« メールマガジン版. 衆議院議員 河野太郎の国会日記メールマガジン「ごまめの歯ぎしり(応援版)」を創刊しました。銚子市の事業仕分けに参加しました。銚子市は、財政状況が悪く、財政再建団体転落一歩手前です。一般会計のお金が足らず、水道特別会計から四億二千万円を借り入れるという荒技でつなぎましたが、水道特会もお金があるわけではないというのが、今日の仕分けで市民にもわかりました。構想日本が、すでに銚子市では二回、事業仕分けをやっていて、私は一昨年の仕分けにも参加させていただきました。今回は、銚子市の施設に焦点を当て | メイン | 自治体をどう変えるか 佐々木 信夫著・・第3章 政策官庁としての自治体・平成27年9月21日・・機関委任事務制度の全廃・最大の焦点は、国と地方を上下・主従の関係に固定してきた機関委任事務制度が全廃されたことだ。機関委任事務制度の廃止で各省大臣から知事、市町村長に委任してきた五六一項目にわたる機関委任事務の七割近くが、自治事務として各自治体の固有事務とされた。これによって、自治体は行政裁量権が飛躍的に拡大した。68頁まで・・ »

2015年9月18日 (金)

経営力がまぶしい日本の市町村50選(38)姉妹都市提携ではない縁組(結婚)川場村は群馬県北部、武尊山のふもとに位置する、人口3445人(平成27年2月)の村である。村の約88%は山林で占められており、利根川の源流である4本の一級河川など清流が流れる地に集落が開けたのが始まりとされる 産業の中心は農業で、こんにゃく、牛乳、果樹(りんご、ブルーベリー、ぶどう)、米などが主要産品となっている。

引用


http://jbpress.ismedia.jp/


経営力がまぶしい日本の市町村50選(38)姉妹都市提携ではない縁組(結婚)川場村は群馬県北部、武尊山のふもとに位置する、人口3445人(平成27年2月)の村である。村の約88%は山林で占められており、利根川の源流である4本の一級河川など清流が流れる地に集落が開けたのが始まりとされる 産業の中心は農業で、こんにゃく、牛乳、果樹(りんご、ブルーベリー、ぶどう)、米などが主要産品となっている。

豊かな田園風景が残る川場村は、野生動植物の宝庫である。森林ではカモシカやフクロウ、清流ではイワナやヤマメ、田んぼにはホタルなども生息する。

澄んだ空気、清らかな流れ、豊かな緑に囲まれた川場村と世田谷区が「区民健康村相互協力に関する協定(縁組協定)」を締結したのは昭和56(1981)年。

世田谷区民が、川場村を通じて、都会で望めなくなった豊かな自然に恵みに触れながら、地元住民と相互に協力して都市と山村の交流を深めていくことを目的とした「第二のふるさと」づくりである。

全国的に縁組協定は非常に珍しいケースであり、要はこれから共同して生計を立てて、未来に向かってまい進していくことである。ともに相互の「まちづくり、むらづくり」に協力することを意味し、「ひと・もの・かね・しくみ(情報)・こころ」の交流を目指している。

姉妹都市提携に見られる、都市の自治体が農山村に保養施設を単に作るというのではなく、都市と農山村がお互いの特長を生かし、分かち合って交流し、その中から心豊かな生活を見出していこうというものである。

ふるさとの喪失感

その背景は、都会住民が抱くふるさとの喪失感や、自然への渇望、余暇時間の増大や健康増進に対する関心の高まりなどである。人間らしい生き方を取り戻す場としてふるさと的自然環境を農山村に求めたわけである。

さらには都市が農山村に一方的に多くを求めるのではなく、双方が補い合って村おこしをするという縁組を基調に「第二のふるさと」づくりを目指そうと、昭和54(1979)年に世田谷区基本計画に区民健康村構想が位置づけられた。

以下の候補地の評価項目に基づき、52の市町村から最も評価の高かった川場村に選定された。

1)地域的・地理的条件として、世田谷区からの到達性

 (2)村全体のロケーション(田園らしさ、山村らしさ、眺望の良さ)

 (3)健康村構想に対する姿勢

昭和57(1982)年からは、レンタアップル(りんごの木オーナー)やふるさとパック、森のキャンプなどの予備活動を開始するとともに、小学校5年生の移動教室や区民と村民との交流拠点となる宿泊施設として「ふじやまビレッジ」「なかのビレッジ」の建設をスタートさせた。

昭和61(1986)年に区民健康村を開村し、両施設を中心に、移動教室、和紙造形大学、きのこの里づくり、手づくり食品学校、森の美術館、自然教室、森林体験、ゲートボール交流など多彩な交流事業が本格的にスタートした。

