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2013年8月 8日 (木)

点滴灌漑(英語:もしくはTrickle irrigation)とは、配水管、チューブやエミッタ、弁などからなる施設を用い、土壌表面や根群域に直接ゆっくり灌漑水を与えることにより、水や肥料の消費量を最小限にする灌漑方式であり、トリクル灌漑やマイクロ灌漑ともよばれる

引用

 

http://www.everweb.biz/plastro/shohin.htm

 

 

 

点滴灌漑

 

点滴灌漑で栽培されるブドウ

 

点滴灌漑(英語:Drip irrigation、もしくはTrickle irrigation)とは、配水管、チューブやエミッタ、弁などからなる施設を用い、土壌表面や根群域に直接ゆっくり灌漑水を与えることにより、水や肥料の消費量を最小限にする灌漑方式であり、トリクル灌漑やマイクロ灌漑ともよばれる。

 

 

 

近代的な点滴灌漑は農業において、1930年代に発明され、それまでの無駄の多い湛水灌漑に取って代わったスプリンクラー以来のもっとも大きな技術革新となったといわれている。点滴灌漑には点滴エミッタの代わりに、微量スプレーヘッドとよばれる小面積へ散水するための装置を用いるものもある。これらは主に樹木や果樹など、比較的根群域の広い植物への灌漑に用いられる。永続的もしくは一時的に滴下管や点滴灌漑テープを作物根群域やその下方へ埋設するものは地中点滴灌漑とよばれている。地中点滴灌漑は、水資源の限られている地域や、下水処理水を利用しているような地域における列作物への灌漑に広く使われるようになった。個々の導入にあたり、もっとも適切な点滴灌漑システムや部品の選択には、地形や土壌、水、作物、耕地の微気象などの条件を慎重に調べなければならない。

 

目次

 

 [非表示] 1 概要

 

2 歴史

 

3 部品と操作

 

4 点滴灌漑の利点と欠点

 

5 注釈

 

6 出典

 

7 外部リンク

 

 

 

概要[編集]

 

 

 

点滴灌漑は灌漑の一種であり、農地に張り巡らしたチューブ内に水を流し、チューブの所々に開けられた穴[注釈 1]から水を作物の周囲の土壌に滴下することによって灌漑する。従来の灌漑と比べて水の節約になると言われており、また液体肥料や薬を水に混ぜて散布することも可能であることから、乾燥地のみならず、ハウス栽培などでも植物の効率的な栽培として利用されている。

 

歴史[編集]

 

点滴灌漑の原型。根の近くに設置されたチューブに水を流し込んで根の周囲だけを灌漑する

 

土中に埋めた土器を水で満たし、水が土中へじわじわと浸み出るタイプの点滴灌漑が古代から用いられてきた。近代的な点滴灌漑の開発は、ドイツで研究者たちが土管で作った灌漑兼排水システムを用いた地中灌漑の実験を行った1860年に始まった。1913年、E.B.Houseがコロラド州立大学で地下水位を上げずに植物の根群域への水の供給に成功した。1920年代にドイツで穴が空いたパイプが売り出され、1934年にO.E.Robeyがミシガン州立大学で多孔質帆布ホースを通して灌漑実験を行った。第二次世界大戦中及びその後、近代的なプラスチックが出現したため、点滴灌漑の大幅な改善が可能になった。プラスチック製マイクロチューブや様々なタイプのエミッターがヨーロッパや米国の温室で使われ始めた。

 

 

 

近代的な点滴灌漑の技術はイスラエルでSimcha Blassと彼の息子Yeshayahuによって発明された。微粒子による目づまりが起こりやすい小さな孔からの水の滴下の代わりに、より大きい、より長い水路を通して摩擦を利用してプラスチックエミッターの中の水の流れを遅くした。このタイプの初めての実験的システムは、当時Hatzerim キブツの組合員であったBlassNetafimという会社を設立した1959年に確立された。彼らは初めての実用的な地表面点滴エミッターを開発し、特許を取った。この方式は非常に成功し、その後1960年代末にはオーストラリア、北米と南米へ広がった。

