ』(旬報社,ISBN-10:484511321X,ISBN-13:978-4845113217 ,2013.6.25)

 

脚注[編集]

1.^ (日本語) “柳澤 協二 - 内閣官房副長官補 ”. 内閣官房ホームページ. 2014年3月15日閲覧。

2.^ (日本語)“代表挨拶 ”. 国際地政学研究所. 2014年3月15日閲覧。NPO法人としては平成23年9月16日に都知事認証を受け、9月27日登記。

3.^ (日本語) “2014/02/28 元内閣官房副長官補・柳澤協二氏「安倍総理が集団的自衛権の行使をしたいのは、単に『やりたいから』」  ”. IWJ Independent Web Journal. 2014年3月15日閲覧。

4.^ (日本語) “首相は「夢見るリーダー」と皮肉 柳沢元副長官補、鳩山氏になぞらえ  ”. MSN産経ニュース (2014年3月14日). 2014年3月17日閲覧。

 

外部リンク[編集]

(日本語) 柳澤協二 | IWJ Independent Web Journal

(日本語) 役員 - 国際地政学研究所 理事長:柳澤 協二(国際地政学研究所ホームページ内経歴)

(日本語) 柳澤 協二 - 内閣官房副長官補(内閣官房ホームページ内経歴)

 

先代:大森敬治 内閣官房副長官補(安全保障担当)2004年 - 2009年 次代:西川徹矢

執筆の途中です この項目は、人物に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:人物伝)。

カテゴリ: 日本の防衛官僚

日本生命保険の人物

東京大学出身の人物

東京都出身の人物

1946年生

存命人物

13:21 2014/05/10

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植草一秀の『知られざる真実』マスコミの伝えない政治・社会・株式の真実・真相・深層を植草一秀が斬る 弱肉強食奨励=新自由主義経済政策は時代遅れ

引用

地元紙に・役人支配が続く・・奄美の課題にどう取り組む・・県大島支庁長に就いた・本 重人氏・阿久根市出身・佐賀大学卒・1982年に県庁入り、地方自治体などに出向し、加世田市企画課参事、福岡市にある九州観光推進機構の海外誘致推進部長といった要職も経験した。妻との間に2女。単身赴任で「料理の腕が上がるかな」とも。「任期中は豊かな自然を十分に堪能し、島を心身で楽しみたい」。57歳。2014-05-01(Thu) Category支配引用

8:38 2014/05/18


マル激トーク・オン・ディマンド 第682回(2014年05月10日)

TPPの背後にある新自由主義とどう向き合うか  ゲスト:萩原伸次郎氏(横浜国立大学名誉教授)

アメリカは一体日本をどうしたいのだろうか。TPPの日米協議が難航し、久々の日米貿易摩擦らしきものが表面化している。日米間の貿易摩擦が激化した80年~90年代のそれと比べるべくもないほど静かなものだが、今回は交渉の内容が基本的に非公開とされ外野は黙って静かに状況を見守るしかない中で、近年になく日本の経済や社会制度にまで踏み込んだ交渉が行われているようだ。

マスメディアは日本が聖域とした5品目の取り扱いや関税の税率など個別分野にばかり注目する傾向があるが、そうした報道からは過去の日米構造協議や日米包括協議などの日米交渉において、日本の社会や市民生活が大きな質的変化を強いられたことへの認識は微塵も感じられない。結果的に、仮にTPPが目指す関税の原則全面撤廃が行われた時、日本の社会がどう変質するかについては、まだ十分に検証されたとは言えないのではないか。

TPPとは環太平洋地域諸国による自由貿易体制の構築を目指す国際的な枠組みのことであり、自由貿易を標榜している以上、関税や非関税障壁の撤廃を原則とした統一の自由化ルールを前提としている。とはいえ、日米両国のGDPがTPP交渉に参加する全12カ国のGDPの8割を占めていることから、TPPは実質的に日米自由貿易協定の色彩が濃い。

 

戦後の日本の復興そして経済成長は、特に貿易面で製品の輸出に負うところが多かった。しかし、1970年代以降、日本が経済大国に成長する間、アメリカ経済は苦境に陥り、日本の経常黒字、とりわけ対米貿易赤字が日米間の大きな懸案となった。1981年にアメリカでレーガン政権が誕生し、1930年代のニューディール政策から続いてきたケインジアン的な再配分政策から、レーガノミクスと呼ばれる新自由主義的な政策への転換を図ると、貿易交渉におけるアメリカの対日要求も次第に日本に対して新自由主義政策への転換を求めるようなものに変質していった。日本でアメリカ製の商品が売れないのは、単に関税のような目に見える障壁だけではなく、日本独特の商習慣や消費習慣、ひいては独特のライフスタイルといった非関税障壁にその原因があり、貿易不均衡を解消するためには日本はそれを変えなければならないという主張だった。しかもアメリカは、そうした日本の伝統的な商習慣や社会制度が、日本の消費者利益に適っていないという論理を展開した。