また、健康村施設の維持管理運営、各種交流事業の運営を行う「(株)世田谷川場ふるさと公社」が世田谷区・川場村の共同出資(世田谷区3000万円、川場村1000万円)で設立された。従業員数は職員34人、嘱託・臨時職員9人であり、ほぼ川場村内での雇用である(平成27年4月現在)。

平成17(2005)年には、新たな5つの交流事業(文化交流事業、里山づくり、川場農産物のブランド化、農業塾、茅葺塾)を推進していくことを宣言し、平成18(2006)年に、健康村里山自然学校を開校した。

多岐にわたる交流事業

平成13(2001)年から平成26(2014)年までの14年間で、のべ87.7万人もの区民が施設を利用している。特に区内64校の小学校では5年生になると移動教室に参加するが、参加者数は右肩上がりである。

 

 主な交流事業は以下の通りである。

○文化交流事業

世田谷美術館が主催する様々な事業や展覧会、写真展などに村民が参加したり、学芸員による川場小学校への出張授業を行っている。

○里山づくり 区民と村民が共同で、自然環境を保全、育成する。

・森林を整備し、自然観察が楽しめる散策路や憩いの広場などの整備

・農地を整備し、共同農場やクラインガルテンなどの整備

・エコ住宅を建設し、団塊の世代をはじめ、Iターン、Uターン希望者など永住希望者を誘致

○日帰りバスツアー 川場村の自然や特産物を楽しめるバラエティーに富んだツアー。

○フライフィッシング フライフィッシングに関する技術や道具を学ぶほか、川やそこに住む昆虫を観察することにより、自然環境に対する認識を高める。

○スポーツ交流 野球、サッカー、ラグビー、ゲートボール、ゴルフ、スキーなどの合宿や交流試合が盛んである。

健康村里山自然学校 平成4(1992)年に縁組協定締結10周年を記念して、「友好の森事業に関する相互協力協定」を締結し、村民はもとより区民との共通財産である川場村の自然環境を、協働で守り育てる運動をしていくという、他に類のない試みを始める。

平成18(2006)年には、健康村里山自然学校を開校し、以下の活動を一体的に展開している。

○やま(森林)づくり塾・養成教室では、7月に草刈り、10月に間伐、12月に間伐・枝打ち、3月に植林、という森林作業の基礎を学ぶ年4回のコースを実施している。毎回約20人が参加し、これまで150人超が修了している。

・体験教室では、家族向けに、森の遊歩道づくり、きのこの駒打ちなどの自然体験を、7月と3月に行い、毎回20~30人が参加している。

・こどもやまづくり教室では、季節に応じて森林や川で遊びながら自然の仕組みや大切さなどを体験する。夏教室、冬教室のそれぞれに約50人が参加している。

○農業塾

「農業技術教室(野菜づくり入門コース)」「棚田オーナー」「レンタル農園」ほか、以下のユニークな活動も含め、簡単な作業・収穫体験から本格的に農業を学ぶことができる教室まで実施している。

・レンタアップル

1年間りんごの木の持ち主になり、りんご農家の指導で、春は摘花作業を、秋には収穫作業を体験。会員数は1500件を超えている。

・手づくりそばの会

自分で畑を耕し、種をまき、育て、収穫し、そばを打つまで1年間にわたってそばをつくる。

○茅葺塾 区民、村民が協働して、茅場づくりや茅葺家屋の補修を行い、共通財産である川場村の田園風景の保全に向けた意識を高め、草原地帯や建築物の保存・再生を推進する。

事業の成功要因 昭和46(1971)年に過疎地域指定を受けていた川場村だが、以上のような取組みが功を奏し、平成7(1995)年以降、人口減が回復し平成12(2000)年には過疎指定解除の成果を生んでいる。

 そんな取組みにおける成功ポイントは以下が挙げられる。

○事業全般

・交流事業を村づくりの重要な施策の1つに位置づけている。

・(株)世田谷川場ふるさと公社の職員のうち施設内の調理担当の11人以外は、ほぼ全員が交流プログラムの企画運営に関わっており、窓口機能から、当日の活動補助までを行っている。

 

・新規事業の企画では、川場村、世田谷区、ふるさと公社、地域住民などが参加する検討委員会が設けられ、主幹部署による幹事会では毎月双方から担当者が参加している。

・世田谷区における川場村の知名度が上がるにつれ、ブランディングの一環として、川場村の野菜を世田谷区の商店で販売する際も、消費者に安心して買ってもらえるようになる。

・年8回のプログラムである「世田谷和紙造形大学」や、農業塾、レンタル農園、手づくりそばの会など、1年を通じて何かしらのプログラムを提供することで、常に世田谷区民とのつながりを維持することが、区民や村民へのPRになっている。