 

 

 

 米国で1960年代の初めに、Dew Hoseという初めての点滴テープがChapin Watermatics(最初のシステムが1964年に確立された)のRichard Chapinによって開発された。

 

 

 

部品と操作[編集]

 

点滴灌漑装置の概観

 

部品(水源からの順序で)

 

ポンプ、高い位置にあるタンク

 

浄水器-濾過器:砂分離装置、サイクロン、スクリーンフィルター、多孔質フィルター

 

液肥混入装置(ベンチュリ管の注入器)と化学薬品添加装置(必要に応じて)

 

逆流防止装置

 

主配管(大口径管とパイプ取り付け用具)

 

手動、電子制御または油圧制御弁と安全弁

 

小直径ポリチューブ

 

接続用部品

 

植物への滴下装置(例.点滴孔、マイクロ噴霧器、直列型点滴孔 )

 

点滴灌漑装置のポンプとバルブは、手動で制御される場合と自動的に制御される場合がある。

 

 

 

大抵の大型点滴灌漑装置には、小さな水中の粒子で狭い流出経路が詰まるのを防ぐためにいくつかの種類のフィルターが取り付けられている。現在、目詰まりを最小限にする技術が提供されている。飲料水は、水処理工場で既に濾過されているので、いくつかの住宅用システムでは、フィルターなしで設置されている。とは言え、ほとんどすべての点滴灌漑装置では、フィルターを用いることが推奨され、フィルターが取り付けられていない場合は保証を受けられない。

 

 

 

点滴灌漑と地中点滴灌漑は、下水処理水を使用する場合にもっぱら使われている。たいてい規制により、飲料水基準を満たしていない水を空気中に散布することが禁止されている。

 

 

 

点滴灌漑装置で水を与える方法をとる場合、表面に散布し徐々に溶解させる伝統的な施肥方法は、効果的でないことがある。そのため、点滴灌漑装置では、しばしば灌漑水に液肥を混入させる。これは、液肥混入灌漑法と呼ばれる。液肥混入灌漑法と薬品混入灌漑法(chemigation)(農薬の添加と装置の掃除のために周期的に塩素や硫酸のような化学物質を添加すること)は、隔膜ポンプやピストンポンプ、ベンチュリーポンプのような注入装置を使用する。薬品は、装置が灌漑しているときに常に混入し続ける場合もあれば、断続的に与えられる場合もある。最近の大学のフィールド調査から、ゆっくりとした給水速度で液肥混入灌漑を行った場合、伝統的な施肥法と小型スプレーヘッドによる灌漑の組み合わせに比べて、最大で95%の肥料を節約できたことが報告されている。

 

 

 

適切に設計・管理されれば、植物根に水がより適切に与えられるため、地表灌漑やスプリンクラーに比べて、点滴灌漑は蒸発と深部への排水を減らすことで水の節約を促進する。加えて、点滴灌漑は水が葉に触れることで広がる多くの病気を防ぐことができる。水の供給が非常に限られている地域では、最終的に水消費量の削減には結びつかないかもしれないが、以前と同量の水でより多くの収量を得ることができる。非常に乾燥した地域や砂地では、できるだけゆっくり灌漑水を与えることが重要である。

 

 

 

流出や深部への浸透を減らすことで、一度に植物に与えられる水量を減らすパルス灌漑が行われることがある。パルス装置は、一般的に高価で頻繁なメンテナンスを必要とする。これらの理由から、エミッター製造業者の間では、1 L/hrのような超低速で灌漑水を運搬する新技術の開発に努力が注がれている。ゆっくりかつ均一に送水すれば、高価で複雑なパルス運送装置を使用しなくても水利用効率をより改善することができる。

 

 

 