アメリカの通商政策や国際貿易問題に詳しい横浜国立大学の萩原伸次郎名誉教授は、「TPPは第3の構造改革」になると指摘する。TPPは単に関税などの貿易障壁の撤廃を求めるだけにとどまらず、自由貿易に代表される新自由主義的な価値観やそれを前提とした経済・社会制度の変質まで迫るものになる可能性が高いからだ。橋本政権の「行財政改革」と「日本版金融ビッグバン」を第一、小泉構造改革を第二の構造改革とした時、TPPが三番目の、そして日本の構造改革の総仕上げの意味を持つものになる。

経済成長を遂げ、貿易黒字を貯め込むようになった日本は、1980年代以降、中曽根政権の土光臨調や前川リポートなどを通じて構造改革を進めてきた。1980年代以降の日本の大きな制度改革の背後には、決まってアメリカの要請があった。1990年代に入ると、アメリカから毎年年次改革要望書なる書面が届くようになり、日本の改革はほぼその要望書に沿って行われてきたといっても過言ではない。

こうして見ていくと、70年から80年代に日本の経済的台頭を許したアメリカは、日本の経常黒字や消費者利益といった正義をかざしながら、自国利益を追求するために厳しく、そして着実に日本を新自由主義陣営に引き込み、アメリカ製の商品が買われやすい状況を作ろうと努めてきた。しかし、にもかかわらず、アメリカ商品は依然として日本では必ずしも売れているとは言えない。無理矢理大店法を撤廃させ、日本中にシャッター通りを作っておきながら、アメリカの大型店舗はほとんど日本に入ってきていない。むしろ、イオンやイトーヨーカドーなどが郊外に大店舗を出すことで、もっぱら漁夫の利を得ている状態に見える。

しかし、アメリカが自国の利益を追求しようとするのは当たり前のことだ。それに日本がどう対応してきたかに問題がある。やや手遅れの感もあるが、日本がアメリカの要求を呑むなかで自国の「社会的共通資本」を自ら壊してきたことを今改めて再認識し、譲るべきものと守るべきものを峻別できるようにならなければ、やがて日本は日本でなくなってしまいかねない。

アメリカは日本をどうしたいのか。われわれはアメリカの要求の背後にある新自由主義や自由貿易とどう向き合うべきなのか。それに従っていれば日本は幸せになるのか。日米繊維交渉からTPP問題にいたる日米貿易交渉の歴史を振り返りながら、ゲストの萩原伸次郎氏とともに、ジャーナリストの神保哲生と社会学者の宮台真司が日本が得たものと失ったものを議論した。

今週のニュース・コメンタリー

厳密な運用基準を施行令に入れるべき

 モートン・ハルペリン氏が講演関連番組マル激トーク・オン・ディマンド 第660回(2013年12月07日)

TPPの知財分野も国民の知る権利に関わる重要な問題

ゲスト:福井健策氏(弁護士)  マル激トーク・オン・ディマンド 第515回(2011年02月26日)

 自由貿易を考えるシリーズ2 TPPは「社会的共通資本」を破壊する ゲスト:宇沢弘文氏(東京大学名誉教授) 

マル激トーク・オン・ディマンド 第512回(2011年02月05日) 自由貿易を考えるシリーズTPPに見る「自由貿易の罠」 ゲスト:中野剛志氏(京都大学大学院助教)  プロフィール萩原 伸次郎はぎわら しんじろう(横浜国立大学名誉教授)

1947年京都府生まれ。70年福島大学経済学部卒業。76年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。マサチューセッツ大学客員研究員、横浜国立大学助教授、同大学教授を経て、2013年定年退職。著書に『日本の構造「改革」とTPP - ワシントン発の経済「改革」』、『TPP アメリカ発、第3の構造改革』、『世界経済と企業行動』など。 

20:36 2014/05/10


ワシントン発の経済「改革」―新自由主義と日本の行方 [単行本]萩原 伸次郎(著)

内容(「BOOK」データベースより)

郵政民営化も非正規雇用の拡大も出元はアメリカ!?この改革、本当に日本人のため?