○交流プログラム

・都市住民の知的好奇心を刺激するような内容である。例えば、登山道から観察できる植物や野鳥についてウンチクを語ったり、森林浴でも季節・時間帯・フィールドごとの身体への効用が異なるなどを解説するなど。

 

・すべての年齢層をカバーする多岐にわたるプログラムである。小学生向けの「移動教室」、中高生向けの「川場村まるごと滞在記」、大人向けの「和紙造形大学」「手づくりそばの会」、高齢者向けの「ゲートボール大会」、親子向けの「レンタアップル」「棚田オーナー」など。

・すべてのプログラムに懇親会があり、プログラムに参加した区民やガイド役の村民、健康村のスタッフなどが出席し、感想や他にやってみたいプログラムなどの区民のニーズの把握に努めている。

○広報、地域の巻き込み

・世田谷区民への情報発信として、以下のような多様なアプローチを図っている。

1.区報:毎月1回は「健康村だより」として、交流プログラムの案内等をしている。

2.ホームページ:1~2週間に1回は更新している。

3.ラジオ(せたがやFM):役場職員が電話で出演し、農産物の案内などを行う。4.物産店:年40回程度、世田谷区のイベントに出店している。

・都会の住民が楽しそうに農作業などをする姿を見たり、レンタアップル事業で限界集落が元気になったりするなどを通じて、村民の受け入れ意識も変わっていった。特にりんご農家にとっては、市場に流通させるよりも高い値段で販売できるため、経済的なメリットも継続の大きな要因である。

・交流拠点の「ふじやまビレッジ」では、村民に温泉施設の無料招待券を配布し、できるだけ多くの地域住民に来てもらい交流事業に関心を寄せてもらうようにしている。

・これまで交流事業があまり実施されてこなかった各集落が隣接する「後山」の整備を実施することで、村全体に交流事業を展開させることを図っている。

 今後の課題 地域住民の理解は広がりつつあるが、いまだに無関心な人もいるのが実情のようである。この取り組みを村全体の活性化につなげるためにはより多くの住民を巻き込むことが必要である。

例えば、平成17(2005)年以降は世田谷区側でも美術館、サークルなどの単位で川場村住民の受け入れを行っており、世田谷区を訪れた人々から口コミが広がり、無関心だった住民にも交流に興味を寄せる人が出てきているようである。

現在進められている地方版総合戦略の策定を絵空事で終わらせないためにも、川場村と世田谷区の縁組協定は他の自治体にとっても非常に参考になる事例ではなかろうか。

 

【川場村の財政事情(2013年度)】

財政力指数※1が0.23と全国類似団体(131町村)の平均0.16と比べて高く第16位である。また、経常収支比率※2が72.6%と全国類団の78.7%に比べて弾力性(ゆとり)があると言える。 何よりも人口1人当たりの歳入合計と地方交付税が全国類団に比べて3割以上少ないだけでなく、国・県市支出金に至っては半分に過ぎないのは、余計な公共事業を控え身の丈に合った財政運営をしているからである。

 

○人口1人当たりの地方交付税:38万3220円(川場村) ⇔ 63万3924円(全国類団)

○人口1人当たりの国・県支出金※3:13万8304円(川場村) ⇔ 27万5107円(全国類団)

世田谷区との縁組協定により、歳入の安定化や投資的経費※4の負担減が寄与した結果とも言え、地方債現在高にもその効果が見てとれる。

○人口1人当たりの投資的経費:23万5415円(川場村) ⇔ 34万241円(全国類団)

○人口1人当たりの地方債現在高:49万2909円(川場村) ⇔ 115万6451円(全国類団)

※1 財政力指数= 基準財政収入額 ÷ 基準財政需要額(3か年の平均値)

基準財政収入額:自治体の標準的な収入である地方税収入の75% などを対象とする。

 基準財政需要額:人口や面積などにより決められる標準的な行政を行うのに必要と想定される額。

※2 経常収支比率:自由に使える収入のうち、人件費や扶助費(生活保護費など)、公債費(借金返済費など)、経常的に支出しなければならない経費が占める割合

※3 国・県支出金:(通称)国や県の補助金

※4 投資的経費:固定的な資本の形成に充てられる予算で普通建設事業や災害復旧事業・失業対策事業などに係る経費

【参照、出典】・世田谷区民健康村 -都市と山村の交流-・川場村HP

村の人口と世帯数
  (2015年8月末現在)

世帯数

1,082

総人口

3,389

1,631

1,758

http://www.vill.kawaba.gunma.jp/

・健康村新聞(100号記念保存版)[あわせてお読みください]

• 280年間続いた藩の誇りを町づくりの核に~日南市 (2015.6.25 大和田 一紘) 

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20:19 2015/09/18


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