点滴灌漑は畑、ビニールハウス、住宅の庭に使用されている。点滴灌漑は、深刻な水不足に悩む地域やココナッツ、コンテナ栽培の庭木、葡萄、バナナ、ナツメ、ナス、シトラス、イチゴ、サトウキビ、綿、トウモロコシ、トマトのような作物に広く適用されている。 庭点滴灌漑キットは、庭を持つ人々の間で人気であり、タイマー、ホース、点滴孔で構成されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

点滴灌漑の利点と欠点[編集]

 

 

 

点滴灌漑の利点としては以下のようなものが挙げられる。

 

局部的な潅水とリーチングを抑えることによる肥料と栄養分の損失の最小化

 

高い水分配効率

 

土地の均平化が不必要。

 

再利用水の安全な利用を可能にする。

 

根群域の水分を圃場容水量に保つことができる。

 

灌漑の頻度を、それほど土性に拘束されずに決定できる。

 

土壌浸食の最小化

 

水の高い均一分配性。それぞれのノズルで制御できるものもある。

 

低い労働コスト

 

潅水強度はバルブとドリッパーで制御できる。

 

最小限の肥料の無駄で施肥灌漑を簡単に行うことができる。

 

早熟と多収(時期毎に、年毎に)

 

 

 

点滴灌漑の欠点としては以下のようなものが挙げられる。

 

高価。初期投資がスプリンクラーシステムを上回る場合がある。

 

廃棄物。太陽が点滴灌漑に使われているチューブに影響を与え、そうでなかった場合に比べ持続性を低下させる。寿命は可変である。

 

目詰まり。水が適切に濾過されなかったり、装置が適切に維持管理されなかったりすると、目詰まりすることがある。

 

除草剤や地表面に散布された肥料が有効になるためにスプリンクラー灌漑を必要とするとき、点滴灌漑ではうまくいかない。

 

収穫後、点滴チューブは追加の撤去費用を発生させる。ドリップテープの巻取り、処分、リサイクルやリユースの計画をたてることが必要になるだろう。

 

根系が浅くなる。特に点滴チューブを地表に設置した場合は顕著である。チューブを地中に埋め込むとある程度改善する[1]

 

 

 

適切に導入されないと、水や時間や収穫の無駄が生じる。地形、土、水、作物、生物気候的な条件、点滴灌漑システムとその構成要素の持続可能性といった全ての関連要素の注意深い検討が必要とされる。

 

 

 

注釈[編集]

 

1.^ emmiter dripper と呼ばれる

 

 

 

出典[編集]

 

1.^ 森田茂紀(編)(2003)根のデザイン ―根が作る食糧と環境―. 養賢堂, 東京.

 

 

 

外部リンク[編集]

 

 

 

 ウィキメディア・コモンズには、点滴灌漑に関連するカテゴリがあります。

 

Irragation Association

 

Irragation Training & Research Center

 

Chapter 6 Drip Irragation - 国際連合食糧農業機関(FAO)の点滴灌漑のページ

 

18:19 2013/08/07

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 
 

http://www.everweb.biz/img/log/israel-flag%5B1%5D.gif

 

イスラエル農業の研究開発

 

各画像クリック、擴大出来ます

 

点滴養液栽培

 

http://www.everweb.biz/img/israel/newsystem.JPG

 

点滴養液栽培潅水システム

 

http://www.everweb.biz/img/israel/DSC00928.JPG

 

栽培箱

 

http://www.everweb.biz/img/israel/pearlite.JPG

 

土なしのパーライト培地 点滴養液栽培

 
 

http://www.everweb.biz/img/log/israel-flag%5B1%5D.gif

 

イスラエル

 

農業部門の研究はほとんどすべて、農民と研究者との協力による研究開発に根ざしている。整備された普及サービスシステムのおかげで、研究結果は素早く実地に実験され、何か問題があれば解決のために直接科学者のところへ持ちこまれる。農業の研究開発はまず、農業省に属する農業研究機関が行なう。
 