内容(「MARC」データベースより)

レーガン政権と中曽根政権との日米経済関係からはじまり、ブッシュ政権と小泉政権との関係まで、日本と米国の関係を軸に論じる。「構造改革」は、米国主導の強引な「日本経済改造計画」によると解説。

 

単行本: 238ページ出版社: 新日本出版社 (2006/12)発売日: 2006/12

 

目次

第1章 新自由主義というものの始まり(レーガン政権と新自由主義中曽根政権のしたこと日本貿易摩擦と米国の対日要求)

第2章 日本経済「改造」計画とその具体化(クリントン政権の誕生と国際経済政策「日米包括経済協議」と「年次改革要望書」橋本「改革」とは何であったのか)

第3章 ブッシュ政権下の米国経済が示すもの(ブッシュ政権の誕生と9・11同時多発テロの発生不正経理・粉飾決算と米国型金融システムイラク戦争とブッシュ政権ブッシュ政権の経済政策とは何なのか)

第4章 小泉内閣と「小さな政府」論(不良債権処理と米国の思惑郵政民営化にかける小泉首相財政「構造改革」は成功したのか)

11:07 2014/05/10

植草一秀の『知られざる真実』マスコミの伝えない政治・社会・株式の真実・真相・深層を植草一秀が斬る 2014年2月17日 (月)

 

弱肉強食奨励=新自由主義経済政策は時代遅れ

 

安倍政権が推進する経済政策は小泉政権が推進した「市場原理主義経済政策」と変わらない。

「市場原理主義経済政策」とは、経済活動を市場原理に委ねる経済政策である。

経済は自然と同じで、すべてを自由放任にすれば、必ず弱肉強食になる。

 

経済政策には歴史がある。

経済学の元祖であるアダム・スミスは自由放任=レッセ・フェールを主張した。資源配分は市場メカニズムに委ねることにより、もっとも効率的になる。

政府の介入を可能な限り排除して、市場の自由な活動に委ねることによって、もっとも効率の良い生産が実現する。

これが古典派の経済学である。

しかし、自由主義の経済政策運営は問題を引き起こした。

すべてを市場原理に委ねれば、強い者はより強くなり、弱い者は虐げられて消滅してしまう。

他者に損失を与える「外部不経済」が放置されれば、不公正はさらに拡大する。

自由主義的経済政策には修正を加えることが求められるようになった。

また、市場メカニズムが必ずしも万能ではないことも明らかにされるようになった。

市場は不均衡な状態に陥ることがある。

その不均衡が長く続き、しかも、その不均衡の影響が深刻である場合、市場に人為的な力を加えて、市場の不均衡を人為的に修正することが有効である場合が存在することも主張されるようになった。

 

修正資本主義の流れである。

これは、基本的人権の概念の進化と表裏一体を為すものでもあった。

 

基本的人権には、自由権、参政権、社会権がある。

自由権は18世紀に主張されたことから18世紀的基本権と呼ばれることがある。

同様に参政権は19世紀的基本権、社会権は20世紀的基本権と呼ばれる。

自由権が経済活動の自由などの、自由に活動する権利であるのに対して、社会権は憲法第25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」

に代表される、いわば「弱肉強食」を是正することを正当化する考え方を示す基本権である。

自由主義が行き過ぎれば、社会は弱肉強食化して、弱者の生存の余地がなくなってしまう。

すべての人に生きる権利を付与することが必要であるというのが、歴史の進化の結果として到達したひとつの終着点であり、この点に人間社会の特性が置かれるべきだと考えられるようになってきた。

 

近ごろはやりの「市自由主義」は、すべての人に一定の生活水準を保証する「福祉社会」を再度見直し、再び社会を弱肉強食の方向に差し戻そうとする考え方である。

社会を構成するすべて人の幸福を追求していたのでは、全体としての効率が低下する。

力の強い者は、巨大な果実を得られるのに、弱者のためにそれを犠牲にしなければならない。

これでは、力の強い者はやる気を失ってしまう。

 

力の強い者がやる気を失えば、社会全体の成長の力は低下し、全体の効率が低下してしまう。

それを防ぐために、再び社会を弱肉強食化することが必要である。

これが新自由主義の考え方である。

しかし、一言で言って、これは時代の逆行である。

小泉政権の登場以降、日本でも、一部で社会の弱肉強食化=市自由主義化を求める声が強まっているのだ。

その流れをいま推進しているのが安倍政権である。企業は利潤を追求するあまり、労働者の幸福を考えなくなり始めている。

正規労働を廃絶して、すべての労働力を非正規化できれば、資本の利潤は格段に増大する。

これを実現するには、法規制、行政規制を撤廃して、人間を機械部品のように、消耗品として取り扱えることができる体制を整えてもらうことが有用である。

 

 

 

すべては資本の論理=強者の論理に則った思考である。

安倍首相は国会答弁で、経済が成長するには企業が成長する条件を整えなければならない。

他方、労働者の側でも、派遣労働のように、所得は少なくても、制約のない自由度の高い働き方を求める、働き方の多様性を求める声にも配慮しなければならないとも主張した。

これは詭弁でしかない。

多くの労働者は、安定してある程度の所得を確保できる、正規労働者になることを希望するが、その機会が激減しているために、やむなく派遣労働。非正規労働に従事しているのだ。

このような事実がありながら、現実を見ようとしない詭弁が提示されているのである。

10:47 2014/05/10

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