・アメリカとの条約が日本国憲法よりも上位に位置することが確定した・49頁・平成27年5月7日 木曜日・深刻なのは、田中耕太郎が書いたこの最高裁判決の影響を及ぶのが、軍事の問題だけではないということです。最大のポイントは、この判決によって、
引用
51頁・日米合同委員会・組織図・
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか 単行本(ソフトカバー) 矢部 宏治 (著) 内容紹介
なぜ戦後70年たっても、米軍が首都圏上空を支配しているのか。なぜ人類史上最悪の事故を起こした日本が、原発を止められないのか。
なぜ被曝した子どもたちの健康被害が、見て見ぬふりされてしまうのか。
だれもがおかしいと思いながら、止められない。
日本の戦後史に隠された「最大の秘密」とは?
大ヒットシリーズ「〈戦後再発見〉双書」の企画&編集総責任者が放つ、「戦後日本」の真実の歴史。公文書によって次々と明らかになる、驚くべき日本の歪んだ現状。精緻な構造分析によって、その原因を探り、解決策を明らかにする!
<目次>
・はじめに・1頁・
PART1 沖縄の謎――基地と憲法・7頁・
・沖縄で見た、日本という国の真実・8頁・
・米軍機はどこを飛んでいるのか・10頁・
・「日本の政治家や官僚には、インテグリティがない」13頁・1.インテグリティー1誠実。正直。完全無欠。2コンピューターのシステムやデータの整合性、一貫性、無矛盾性、完全性。
・沖縄の米軍基地をすべて許可なしで撮影し、本にした・14頁・
・二〇一〇年六月、鳩山・民主党政権崩壊・15頁・
・本当の権力の所在はどこなのか?・16頁・
・官僚たちが忠誠を誓っていた「首相以外の何か」とは?・18頁・
・昔の自民党は「対米従属路線」以外は、かなりいいところもあった・20頁・
・日本国民に政策を決める権利はなかった・21頁・
・原動力は、「走れメロス的怒り」・23頁・
・沖縄中にあった「絶好の撮影ポイント」・24頁・
・「左翼大物弁護士」との会話・26頁・
・沖縄の地上波一八%、上空は一〇〇%、米軍に支配されている・28頁・
・日本中、どこでも一瞬で治外法権エリアになる・31頁・
・沖縄国際大学・米軍ヘリ墜落事故・32頁・
・東京も沖縄と、まったく同じ・34頁・
・「占領軍」が「在日米軍」と看板をかけかえただけ・35頁・
・本土の米軍基地から、ソ連や中国を・36頁・
・憲法九条二項と、沖縄の軍事基地化はセットだった・38頁・
・驚愕の「砂川裁判」最高裁判決・40頁・
・憲法と条約と法律の関係・・・低空飛行の正体は航空法の「適用除外」・41頁・
・アメリカ国防省のシナリオのもとに出された最高裁判決・43頁・
・「統治行為論」という、まやかし・45頁・
・アメリカやフランスでも、日本のような「統治行為論」は認められていない・47頁・
・アメリカとの条約が日本国憲法よりも上位に位置することが確定した・49頁・平成27年5月7日 木曜日・深刻なのは、田中耕太郎が書いたこの最高裁判決の影響を及ぶのが、軍事の問題だけではないということです。最大のポイントは、この判決によって、
「アメリカ政府(上位)>「日本政府(下位)」という、占領期に生まれ、その後もおそらく違法な形で温存されていた権力構造が、「アメリカとの条約群(上位)」>「憲法を含む日本の国内法(下位)」
という形で法的に確定してしまったことにあります。
50・安保条約の条文は全部で10カ条しかありませんが、その下には在日米軍の法的な特権について定めた日米地位協定がある。さらにその日米地位協定に基づき、在日米軍を具体的にどう運用するかを巡って、日本の官僚と米軍は60年以上にわたって毎月、会議をしているわけです。
それが「日米合同委員会」という名の組織なのですが、左ページの図のように、外務省北米局長を代表とする、日本のさまざまな省庁で選ばれたエリート官僚たちと、在日米軍のトップたちが毎月二回会議をしている。そこでいろいろな合意が生まれ、議事録に書き込まれていく。合意したが議事録には書かない、いわゆる「密約」もある。全体で一つの国の法体系のような膨大な取り決めがあるわけです。
・官僚たちが忠誠を誓っていたのは、「安保法体系」だった・50頁・
そうした日米安保をめぐる膨大な取り決めの総体は、憲法学者の長谷川正安・名古屋大学の名誉教授によって、「安保法体系」と名づけられています。その「安保法体系」が、砂川裁判の最高裁判決によって、日本の国内法派よりも上位に位置することが確定してしまった。つまり裁判になったら、絶対にそちらが勝つ。
すると官僚は当然、勝つほうにつくわけです。官僚というのは法律が存在基盤ですから、下位の法体系(日本の国内法)より、上位の法体系(安保法体系)を優先して動くのはとうぜんです。
52頁・裁判で負ける側には絶対に立たないというのが官僚ですから、それは責められない。
しかも、この日米合同委員会のメンバーがその後どうなっているかを調べてみると、このインナー・サークルに所属した官僚は、みなそのあと、めざましく出世している。
特に顕著なのが法務省で、省のトップである事務次官の中に、日米合同委員会の元メンバー(大臣官房長経験者)が占める割合は、過去一七人中十二人。そのうち九人は、さらに次官より各上とされる検事総長になっているのです。
このように過去六十年以上にわたって、安保法体系を協議するインナー・サークルに属した人間が、必ず日本の権力機構のトップに座るという構造が出来上がっている。ひとりの超エリート官僚がいたとして、彼の上司も、そのまた上司も、さらにその上司も、すべてこのサークルのメンバーです。逆らうとなどできるはずがない。だから鳩山さんの証言にあるように、日本国憲法によってえらばれた首相に対し、エリート官僚たちが徒党を組んで、真正面から反旗をひるがえすというようなことが起こるわけです。
この章の初めで、私が沖縄に言ったきっかけは、「鳩山首相を失脚させたのは、本当はだれなのか」「官僚たちが忠誠を誓っていた「首相以外のなにか」とは、いったい何だったのか」という疑問だったと言いました、この構造を知って、その疑問に答えが出ました。
彼らは日本憲法法よりも上位にある、この「安保法体系」に忠誠を誓っていたということだったのです。
52頁・平成27年5月7日 木曜日・ここまでいれる
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