 
イスラエルの農業研究機関は、国連の食料農業機構と密接な連絡を取りながら、外国とも情報交換をはかっている。乏しい水、荒れた土地、限界のある労働力を効果的に利用することで、農業の方法に革新をもたらした。
 
 
水資源の節約の諸技術は、数多くのコンピューターに制御された灌漑システムの開発を促した。 主なものとして、水の流れを直接植物の根のある部分に向ける点滴灌漑システムがある。また、集中的な研究の結果、西部ネゲブにある、塩分を含む水の巨大な地下貯水池の利用に成功した。これによってヨーロッパや冬場のアメリカ向けに最上質のトマトなどの作物が生産されている。
 
 
その他、動物の健康を増進させ、作物の収穫を上げるために水を電磁的に処理する技術の開発もある。実験によれば、磁気処理された水を飲む牛はミルク産出量が上昇し、この水を与えられた子牛は、適正条件下で育てられた子牛より成長が12%早かったそうだ。
 
 
また、磁気発生装置を通過した水で灌漑された土壌は、通常の土壌より栄養物質を多く含んでいる。イスラエルで開発されたバーミキュライトという物質からなる土を、摂氏1000度に加熱すると通気性がよくなり、その重量の何倍もの水分を貯蓄できる。これを通常の土壌に12割混ぜると、トマトは30%、キュウリは45%も収穫量が増えるのである。
 
 
 
 イスラエルでデザインされたコンピューターが、日常の複雑な農業活動の調整に利用されている。例えば、すべての環境要因をモニターしながらの肥料注入、最小限のコストで最大の収穫量を期待できる家畜飼料の混合、養鶏のために適切な温度、湿度設定などがコンピューターで管理されている。    加えて耕作、種蒔き、植え付け、収穫、仕分け、梱包のための様々な農業機器も開発、製造している。 農業もまた一般科学研究や研究開発の発展による恩恵に浴している。例えば、自動組織培養装置、生物学的殺虫剤、疾病に強い品種の開発や生物的肥料などがある。

 
 

http://www.everweb.biz/img/israel/tomoto.JPG

 

砂漠のなかで育つトマト

 

http://www.everweb.biz/img/israel/greenhouse2.JPG

 

砂漠のなかのハウス群れ

 

http://www.everweb.biz/img/israel/colorp.JPG

 

砂漠のなかで育つ 9色 カラーピーマン

 

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砂漠のなかで育つ花

 
 

点滴養液栽培コスト安い資材の開発

 

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http://www.everweb.biz/img/israel/DSC00932.JPG

 

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http://www.everweb.biz/img/israel/DSC00906.JPG

 

http://www.everweb.biz/img/israel/pearlite2.JPG

 
 

イスラエルの農業

 

主は水と肥料一緒送るの点滴チューブ潅水の利用

 
 

砂漠の真なかで土耕点滴養液栽培

 

http://www.everweb.biz/img/israel/DSC00519.JPG

 

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http://www.everweb.biz/img/israel/DSC00591.JPG

 

http://www.everweb.biz/img/israel/DSC00621.JPG

 

http://www.everweb.biz/img/israel/nasubi2.JPG

 
 

イスラエルは、乏しい水と砂漠という不利な条件を克服し、多年に及ぶ苦闘の末に世界の先端をいく農業を育てあげた。

 

19世紀後半、ユダヤ人たちが父祖の地に再定着を開始したとき、まず初めに不毛の荒野に開拓のクワをおろすことから着手しなければならなかった。   イスラエルが独立してから、耕作地は110万エーカーとなり、潅漑地も60万エーカーに増えた。

 

この間農業共同体(キブツ、モシャブなど)の数は400から750に増えたが、都市化現象のため農村人口は12%から6%ほどに滅っている。現在イスラエルは食糧のほとんどを自給している。

 

一部輸入に依存しているのは、穀物、オイルシード、肉、コーヒー、ココア、砂糖であるが、農産物輸出のほうがずっと多い。農産物は、乳製品、鶏肉、各種切花、果物、野菜などが主力である。

 

冬期には、温暖地域の特性を利用して、輸出用のバラ、カーネーション、メロン、トマト、キュウリ、胡椒、いちご、キウイ、アボカドなどが生産されている。イスラエルの農業が発展した背景には、生産者である農家と研究機関との密接な協力関係がある。

 

潅漑技術、新しい品種、革新的な機械化技術などの分野で、応用側と研究開発側との交流が盛んである。GNPに占める農業の割合は、11%(1950年)から4%(1991年)に減少している。

 

一方、輸出に占める農業製品輸出の割合は、60%から4%となった。もっとも、新しい農業分野の導入によって多様化したおかげで、絶対額は2000万ドルから6億ドルと、30倍に拡大している。

 

 

点滴灌漑

 

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

 

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http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/6/6b/VineyardDrip.JPG/500px-VineyardDrip.JPG

 

http://bits.wikimedia.org/static-1.22wmf11/skins/common/images/magnify-clip.png

 

点滴灌漑で栽培されるブドウ

 

点滴灌漑(英語:Drip irrigation、もしくはTrickle irrigation)とは、配水管、チューブやエミッタ、などからなる施設を用い、土壌表面や群域に直接ゆっくり灌漑水を与えることにより、肥料の消費量を最小限にする灌漑方式であり、トリクル灌漑やマイクロ灌漑ともよばれる。

 

近代的な点滴灌漑は農業において、1930年代に発明され、それまでの無駄の多い湛水灌漑に取って代わったスプリンクラー以来のもっとも大きな技術革新となったといわれている。点滴灌漑には点滴エミッタの代わりに、微量スプレーヘッドとよばれる小面積へ散水するための装置を用いるものもある。これらは主に樹木果樹など、比較的根群域の広い植物への灌漑に用いられる。永続的もしくは一時的に滴下管や点滴灌漑テープを作物根群域やその下方へ埋設するものは地中点滴灌漑とよばれている。地中点滴灌漑は、水資源の限られている地域や、下水処理水を利用しているような地域における列作物への灌漑に広く使われるようになった。個々の導入にあたり、もっとも適切な点滴灌漑システムや部品の選択には、地形や土壌、水、作物、耕地の微気象などの条件を慎重に調べなければならない。

 

目次

 

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概要[編集]

 

点滴灌漑は灌漑の一種であり、農地に張り巡らしたチューブ内に水を流し、チューブの所々に開けられた穴[注釈 1]から水を作物の周囲の土壌に滴下することによって灌漑する。従来の灌漑と比べて水の節約になると言われており、また液体肥料や薬を水に混ぜて散布することも可能であることから、乾燥地のみならず、ハウス栽培などでも植物の効率的な栽培として利用されている。

 

歴史[編集]

 

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/9/93/Bottle_irrigation.jpg/500px-Bottle_irrigation.jpg

 

http://bits.wikimedia.org/static-1.22wmf11/skins/common/images/magnify-clip.png

 

点滴灌漑の原型。根の近くに設置されたチューブに水を流し込んで根の周囲だけを灌漑する

 

土中に埋めた土器を水で満たし、水が土中へじわじわと浸み出るタイプの点滴灌漑が古代から用いられてきた。近代的な点滴灌漑の開発は、ドイツで研究者たちが土管で作った灌漑兼排水システムを用いた地中灌漑の実験を行った1860年に始まった。1913年、E.B.Houseがコロラド州立大学で地下水位を上げずに植物の根群域への水の供給に成功した。1920年代にドイツで穴が空いたパイプが売り出され、1934年にO.E.Robeyがミシガン州立大学で多孔質帆布ホースを通して灌漑実験を行った。第二次世界大戦中及びその後、近代的なプラスチックが出現したため、点滴灌漑の大幅な改善が可能になった。プラスチック製マイクロチューブや様々なタイプのエミッターがヨーロッパや米国の温室で使われ始めた。

 

近代的な点滴灌漑の技術はイスラエルでSimcha Blassと彼の息子Yeshayahuによって発明された。微粒子による目づまりが起こりやすい小さな孔からの水の滴下の代わりに、より大きい、より長い水路を通して摩擦を利用してプラスチックエミッターの中の水の流れを遅くした。このタイプの初めての実験的システムは、当時Hatzerim キブツの組合員であったBlassNetafimという会社を設立した1959年に確立された。彼らは初めての実用的な地表面点滴エミッターを開発し、特許を取った。この方式は非常に成功し、その後1960年代末にはオーストラリア、北米と南米へ広がった。

 

 米国で1960年代の初めに、Dew Hoseという初めての点滴テープがChapin Watermatics(最初のシステムが1964年に確立された)のRichard Chapinによって開発された。

 

部品と操作[編集]http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e8/Dripirrigation.gif/700px-Dripirrigation.gif

 

http://bits.wikimedia.org/static-1.22wmf11/skins/common/images/magnify-clip.png

 

点滴灌漑装置の概観

 

部品(水源からの順序で)

 

     

  • ポンプ、高い位置にあるタンク
  •  

  • 浄水器-濾過器:砂分離装置、サイクロン、スクリーンフィルター、多孔質フィルター
  •  

  • 液肥混入装置(ベンチュリ管の注入器)と化学薬品添加装置(必要に応じて)
  •  

  • 逆流防止装置
  •  

  • 主配管(大口径管とパイプ取り付け用具)
  •  

  • 手動、電子制御または油圧制御弁と安全弁
  •  

  • 小直径ポリチューブ
  •  

  • 接続用部品
  •  

  • 植物への滴下装置(例.点滴孔、マイクロ噴霧器、直列型点滴孔 )
  •  

  • 点滴灌漑装置のポンプとバルブは、手動で制御される場合と自動的に制御される場合がある。
  •  

 

大抵の大型点滴灌漑装置には、小さな水中の粒子で狭い流出経路が詰まるのを防ぐためにいくつかの種類のフィルターが取り付けられている。現在、目詰まりを最小限にする技術が提供されている。飲料水は、水処理工場で既に濾過されているので、いくつかの住宅用システムでは、フィルターなしで設置されている。とは言え、ほとんどすべての点滴灌漑装置では、フィルターを用いることが推奨され、フィルターが取り付けられていない場合は保証を受けられない。

 

点滴灌漑と地中点滴灌漑は、下水処理水を使用する場合にもっぱら使われている。たいてい規制により、飲料水基準を満たしていない水を空気中に散布することが禁止されている。

 

点滴灌漑装置で水を与える方法をとる場合、表面に散布し徐々に溶解させる伝統的な施肥方法は、効果的でないことがある。そのため、点滴灌漑装置では、しばしば灌漑水に液肥を混入させる。これは、液肥混入灌漑法と呼ばれる。液肥混入灌漑法と薬品混入灌漑法(chemigation)(農薬の添加と装置の掃除のために周期的に塩素や硫酸のような化学物質を添加すること)は、隔膜ポンプやピストンポンプ、ベンチュリーポンプのような注入装置を使用する。薬品は、装置が灌漑しているときに常に混入し続ける場合もあれば、断続的に与えられる場合もある。最近の大学のフィールド調査から、ゆっくりとした給水速度で液肥混入灌漑を行った場合、伝統的な施肥法と小型スプレーヘッドによる灌漑の組み合わせに比べて、最大で95%の肥料を節約できたことが報告されている。

 

適切に設計・管理されれば、植物根に水がより適切に与えられるため、地表灌漑やスプリンクラーに比べて、点滴灌漑は蒸発と深部への排水を減らすことで水の節約を促進する。加えて、点滴灌漑は水が葉に触れることで広がる多くの病気を防ぐことができる。水の供給が非常に限られている地域では、最終的に水消費量の削減には結びつかないかもしれないが、以前と同量の水でより多くの収量を得ることができる。非常に乾燥した地域や砂地では、できるだけゆっくり灌漑水を与えることが重要である。

 

流出や深部への浸透を減らすことで、一度に植物に与えられる水量を減らすパルス灌漑が行われることがある。パルス装置は、一般的に高価で頻繁なメンテナンスを必要とする。これらの理由から、エミッター製造業者の間では、1 L/hrのような超低速で灌漑水を運搬する新技術の開発に努力が注がれている。ゆっくりかつ均一に送水すれば、高価で複雑なパルス運送装置を使用しなくても水利用効率をより改善することができる。

 

点滴灌漑は畑、ビニールハウス、住宅の庭に使用されている。点滴灌漑は、深刻な水不足に悩む地域やココナッツ、コンテナ栽培の庭木、葡萄バナナナツメナスシトラスイチゴサトウキビ綿トウモロコシトマトのような作物に広く適用されている。 庭点滴灌漑キットは、庭を持つ人々の間で人気であり、タイマー、ホース、点滴孔で構成されている。

 

 

 

点滴灌漑の利点と欠点[編集]

 

点滴灌漑の利点としては以下のようなものが挙げられる。

 

     

  • 局部的な潅水とリーチングを抑えることによる肥料と栄養分の損失の最小化
  •  

  • 高い水分配効率
  •  

  • 土地の均平化が不必要。
  •  

  • 再利用水の安全な利用を可能にする。
  •  

  • 根群域の水分を圃場容水量に保つことができる。
  •  

  • 灌漑の頻度を、それほど土性に拘束されずに決定できる。
  •  

  • 土壌浸食の最小化
  •  

  • 水の高い均一分配性。それぞれのノズルで制御できるものもある。
  •  

  • 低い労働コスト
  •  

  • 潅水強度はバルブとドリッパーで制御できる。
  •  

  • 最小限の肥料の無駄で施肥灌漑を簡単に行うことができる。
  •  

  • 早熟と多収(時期毎に、年毎に)
  •  

 

点滴灌漑の欠点としては以下のようなものが挙げられる。

 

     

  • 高価。初期投資がスプリンクラーシステムを上回る場合がある。
  •  

  • 廃棄物。太陽が点滴灌漑に使われているチューブに影響を与え、そうでなかった場合に比べ持続性を低下させる。寿命は可変である。
  •  

  • 目詰まり。水が適切に濾過されなかったり、装置が適切に維持管理されなかったりすると、目詰まりすることがある。
  •  

  • 除草剤や地表面に散布された肥料が有効になるためにスプリンクラー灌漑を必要とするとき、点滴灌漑ではうまくいかない。
  •  

  • 収穫後、点滴チューブは追加の撤去費用を発生させる。ドリップテープの巻取り、処分、リサイクルやリユースの計画をたてることが必要になるだろう。
  •  

  • 根系が浅くなる。特に点滴チューブを地表に設置した場合は顕著である。チューブを地中に埋め込むとある程度改善する[1]
  •  

 

適切に導入されないと、水や時間や収穫の無駄が生じる。地形、土、水、作物、生物気候的な条件、点滴灌漑システムとその構成要素の持続可能性といった全ての関連要素の注意深い検討が必要とされる。

 

注釈[編集]

 

     

  1. ^ emmiter      dripper と呼ばれる
  2.  

 

出典[編集]

 

     

  1. ^ 森田茂紀(編)(2003)根のデザイン      ―根が作る食糧と環境―. 養賢堂, 東京.
  2.  

 

外部リンク[編集]

 

 

 

 

 

 

 

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/4/4a/Commons-logo.svg/59px-Commons-logo.svg.png

 
 

ウィキメディア・コモンズには、点滴灌漑に関連するカテゴリがあります。

 

 

 

平成2587

 

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